オンラインゲーム殺人事件再びっ1章_11

≪すごいパーティーだったね…≫
解散後マイルームに戻ってため息まじりに言うフラン。

≪トーニョもさ…いちいち相手にすんのよそうよ≫

≪何言うてるん。あのアホ、盾専門ジョブのくせにあーちゃんにタゲやるとこやったんやで?ありえんわっ≫
あ~不機嫌の原因はまずそこだったか~と、苦笑するフラン。

≪他人批判する前にまず自分が努力しろっちゅうねん!≫
憤るアントーニョに、フランはふと思った。

≪あのさ…トーニョがリアルで怪力で頑丈なのはわかるんだけど、なんでゲーム内でもそんな怪力で頑丈なわけ?
なんで防御高いガーディアンより固くて、しかも一瞬でタゲ固定できちゃうの?
所詮ジョブスペックってあるわけじゃない?≫
と聞いてみる。

するとそれに答えたのはギルベルトだった。

≪防御半分のベルでもな、耳×2、指×2、首、ベルト、頭、鎧、腕、脚、足、マントの計12種類全部を防御仕様の物に着替えれば素のガーディアンくらいには余裕でなる。
それにプラスしてディフェンス。これで盾仕様。
通常は敵によってどこまで防御、どこまで攻撃仕様の装備にするか決める。
で、手っ取り早くタゲ固定したい場合は全部攻撃仕様装備にした上でオフェンス&バーサク。
もちろんタゲきたら即オフェンスとバーサク切ってディフェンス使って防御に着替え。
ショートカット使ってこんな風に着替えとテク駆使。そんなとこだろ?≫

≪さすがギルちゃんやなぁ。わかってたん?≫
とそれを肯定するアントーニョ。

それに対してギルが
≪まあな。でもお前がそんな技覚えるなんて思ってもみなかったけどな≫
と言うのにはフランも同意だ。


≪今回は俺がしっかりせんとあーちゃんが殴られるやん?
せやから一人で色々研究してみてん≫

≪言えば教えてやったのによ≫

≪あ~、俺アホやから自分で実際に試して覚えていかんと、他人からわ~って教えてもろても覚えられへんねん。
せやから暇見て一人で試しててん。
おかげで結構わかったと思うわ≫

≪お前がそんな地道な努力する日が来るとは思わなかったわ…≫
しみじみ感心するギルベルト。

≪あーちゃん守らなあかん立場になったからな≫


≪3人で始めた時は盾なんて意識全くなかったくせに…≫

とフランが言うのに、アントーニョはリアルで

「ゲームに関する事だけちゃうで?」
と、隣のアーサーに言った。

「まだ自分が何できるのかわからんし、何にもできひんのやけど…絶対に何かあーちゃん守っていけるもんみつけるさかい、もうちょっと待っといてな」



一応一緒にいる事に支障はないと言う点は納得したものの、だからといって好きな相手におんぶに抱っこはやっぱり情けないと思う。

今まであまり考えるという習慣を持たずに来たが、今回まあゲーム内ではあるものの考えて行動してみたら意外に結果が出てきた事を考えると、やはりもう少し考える習慣をつけると言うのは悪い事ではないように思う。

「無理…しないでいいんだからな?別に今のままのトーニョで十分なんだから」

少し心配そうに眉を寄せるアーサーに、こんな顔させる事自体があかんなぁと、アントーニョは内心苦笑する。

「ああ。無理はせえへんで。つぶれてもうたら意味ないしな。
ただ、もうちょい将来も色々考えて頑張ったろか思うんや。
あーちゃんのため言うんは、そのためのモチベーションみたいなもんやさかい、そんな顔せんといて」

そう言って笑ってみせると

「ならいいけど…」
と、アーサーもぎこちなくだが笑みを浮かべた。




≪ところで…≫
と、そこでアントーニョはゲーム内に話を戻す。

≪俺ほぼ接点なかったのにイヴからフレカード交換申し込まれたんやけど…自分らは?≫

キャラがキャラだけに少し気になったのできいてみたら、ギルベルトからは

≪俺は申し込まれてねえ≫

フランからは
≪あ、お兄さんも申し込まれたよ~≫
と返ってくる。

≪あーちゃんは?≫
と、そこでリアルで聞いてもいいのだが、一応隣のアーサーにもギルド会話で聞くと

≪俺も申し込まれてない≫
と返ってきた。



≪ふむ…ちょぃ気味わりいな…≫
と、そこでギルベルトが考え込む。

≪まあ、あーちゃんが興味持たれてへんならええやん?≫

≪そうだよね。単に男キャラにというだけなんじゃない?≫
と、アントーニョとフランがそれぞれ言うと、ギルベルトは

≪男キャラ…ってだけじゃねえだろ≫
と意味深なセリフを吐く。



≪前のゲームと同じ名前のキャラ使うてる相手だけ…ちゅう考え方もできるけどな≫
と付け足すアントーニョにギルベルトは

≪わかってるならとぼけてんじゃねえよ、このAKYがっ≫
とため息をついた。

≪どちらの意味で二人だけなのかわかるまではちょっと注意必要だな。
他に変わった事あったやつは?≫

さらにそう言うギルベルトにアーサーが手を挙げた。


≪イヴには申し込まれてないけど…エドァルドからフレカもらって奴のギルドに誘われた≫

≪………≫

≪もちろん…ギルドは断ったけど。≫

≪あのヘタレガーディアンがっ!信じられへんわ!!≫

怒るアントーニョ、悩むギルベルト…。


こうして色々な意味で微妙に波乱の幕開けを予感させながら、その日のゲームは終了した。


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