オンラインゲーム殺人事件再びっ2章_3

フランシス・ボヌフォアの策略


≪アーサー、野良パーティどうだった?たまには新鮮だったでしょ?≫

翌日、それぞれにまた別行動中をしている中、フランはパーティ参加希望の印を出して誘われるのを待ちながら、アーサーに声をかけた。


≪ん~。新鮮ではあったけど、緊張したな≫
と案の定なアーサーの答えに

≪あ~、あーちゃん人見知りやしな。今度は俺も一緒に行ったるからな≫
と、フランの思惑通りこちらも案の定アントーニョがのってくる。

≪じゃ昨日の奴らに声かけてまたパーティってどうよ?≫
と声をかけると、アーサーは、ん~~と少し躊躇した。


≪なん?嫌な感じの奴らだったん?あーちゃん≫
それに敏感に反応するアントーニョに、そうじゃないけど…と、言葉を濁すアーサー。

≪なに?あれから何か言われたりした?≫
と、フランも誘った責任上、気になって聞くと、アーサーは謎発言。

今…いるんだ

≪なにが?…どこに?≫

≪今日な…俺釣り試してみてるんだけど…隣に昨日のガーディアンがいてず~っと話しかけてくるから釣りやりたいのかと思って予備の竿と餌やったら、やっぱりやりたかったらしくて、隣で釣り始めた。
だからパーティー無理じゃないか?

≪………≫

≪パーティー参加希望もだしてないし。今日は釣りの気分なのかも?
まあトーニョ盾にしてあとの3人誘って狩りでも俺はいいけど?≫

いや、それ多分違うから。釣り好きなわけじゃないから。
と、アーサー以外は全員思っている。

それを裏付けるように、いきなりフランの所にウィスが来た。


(うぃっしゅ!フラン変な事聞くんだけど…)
と言うカオルの言葉。

なんとなく次のセリフが想像つく気がするフラン。

(うん?)

(ベンそっちで迷惑かけてたりして?)
と、案の定な続き。


波乱の予感がしながらもフランが
(えと…なんだかアリスの横で釣りしてるみたいだけど…何かあったの?)
と、おそるおそる聞き返すと、カオルは珍しく歯切れの悪い口調で

(あ~…なんていうか…)
と口ごもった。

(昨日の事で…なんかトラブルあったの?)
わざととぼけて先を促してみる。

(いや…え~っとそういう事じゃなくて…)
(うん?)

(あ~どうしよっかなぁ…ベン、姫に余計な事とか言ってね?)
(そこまではわかんないけど…聞いてみるね)

フランはいったんそこでカオルとの会話を打ち切って、今度はアリスに聞いてみる。

≪アーサー、ベンとどんな話してるの?≫

フランの質問にアーサーは即答
≪釣りの話≫

≪他は?≫
≪ん~~~パーティーの話?漠然としすぎててよく……≫

≪盾いないパーティーはやっぱり…みたいな?≫
≪あ~そんな感じだな。
で、俺はトーニョがいるから大丈夫~みたいな話してて、でも盾じゃないでしょって≫

なんとなく想像はついた。

≪要は…盾なしパーティーなんかいないでも自分と一緒にいてくれればお守りしますよって話ね?≫

思い切り要約してみると、アーサーは

≪ああ、こいつそういう事言いたかったのか… ≫
と感心してみせた。


アーサーは勉強はできるくせに人の気持ち…特に好意にはありえないほど鈍感だとフランは呆れた。
というか…アーサー以外全員がそう思っていると断言できる。


フランが結論をカオルにウィスで伝えると、カオルは一瞬無言。

(姫が、言ってた事ホント?)
しばらくのち、カオルが聞いて来た。

(言ってた事?)
(うん、優秀な盾ベルの話)

そう言えば昨日のパーティーでもアーサーはやたらとアントーニョの事を話していた。

(あ~、まあね。うちのギルドメンバーは他に比べるとスキル的には高いかもね~)

あえてトーニョがとは言わないのは、フランのささやかな意地だ。


(ん~、じゃあベンのぼせ上がる前に突き落としとこうっ)
フランのそんな心の葛藤もつゆ知らず、カオルらしい言葉が返ってくる。

(あのさ、フランんとこのベル盾+俺+ベンでパーティーよろw)

元々そのつもりだったのだが、主旨がフランとカオルでは若干違う。

そこで少々悩むが、結局どうであれ、これを断るという選択肢もない事に気付き、

(良いけど…うちの盾と比べさせるって事?)
と念のため確認を取ると、

(そそ。姫様に完璧なナイトがいるの見せつけてすっぱり諦めさせるのが一番早い的な?)
と、やはりフランが予測していた答えが返ってきた。


諦めさせるのは良いとして…あまりアントーニョに活躍させるのも面白くないなぁと内心思っていると、さらにカオルからの言葉。

(ちなみに…俺全開で行くからっ。よく言っといて。
ベンには遠慮せずタゲキープしておっけぃだし?)

で、少し気分が浮上した。



たしかに最近のアントーニョは盾としてかなり機能しているとは思うが、それはアントーニョ以外のアタッカーであるギルがうまくヘイト調節しているからという事もある。

今回はギルを入れず、単体でどこまでできるのか、せいぜいがんばってもらおう。

自分は……アーサーのために少し多めに回復薬を用意しておこうか…。
タゲがあまりくるようなら、それをさりげなく渡そう。

そう思いつくと、なんだか楽しみな気がしてきた。

まず釣り中のアーサーにウィスでカオルに誘われているからと、お伺いをたて、了承が取れた時点で今度はアントーニョにカオルが言ったような事情を説明した上でパーティーの誘いをかける。

もちろんアーサーにちょっかいをかける輩の排除となればアントーニョが否というはずもなく、参加決定だ。

こうして二人から了承がとれた段階でフランは自分を含めて3人は大丈夫とカオルに伝えた。



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