オンラインゲーム殺人事件再びっ4章_7

≪で?なんざんしょ?俺いてもいいのかな?≫
とカオル。

≪ああ、かまわんが…エドァルドについて情報欲しい。
できるだけ詳しく。もし持ってればリアル情報も。
個人情報もらすのはまずいのは承知の上だが、頼むっ!≫

≪ちょっと待った…。ギルがそこまで言うって何かあった?!≫

普段は他人に踏み込まない踏み込ませないギルベルトのその言葉にちょっとカオルも驚いたようだ。
カオルにしては少し動揺してるようにも見える。

どう説明しようか悩むギルベルトだが、ギルベルトの言葉を待たずにカオルが聞いてきた。

≪ギル、まさかとは思うけどリアル周りで何か危険な事とか起こってる?
例えばトーニョとか?

何故それを?と驚きつつ若干警戒もするが、結局ギルベルトは事実を伝える事にした。

≪ちょっと某筋から入手した情報なんだが、リアルで自分がこのゲーム内のトーニョだって吹聴してた奴が、どうやらトーニョと間違えられて刺されたらしい≫

さすがに衝撃だったのか一瞬の沈黙の後、カオルは何故か

≪ギル、ここじゃまずいかもしれない。電話で話そう≫
と提案して、ギルベルトは了承した。



そして鳴り響くギルベルトの携帯。

「カオルか。ゲームがまずいならスカイプどうだ?
みんなに事情説明するから手間暇も考えるとログ残る方がありがたい」
で、即電話切ったところをみると、交渉締結したらしい。

またPCに向かうギルベルト。

≪ギル、確認!今安全な所?≫
≪アリスん家。ま、絶対に安全とも言えんが≫

≪…安全な所ってない?あんまり知られてないとことか≫
≪ん~別荘か≫

≪…金持ち…≫
≪いや、俺のじゃなくてフランのな≫

≪なるほど。とりあえずできるなら今すぐ最低限の荷物まとめてそっちに移動して≫
カオルの言葉にギルベルトは一瞬考え込む。

≪な、カオル。お前もしかしてお前なんか知ってるのか?
事情知らないにしては随分具体的な指示だしてるが…
ゲーム内じゃまずいとかな…≫
ギルベルトのつっこみに今度はカオルが黙り込んだ。

「ギルちゃん、ちょぉ代わってや」
と、そこでアントーニョがギルベルトと代わった。

≪俺や。ちょぃギルちゃんと代わったわ。
とりあえずな…俺はお前を信用する事にするわ。
信用するって決めたからには最後まで信用してやるさかいな、話し?
こっちの事情がわからんと話せない事があるっていうなら言いや。話してやるわ≫

トーニョの言葉にカオルは
≪じゃ、率直に聞いちゃうけどさ≫
と、口を開いた。

≪ん?≫
≪トーニョって…例の跡取り様なのか?≫

カオルの言葉にトーニョはちょっと悩む。

≪えとな…色々事情あんねんけど、俺の一存では言えへん。
でもまあそう思ってええで≫

「トーニョ?」
「あーちゃん、ええから黙っとき」

「ああ、トーニョに任せとけ。アーサー」

アントーニョの言葉に怪訝そうな顔をするアーサーに、アントーニョとギルベルトから声がかけられる。

「ちょおカオルと話さなあかんから、あとでな」

と、最終的にアントーニョの褐色の手に軽く髪を梳くように頭をなでられ、アーサーは少しまた赤くなってうつむくと、黙り込んだ。



リアルでそんな会話を交わしている間、少し考え込んでいたような間があって、やがてカオルが言った。

≪トーニョ、俺達は絶対にお前を裏切らないし死んでも危害は加えない。
つか加える奴がいたら盾になってやる。
だから今いる場所俺達も行っちゃだめか?
こうして話してる間にも何かあったら怖い≫


なんだかすごい話になってきて、全員言葉をなくす中、アントーニョはアーサーに

「あーちゃん、俺の勘てだけなんやけど、たぶんカオルは信用できると思うんや。
ここに呼んだらあかん?」
とお伺いを立てた。

アントーニョの言う事にアーサーが異を唱えるはずもなく…このうかつに動いてはいけないはずの状況であっさりOKが出る事に、ギルベルトは少し呆れるが、ギルベルト自身もアントーニョの勘と運の良さは認める所ではあるので、あえて口は出さないでおく。


≪全員のオッケー出たわ。住所は携帯に送るな≫
それから場所を教えるといったんPCを閉じる。

「とりあえず…よおわからんけど、カオルの話やと今回の事件てなんや例の跡取りの話、つまりあーちゃんの身元と関係してる感じやな?
で、今んとこ俺がそうやって思われててターゲットになっとるって感じかいな?ギルちゃん」

「ああ、そうだな。まあカオル達の考えが正しいかどうかはまた別問題だけどな」

「でもまあ、とりあえず話し合わせてや。跡取り言われとるのは俺や。ええな?」

アントーニョが念押しをしたところで、ようやく我に返ったアーサーが異を唱えた。

「ちょっと待て!これって要は本当は俺が狙われてるって事だろ?
トーニョが身代りなんてダメだっ!」

「何言うとるん。あーちゃん狙われてるなんて言うたら、親分心配で眠れへんやん。」
「俺だってそんな事言ったら心配で眠れないっ!」

「ほぉ~~」
売り言葉に買い言葉的にそう声を荒げるアーサーに、アントーニョはス~ッと声のトーンを落として笑みを浮かべた。

うわぁ…やっちゃったよ…と、フランがギルベルトにコソコソつぶやき、ギルベルトは

「ちょ、トーニョ、落ち着けっ。な?」
と二人の間に入ろうとして

「ギルちゃんは死にとうなかったら黙っといてや」
と、笑顔のアントーニョに押しのけられる。

「あ~ちゃん、俺以前言うたやんな?加減なんてせえへんて…」
とにこやかに言うアントーニョに、ジリっと一歩下がるアーサー。

「あーちゃんが寝られへん言うなら、毎日ちゃあんと寝かしつけたるよ?
翌日足腰たたへんかもしれんけど、とりあえず睡眠時間は取れるで?
せやけど親分寝れへんかったら休憩なしの一晩中朝までコースやで?
どっちがええ?」

笑顔がめちゃくちゃ黒い…というか、そこまで不穏な空気をびしばし放つくらいなら笑顔はやめてくれ…と、みんなが思っている。


「寝る時間取れた方がええやんな?」
と、もう同意するしかない迫力で言われて、こくこく首を縦に振るアーサー。

「じゃ、そう言う事でええな?跡取り言われてるのは俺や。間違えんといてな?」

と、宣言するアントーニョに逆らえる人間がいるわけもなく…3人そろってうなづいた。




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