ぺなるてぃ・らぶ・アナザー2章_4

捕捉計画


ああ、もう今すぐOK出して抱きしめて抱え込みたいっ。

羞恥となんだか色々でいっぱいいっぱいになったらしいイギリスはそのままポロポロ泣き続ける。

「え~っと告白って…好きやって意味?」

そのぴよぴよヒヨコのような頭を撫でながら促してやると、イギリスは
「他にどういう意味があるんだよ…ばかぁ…」
と、ぷくりと頬をふくらませる。

――ああ、もうそんなかわええのやめたって。親分今でもぎりぎりやねん。

内心思うが、そこは根性で耐える。
今までの人生の中でここまで自制を働かせた事はないのではないだろうか…と、思うほど必死に堪える。

そこで出来る沈黙。
それを破ったのはイギリスだ。

「ダメならいい…。気にするな。忘れろ。」

うあああぁあ~~!!!!
「自分なんでそんな諦め早いねんっ!!!本当に告白する気あるんっ?!!!」
思わずツッコミを入れると、イギリスはきょとんと首をかしげる。

――ああ、せやからそういう可愛え仕草やめたってっ!!!
心のなかで色々絶叫しながら、スペインは今度は必死に脳内で言葉を探す。
そうだ、色々衝撃で忘れてたが、さっきまで考えてたのだ。

「あんな、親分かていきなり言われて即答なんてできひんやんっ!
とりあえずお試し期間くらい作ったってや」

そう…イギリスの側がYESでもNOでも結局ネタばらしをして終わるつもりなら、一緒に過ごす時間を多くしてその間に気を変えさせれば良い…それがスペインが出した結論だった。

そうしてスペインが提示した提案は、イギリスからすると完全に想定の範囲外の答だったらしい。
困惑しているのがまるわかりな表情でどう言い逃れようか考えているイギリス。

が、もちろんスペインの側は逃してやるつもりなどない。

「ロマが出て行ってもうてから、ずぅっと一人暮らしやったから、久々に誰かに好きや言われたんはめっちゃ嬉しかってんけど…もしかしてなんか企みとかあったん?
ま、EUって枠組みで一緒になったかて、所詮国同士やからしゃあないねんけどな…」

強く主張すればはねのけるイギリスも、落ち込まれると弱い。
そこであえてしょぼ~んとうなだれてみれば、またワタワタと慌て出すのがアホ可愛いと思う。

プライベートになると2枚舌どころか、人並の嘘もつけず、返って騙されてしまうのが本気で可愛いと思う。

「あ、あのなっ、そうじゃなくてっ…単純にお前は俺のこと嫌いだと思ってたから、即答で断られないのが意外だっただけでっ…」

「ほな…そろそろバカンスの季節やし、親分の別宅で二人きりで1ヶ月暮らして見るって事でええな?
一応上司に連絡しといてな」

にこ~っと満面の笑顔で寝苦しいだろうと脱がしたイギリスのジャケットから携帯を取り出して、その手に握らせる。

「え…、あ、あの…」

「そうと決まったら親分、別宅に行く準備始めるわ~。
いや~誰かとバカンスなんて久々やなぁ~。
楽しみやわ~」

と、にこにこと宣言して、そのまま反論する間を与えず名残惜しいが客室を出た。

ここで逃げておけば、明日の朝にやっぱり…と言い出しても、せっかく準備したのに…と、またしょげかえればイギリスは強固に断れない。

そんな計算のもと、あとに引けないようにスペインは本当に準備を始めた。


――邪魔はいらんように早急に動かんとな…

そう…ライバルはたくさんいる。
今の時点ではスペインはなかなか不利なわけだが、今回のこれで一発逆転だ。

――親分、負けへんで。別宅行ったら情熱の国の本領発揮したるわ。

脳内で元兄の髭面や元弟の眼鏡に宣戦布告するスペイン。

勝負は明日から1ヶ月。
こうして絶対に負けられない戦いの幕が開くのだった。


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