ネットゲームな日々
翌日からは春休み突入なので、4人とも結局そのままカークランド家で昼は勉強、夜はノートPCを借りてプレイしてる。
まあ前回と違って急いですすめる必要もないので、レベル上げ以外にもそれぞれ栽培なり金策なりにいそしみつつ、まったりと遊んでいた。
アーサーはマイルームで育てられる鉢植えにはまっているし、ギルベルトは相変わらずミッションを試しつつ情報を集めていて、アントーニョは一人で新機能を色々試しつつ金策をしているようだ。
そして一人暇で、しかしソロもできないフランはしかたなしに野良をさすらっていた。
もちろんその間もギルド会話はしてるし、レベルを上げたいとなったらやっぱりいつものメンバーだ。
今日はみんなでレベル上げの日。
パーティーを組む場合、人数多い方がパーティーボーナスといって経験値が多く入るので、いつもの4人の他にもう2人誰かを誘うことにした。
無難な所でアタッカー一人に盾一人。
パーティー参加希望のマークを出してたガーディアン男とウォリアーの少女を誘ったわけなのだが…
『よろしくねっ♪』
と投げキスの動作をしてパーティーに入ってきたウォリアーの少女…どこかで見た様なキャラクターだ。
名前は…イヴ。
前回の殺人事件の犯人と同じ名前で同じような容姿のキャラ…。
偶然だよなっ…あのイヴは今頃刑務所のはず…と、微妙に沈黙な4人。
もう一人はまあ普通に美青年系のキャラのガーディアン、エドァルド。
『よろしく(^^ 』
と無難にお辞儀をして入って来た。
『フランだよ。よろしくね。今日は楽しくやろう』
と、野良慣れしたフランがまず笑顔で挨拶。
『マリアだ。よろしく。今日は俺が釣り役で盾はエドァルドな』
とギルベルトは念のためとパーティーの分担を確認。
『トーニョやでっ。今日は盾役がおるし気楽にやらしてもらうわ~』
と、アントーニョも普通に挨拶。
最後にトーニョの後ろに隠れるようにして無言のアーサーのキャラ、女プリーストのアリスにエドァルドが
『アリスさん?』
声をかけた。
声をかけられてアーサーは悩む。
正直…たとえディスプレイ上と言えども女の子プレイは恥ずかしい。
ギルのようにキャラの見かけは見かけとして中身は男なわけだから、開き直って普通に男言葉で話せばいいのだが、この見かけで男言葉と言うのもそれはそれであまりよろしくない気がする。
結果…アントーニョの影に隠れ、無口になる。
「あ~ちゃん?」
リアルで隣でプレイ中のアントーニョに不思議そうに声をかけられ、
「…なんでもない…」
と、首を横に振るアーサー。
真っ白な肌が赤く染まる様を見て、アントーニョの方も、
(これあかんやん。可愛すぎや…)と、褐色の頬を赤くする。
そして気持ちが変な方向へいかないうちにと、アントーニョはディスプレイに集中した。
『堪忍な、この子人見知りやねん。別に離席とかやないから気にせんとって』
とアントーニョがフォローを入れると、アーサーは慌てて
『ごめんなさいっ。よろしくお願いします』
と、挨拶をする。
それをどう取ったのか、エドァルドはニコリと笑みを浮かべ
『そうなんですか。可愛らしい方ですね』
と言ったあと、アリスの前で膝まづく動作をとって言った。
『今日は僕がお守りいたします。どうぞ宜しくお願いします。姫。』
≪うっわぁ~、なんやねん、こいつ!きも~!≫
と、ギルド会話で叫ぶアントーニョ。
≪あ~、アリスちゃん気にいられたのかもねぇ≫
と、にやにやするフラン。
≪単に盾と後衛だから…RPGだろ≫
というアーサーに、
≪ま、そういうことだ。色々なプレイの奴いるからいちいち気にすんな≫
と、最後にギルがそう締めくくった。
Before <<< >>> Next
0 件のコメント :
コメントを投稿