「…これ…思い切り誤解されとるやん。どないするん?」
カミングアウトをした矢先にいきなり逆戻りな事にさすがにため息なアントーニョ。
その隣ではアーサーが真顔で
「いっそ本当にお前が跡取りだったら良かったのにな」
と言う。
「あ~ちゃん、やめたってや~」
情けない表情で言うアントーニョに
「全くだ。トーニョが跡取りだったら俺は降りてるぞ」
と、こちらも真顔で言うギルベルト。
「あ~、それお兄さんも~」
とフランがヘラヘラ笑いながら手を挙げると、なぜかこちらにはいきなりアントーニョがPCから引きぬいたマウスが飛んだ。
いわく…自分は叶えられなかった公私共々カークランドと一緒にやっていくという夢を、孫の一人はカークランドの右腕として働くという事で叶えられたらしい…と。
病気の現社長に代わってまだ高校生という身でカークランド財閥を継ぐ事になる若き社長は自分の孫も含めた6人の優秀な同世代の若者が支えて行く事になるから、皆、暖かい目で見守ってやってほしい…。
今回自社の新人社員が関わった事件に関してTV局のインタビューにそう答えたヴァルガス老の話はあっという間に美談として広まり、まず社会の方からアーサーは新しい社長として認知され、ヘキサゴンと呼ばれる6人の仲間と共に、企業の顔になっていった。
こうして普段から会社関係を支えるカオル達3人と、アーサーの学生生活を支えるアントーニョ達3人に分かれてはいるが、7人は日本でもっとも有名な若者になったのだった。
そして後日…
「こんにちは~。今日は取材でこちらに伺いました。」
ヴァルガス財閥のゲーム開発室からのインタビュアーは勝手知ったる顔だったが…香の第一声
「えっと?誰だっけ?」
「香さん~~!!!」
「うそうそ、わかってるってっ!
ヴァルガス財閥のインタビュアーだよねっ♪」
「……」
「香~、虐めてやんなよっ」
と、ケセセっと特徴的な笑い声をあげて応接室に入ってきたギルベルト。
「あ~、でも自分、文章はめっちゃ印象的なのに実際の影めっちゃ薄いな~。
ていうか、印象薄すぎて逆に憶えてまうわ~」
と、同じく応接室に顔をだすアントーニョ。
そして最後にまた香のトドメの一言
「で?こいつ誰だっけ??」
「香さ~ん!!!」
リアルだと影が薄い新人X。
彼とも今後長い付き合いになることは、さすがに誰もこの時点では知る由もない。
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