「ギル、どうしたんだ?」
あちゃ、見つかったか~と一瞬焦ったが、勝手にドア開けた事を怒った様子もなく聞いてくるアーサーにギルベルトは
「いや、なんか揉めてたらあれだなと気になっちまって…」
と、頭をかきながら、また反転。
トーニョだけじゃなくてカオルもなんか感情逆撫でされるっぽいから」
ギルベルトが言うと、アーサーは苦笑して首を横に振った。
「いや、確証ないから振り回してもなんだしと思って言わなかったんだけどな、そっちじゃない、俺達が落ちた理由」
「あ、じゃあゴッド3人組の話か?」
と、そこは即切り替えるところがギルベルトのギルベルトたるゆえんだ。
「そそ。なんていうか…単体なら単なる浸った名前の集団かと思うんだが、イヴってのもいたろ?
イヴ使ってた奴は今刑務所だが、あれ名前といい外見といい行動といい、”あのイヴ”モデルっぽいし。
で、気になってたところに、今度はバットシリーズっていうから…もしかしてバットマンもどきなのかと…。
みかけもそんな感じだったしな。
そうだとしたらいったい誰がなんの目的でわざわざあの時のゲームのキャラ真似てるんだろうってな…」
「なんか…あのゲームやってた人間知ってるのってほんの一部やし、犯人以外の参加者の中で生き残ってるのって俺ら4人とオスカーとヨイチだけやん?でもそのいずれも違うとなると…」
「可能性と言うと…あとキャラ知ってたのって運営関係か?」
自分で口にしておいてなんなのだが、運営がそんな事する意味どこにあるんだ?とギルベルトが少し悩むと、アントーニョが
「…と、殺された奴らの遺族やな」
と、つけたした。
なるほど。
しかしそれにしてもなんで?
ギルベルトが疑問の目を向けると、アントーニョは肩をすくめた。
「ま、理由はわからんけど皆前回のゲームのキャラもどきみつけたらチェックいれといた方がええな」
と、その件を締めくくった後、
「ま、もういっこのギルちゃんの心配についても話とこか~」
と、アントーニョはさらに口を開いた。
「確かにエドァルドの事はめっちゃ面白くないねんけど、それであーちゃんにやつあたったりはせえへんから」
あ~そっちか、始めの話題に戻ったのか、と、ギルベルトはまた頭を切り替えた。
「エドァルド…カオル達と違って、面白いとかいうタイプじゃないよな、確かに。
でも人それぞれだしそれを責めてもな…。」
うんうんとうなづくアーサー。
それ…意味違うし…アーサー、頭良いくせに何故そこまで人の感情については斜め上なんだ…とがっくりと肩を落とす二人。
「アーサー、それ意味違う。気分悪いってことだ、面白くないっていうのは」
日本語の通じないアーサーに解説するギルベルト。
「何か…気分悪くなるような事されたのか?」
きょとんとするアーサーにギルベルトはため息。
「普通さ…自分の恋人に誰かが言いよって来たら気分よくないと思うんだが?」
なんでそこまで鈍感なんだよ…と思いながら説明すると、アーサーはかぁぁ~~っと何故か真赤になってうつむいた。
ぎゅっと目をつむってフルフル震えてる。
「え?俺様なんか悪い事言ったか?!」
と、その反応に焦るギルベルト。
アントーニョは苦笑した。
「あ~ちゃん、またなん?」
「へ?またって?」
きょとんとするギルベルトに、アントーニョが言う。
「なんかあーちゃん、変なところで変なスイッチ入るねん。
なんでかわからへんけど、急に恥ずかしくなるみたいやで?」
なぁ~?と、アントーニョは少し嬉しそうに自分の足の間で抱え込んだ膝に顔をうずめるアーサーを後ろから抱き締める。
「今度はなんなん?」
クスクス笑いながら問う声は山盛りの砂糖の上から蜂蜜をドバドバかけたように甘い。
ギルベルトは今すぐこの場を立ち去りたい気分に駆られたが、口実が見つからない。
「……なんか……焼きもち焼いてるみたいじゃないか……」
消え入りそうな声でそういうアーサーの言葉に、まんまそうじゃねえのか?というか、これだけ独占欲丸出しな男はそうそういねえぞ?と突っ込んでいいのかどうかギルベルトが迷っている間に
「当たり前やん。何いまさら言っとるん?
俺言うたやろ?あ~ちゃんはぜ~んぶ、髪の毛の一房まで俺のモンにしたいって」
と、もう、悪かった、こんな時間にカップルの部屋に来た俺が悪かった!と土下座してでも退去したいような空気を作られる。
「嫌…なのか?」
アーサーが顔をあげて後ろのアントーニョを見上げた。
「ん?」
「だから…エドァルドとパーティ組んだり遊んだりすること」
「せやから、今そう言っとるやん。」
「…そっか…じゃ、フレカ削除しとく」
と当たり前に言うアーサーに、へ?と呆けるギルベルト。
「あ、いやっ!別にそこまでしなくてもいいんじゃね?」
と、ギルベルトは焦って言うが、
「……だって一番好きなのはエドァルドじゃなくてトーニョだから…」
と、また真赤になってうつむくアーサーに、ギルベルトまで釣られて赤くなった。
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