オンラインゲーム殺人事件再びっ1章_10

とりあえずこうして6人パーティになったアントーニョ達は街からちょっと歩いた山の中腹で巨人を狩る事にする。

ギルベルトのキャラ、マリアがブーメランで敵を釣ってパーティーメンバーの所に戻ると、今日はアントーニョの代わりにエドァルドが敵を引き受ける。

そしてエドァルドがヘイト稼ぐまでイヴとアントーニョは攻撃を控えているが、硬いガーディアンのはずなのに随分とHPが減るエドァルド。

3発ほど殴る間待って他が殴り始めた頃にはHP黄色くなっている。


いつもは4人でやってたがアントーニョが攻撃を受けてた時にはこんなにHP減っていなかった気がする。

本来ガーディアンは一番防御が高いはずなのだが…

アーサーのキャラ、アリスが回復すると、減りが大きい分回復量も大きく、回復量が多いということは稼ぐヘイトも大きくて…アリスに突進する巨人。

そこでエドァルドは颯爽とアリスの前に立ってシャキ~ンとテク発動っ!
守るだっ。


『ほ~。守るか。初めて見た』
と、マリアが言うと、

『ヒーラーさんを守るのが僕の仕事ですから(^^ 』
と、ちょっと得意げなエドァルド。

二人がそんな会話をかわしてる間に巨人を追いかけて後衛の立ち位置まで行って殴るアタッカー陣。


暫くしてアントーニョがアリスの代わりに殴られてるエドァルドから黙ってタゲを取り戻した。

微妙にムッとしてるっぽいエドァルド。

『あの…盾からタゲ奪うってアタッカーとしては理性なさすぎてどうかと思うんだけど?(^^; 』

『守るの継続時間は1分や。今発動後経過時間50秒やで。
そのままにしておいたら、またあーちゃんにタゲ行くやん』
と、それに対して実も蓋もないアントーニョの言葉。

これには悪友二人やアーサーもびっくりだ。


お前がリキャストなんて気にするなんて、明日は雪か?

と、思わずギルド会話で言うギルベルトに、リアルでフランが思い切りうんうんとうなづく。

≪殴られんのが自分らやったら放置やけどな~。今殴られんのあーちゃんやん。
ゲームの中やって、俺がいんのにあーちゃんが殴られるなんて嫌やもん
俺かて色々研究したんやで≫

ギルド会話でそんなやりとりをしながら、アントーニョは

『ベルセルクならヒーラー以上のヘイト稼いでタゲ維持できるさかいな。』
とさらにエドァルドに言ったあと、アーサーに

『あーちゃん、そいつのHP回復したり。
もう充分ヘイト稼いでるからヒール使っても大丈夫やから』
と指示する。

その言葉にアーサーはやっぱりHPを黄色くしていたエドァルドに回復魔法を入れた。
全快しても動く事のないタゲ。

『ガーディアンは防御高い分攻撃力が低いから、どうしてもヘイト稼ぐのが難しいんだよね』
ボソボソっと言うエドァルド。

なんだか…きまずい…
そこにさらに火に油を注ぐイヴ。

『あら、でもトーニョ君のが被ダメ少なくない?
どっちが盾だかわかんないよねww

うあああ……言っちゃいけない事を…と青くなるフランと無言になるエドァルド。


でもまあ確かに…そうなのだ、何故か。

ウォーリアと比べて防御2倍なはずのエドァルドより防御半分のベルセルクのアントーニョの方が圧倒的に減るHPが少ない。

謎だ……


『なんだかおかしいよね、普通ならベルセルクがそんな固いはずないし。何かおかしな事してない限り』
と、完全に臨戦態勢のエドァルド。

『普通に”考えてれば"これくらいの防御維持できるけどな。
紙薄でHP減らせば回復するあーちゃんを危険に晒すさかい、守る気があれば俺みたいなアホかて考えるわ』
と、こちらも臨戦態勢なアントーニョ。

『ごめん!リアル急用で…
本当に申し訳ないんだけど街戻って解散でいいかな?(^^;  』

ちょうど敵が倒れたタイミングで耐えきれなくなったフランが言った。

もう…このギスギスした空気の中続けるの、確かにつらすぎだ。


そんなフランの発言に

『あら、残念っ。
トーニョ君みたいに上手いプレイヤー初めてあったからもうちょっとやりたかったなっ』

と、そこでイヴが言うのに、空気読んで、お願い…もう泣きそう……と、フランはリアルでハンカチを目に当てる。



(アーサー、ちょっと頼む…)

と、さすがに今後の事を考えてギルベルトがウィスモードでこっそりフォローをアーサーに依頼。

ちなみに会話はみんなに聞こえる通常会話「」、パーティ内だけ聞こえるパーティー会話『』、ギルド内だけで聞こえるギルド会話≪≫、特定の相手にだけ聞こえるウィスモード()がある。

今回は個人的な依頼なのでウィスモード。
ふられたアーサーは仕方なくフォローを入れてみる。

『私も残念です。守るなんて使って頂いたの初めてで楽しかったです。
また機会があればご一緒して守って下さい』

エドァルドが得意げにしていた機能“守る”を持ちあげつつ、当たり障りのない挨拶。

さらに言うなら…女言葉が嫌なら敬語使えば不自然じゃないななどと言う事にも気付いた。


その言葉に
『もちろんですよっ。ぜひまたご一緒しましょう(^^ 』
と、力の入ったエドァルドの言葉。


≪あーちゃん、アホにプロヴォいれたらあかん。タゲ固定するで?≫
ギルド会話でアントーニョは不機嫌に言う。

≪プロヴォって…ウォーリアのテクじゃなかったっけ?≫
きょとんと言うアーサー。

今アーサー女キャラなわけだから、無意識に男キャラの気を引く発言をすると、つきまとわれるんだよ…って説明は野暮だよねぇ…と、内心思って黙っているフラン。

≪わからんのやったら、ええわ≫
アントーニョの呆れたため息。

裏でそんなギルド会話を交わしつつ街に戻ってその日は解散した。



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