オンラインゲーム殺人事件再びっ4章_6

私怨?!刺された男

翌日…アーサーは本当にフレカ削除した
ある意味純粋なだけに容赦がない。


(何故ですか?!僕が何か姫を傷つけるような事でもしてしまいましたか?!)
フレカ削除を申し出るアリスに当然エドァルドは必死。

まあ…当たり前だろう。
前日までにこやかにパーティをやってたのだから…。

そんなエドァルドにアリスは

(ごめんなさい。エドァルドさんがどうのという事ではなくて…私の方の事情なんです。
エドァルドさんとご一緒してると私の一番大切な相手が不快に思うらしくて…
とウィスを返した。

その日はたまたまリビングにPC持ち込みでやっていたので、それをリアル隣で見ていて、あ~これお前が悪いって言うより揉めるよな~とフランは思った。

そして…やっぱり揉める。


(一番大切な相手って…もしかしてギルドのベルセルクですか?!
姫、絶対に騙されてますっ!純粋すぎですよ!
ネットでしか知らない相手をそこまで信用しちゃだめですよっ!)

ザ~っとそこまで流れた時点で

(ごめんなさい。トーニョの悪口聞くの悲しいので…BLさせて頂きますね)
と、アーサーはいきなりエドァルドをブラックリスト。


うあああ~~~~マジ容赦ないよ、この子っとフランは青くなる。

ちなみに…ブラックリストというのは最近実装された、相手からのウィスもメッセージも届かなくなり、通常会話やパーティ会話でも相手の言う事がきこえなくなるという機能…。
これでもうエドァルドの方からアリスへ言葉での接触は持てなくなる。


その日はそれからまずアントーニョの方に文句のウィスが行ったらしいが、アントーニョは

(うるさいわ。BLするわ)
と即ブチっとする。

それからはエドァルドのウィスはフランの所へ…。

こちらは切々とアリスが誤解していると言う事を訴えられて、フランが

「どうしよう?」
と、困っていると、横からぬっとアントーニョの手が伸びてきて、ブラックリスト。


ちょ、トーニョ、何やってんの?!
と焦るフランに、

「リア友ってわかってんやから、ええやん。
下手に色々言わんと切っといたら、矛先俺んとこくるやろし…」
と、ひょうひょうという。

「トーニョ…お前って奴は…」
と、かばってくれたのかと感動しかけたフランに、しかしアントーニョは続けて

「ま、来んかってもフランやったらかまへんし
と言ってがっかりさせた。


そのあとは当然ギルの所。

「トーニョ、俺のは絶対に手出すなよ?!」
と、ギルは釘を刺しつつ、何かを返している。

フランはこそりとギルのPCをのぞいてみた。

(普通…自分の親しい人間に対して敵対心を向けられた場合、距離を置くしかないと思う。
特にトーニョはリアルでもアリスをすげえ大事にしてるし、アリスもそれわかってるからな。
だから、やみくもに相手責めるよりも、しばらく静観した方がまだ和解できると思うぞ)


「ギルちゃんてさ…実は意外に良識人だよね…」

「意外にじゃねえよ。
てか、無駄に敵作んねえほうがいいだろ、今は。何が起こるかわかんねえんだし」

「それあっちのバカっぷるに言ってやって…」
「無理。アーサー関わった時のトーニョまじやべえから」

「ギルちゃんでもダメ?」
「あいつの火事場のなんちゃらは俺でもまず止められねえ。余裕で殺される自信あるぞ」



そんな会話をしつつ、その日もレベル上げにいそしむ事2時間ほど。
急にギルベルトの携帯が鳴った。



「ちょっと悪いな」
と言って席を立つと、少し離れた所まで行って電話に出るギルベルト。

こんな時間に誰なんだろうと残り3人が思い様子を窺っていると、電話で2,3こと話したギルベルトが青くなった。

「…で?容態は?!……そうか…」
ギルベルト電話を切ってそのまま考え込む。

「どうしたんだ?…誰か病気なのか?」
容態という言葉はかろうじて聞こえたのでアーサーが聞くと、ギルベルトは青い顔のまま首を横に振って言った。

「ついさっき高校生が刺されたらしい…」

「それが…なんでギルのところに?」

「親父からのリークで…刺された奴、周りのダチに自分がレジェンド・オブ・イルヴィスのトーニョだって吹聴していたらしいぞ。で、意識不明の重体」

ちょ、それって…?!

青くなって思わずトーニョの腕をぎゅっと握りしめるアーサーに代わってフランが聞くと、ギルベルトはうなづく。

「ただの通り魔じゃないとしたら、トーニョと間違われて刺された可能性もあるな…」


うあああああ~~~~~
フランはガタンと椅子から滑り落ちた。

「それって…エドァルド…じゃないよね?」

「わからん…」
ギルベルトは腕を組んで考え込んだ。


「少なくとも…犯人はリアルのトーニョの顔は知らないんだよな。
なのに自分が犯罪者になってもいいくらいのレベルでトーニョを嫌ってる奴ってのもそんなにいないと思うんだが…
犯人がエドァルドだったとしてもこっちは奴の情報なんてほとんどないし…あ…そうか…」
ギルベルトは何か思いついたらしく、おもむろにPCに向かった。

≪カオル、いるか?!≫
カチャカチャとキーボードを打つ。

≪いるよーw

(悪い、ティモシー呼べるか?)

あ~なるほどっ!
ティモシーはエドァルドのギルドのメンバーだったな…と、フランも思いだす。

(姫様のBLの事?)
(それもあるんだが…ちょっと非常事態で…)

(おっけー、すぐ呼ぶからパーティ誘うね)

即カオルからパーティの誘いが来て、ギルベルトがそれを受けてパーティを組む。
そしてそれとほぼ同時くらいにティモシーが入って来た。


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