ぺなるてぃ・らぶ・アナザー5章_1


気づけば寝室に逆戻りしていた。

そしてそのままベッドの上に降ろされ、スペインが覆いかぶさるようにして思いつめた顔で見下ろしてくる。

「…何か…怒ってるのか?」
と、思わずその真剣な顔に問いかけると、スペインは
「怒ってへんよ。」
と、少し困ったように言った。

てっきり自分が普段と明らかに違う態度を取ったためにまた何か企んでいるとか警戒されたのかとも思ったのだが違うらしい。

…とすると?
「別に…体調悪いとかじゃないぞ?熱もないし、腹は減ってる。」

甘えるという習慣があまりない上に緊張していたため、赤くなっている自信はあるし、もしかして熱でもあると勘違いされたのかと思ってそう言って見るも、非常に複雑な顔をされた。
これも不正解らしい。

あ、もしかして食事内容に不満があって奇行に出たのかと勘違いされたのかっ?!
「スペインの作る食事は結構好きだぞっ。
フランスのみたいにまどろっこしくも気取ってもなくて、素材の旨さがすごく出てると思うっ。
さっきのエンパナーダもパエリアもエビのアヒージョも美味そうだったし……」

料理が嫌なのではないと伝えようと必死にさきほどのテーブルの料理を思い出して並び立てると、スペインは一瞬目を丸くして、それから苦笑した。

「そか。じゃ、ご飯にしよか。」

これが正解だったんだろうか…。
あっさりと上からどいてイギリスの腕を掴んで助け起こしてくれるスペインにイギリスはホッとする。

それからは何事もなかったように二人で並んで食事を取ると、スペインは後片付け、イギリスはいつものようにリビングで刺繍を始めた。

慣れない事するのも結構大変なんだな…今度はもうちょっと上手くやろう…。

リビングで食事のお礼にと密かにスペインの国花のカーネーションを刺繍しながら、イギリスは次はどういう場面で甘えるのが自然なんだろうか…と、遥か昔、新大陸の子ども達を育てていた頃に彼らがどうしていたかを思い出しながら、次の計画を練り始めた。



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