ぺなるてぃ・らぶ・アナザー3章_1

回避計画


困った…というか、どうしよう…。

元々はOKでもNoでもネタばらしをして即帰国&ヒゲを殴って終わる予定だった。
なのに……あんなに嬉しそうに綺麗なエメラルドの瞳をキラキラさせて、

――久々に誰かに好きや言われたんはめっちゃ嬉しかってんけど――
…なんて言われたら、これ罰ゲームでした、なんてとても言えやしない。

二人で過ごすバカンスの準備をするのだとスペインが嬉しそうに部屋を出て行ったあと、イギリスは自分の携帯を手に固まっていた。

ヒゲを殴るのは当然だが、原型をなくすほど殴ってもこの事態を脱却できるわけではない

自業自得…という文字が脳内をクルクルと回った。


絶対にNoと言う返事が返ってくると確信をしていた。

そこで自分も別に本気じゃなくてフランスとの賭けに負けた罰ゲームだったのだと打ち明けて、なんなら迷惑料に一緒にフランスをボコるかなんて持ちかけても良いかくらいに思っていた。

まあ基本的にスペインはあけっぴろげな性格なので確率は非常に低いと思うが、Yesという返事が返ってきたとしたら、それは十中八九からかい的な意味合いだから、それならそれで、『ばぁか、そんなの騙されねえぞ。そもそも俺だってフランスとの賭けに負けた罰ゲームなだけなんだからなっ』と言ってやれば良いはずだった。

しかし…お試し期間を作って考えさせてくれ…ということは、これマジやばいんじゃないか?
かなり誠意を持って真面目に考えてくれてしまっている。
ああ、何故相手が上に馬鹿がつくほどのお人好しだと言う事を忘れていたんだ、俺のバカ…。

国策としてならともかくとして、個人の都合で…しかも罰ゲームなんかで他人の心を弄ぶなんて最低だ……。

とりあえず、明日から1ヶ月は付き合わないわけには行かないだろう。
幸いイギリスもこのところ詰まっていた仕事が一段落ついたところなので、休みをとることはできる。

問題はその後のことで……

スペインがやっぱり無理と言うなら、ここは罰ゲームということは根性で隠し通して――なんならヒゲはバラせないようにドーヴァーに沈めても良い――『真剣に考えてくれてありがとう、お前良い奴だな。今後良い友人として接しさせてくれ』と言って終わりにしよう。
プライドとか言っている場合じゃない。
これがベストだ。

しかし…万が一スペインがYesと言ってきたら……困る。
どうしよう。
真剣に考えて検討してくれた相手を傷つけないように…何か対策を考えねばならない。

もちろん一ヶ月間の間、ひどい態度を取るなんて論外だ。
非がない相手にこちらの勝手で不快な思いをさせるなんて紳士らしからぬ行動を取るわけにはいかない。

告白自体を嘘と知られず…でも告白しておいてYESの返事を受け取れない理由……。

そう…つい勢い告白をしてしまったけどスペインに隠していた事があって、それを込みで受け入れてもらうのは悪いから…とか言える理由があればいいんだが…

うん、スペインがYESと言いそうな雰囲気なら、そういう方向で何か考えようか…。

猶予はあと1ヶ月あるのだ。
何かいい方法…きっと思いつくはずだ。

そう考えつくと、イギリスは若干ホッとして、休暇を取るため上司に連絡を入れた。



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