オンラインゲーム殺人事件再びっ1章_4

初日 ― ジョブ選択


そんな感じで案内をされ、それぞれ部屋に荷物を置いたあとは、3人でまた下のリビングへと降りて行く。

そこには大きめのローテーブルにそれぞれノートPCが1台ずつ、計4台。

始める前に先にと、ダイニングでアントーニョ作の昼食を取った後、4人ローテーブルを囲んで座り、PCに向かった。


「トーニョから説明聞いてると思うけど…」
と、シリアルIDを配りながら言うアーサーに、フランとギルベルトは大きくため息をついて首を横に振った。

「そか、じゃあ説明するな。」
と、苦笑するアーサー。

「えと今回は俺達は自分でゲームやってみた感想とか、あとは一般ユーザーの感想とかを開発にあげる事を条件に、メディア代とか月々のサーバー使用料とか免除なんだ。
で、あくまで一般ユーザーの感想だから、キャラその他の条件は一般ユーザーと一緒。
一般ユーザーに交じって普通に自由に遊んでくれ。
ただし自分がモニターだって言う事は厳禁だ。
プラス俺はこの話持ってきた会長が亡くなった爺さんの親友だっていうのもあって、万が一向こうの社内で融通はかっちゃう人間が出ると困るから、俺とわからないようなキャラにしろと言われてる
もちろんお前らも俺の身元とか割れるような話は一切禁止な。
ゲームは俺達が会うきっかけになった例のゲームの開発を引き抜いて、あれを元にしてるらしくて操作性その他は一緒だから、馴染みやすいと思う。以上だ」


「ふ~ん…じゃ、どうせアーサーがキャラ変えるならさ、いっそジョブも変えたら?」

「ん~でも魔法ジョブやりたい…」
フランの言葉にアーサーが若干難色を示すと、ギルベルトが提案した。


「じゃ、アーサーがプリーストやってみればいいんじゃね?
攻撃って方向じゃねえけどHPや状態異常の回復や強化魔法を切らさないようにするタイミングとかMP管理の他に、回復でヘイト乗るからヘイト管理も必要になってくるし、結構テクニカルで面白いぜ?
回復はパーティーの命綱だし、トーニョやフランに任せんのは心許ねえけど、アーサーなら安心して任せられっし」

「プリーストか…」
ギルベルトの説得にアーサーが少し心を動かす。

「そしたら俺様シーフになって釣り役やってやるよ。
で、トーニョがベル盾で、フランが支援やれば結構良い線行くんじゃね?」

「やってみるか」
とアーサーが了承した時点で、トーニョとフランの目がきらり~ん☆と光った。


「じゃ、俺らであーちゃんてわからんキャラ作ったるわ。
ついでにギルちゃんのも作っといたる」

「うんうん。自分だとさ、客観視できないじゃない?
だから俺らが作ってる間、ギルちゃんと一緒に仕様で前回と変わった部分チェックしといてよ。
俺らじゃマニュアルみてもわかんないし。分担してちゃっちゃと始めようよ」
と、珍しく二人仲良くそう勧める。


「あ~確かに…変更点結構あるな。
じゃ、とりあえずジョブ決まった事だし計画たてっか」
ギルベルトの言葉にアーサーはうなづいた。

確かにやるからには計画的にやりたい。

そして…正直アントーニョとフランにかき回されるより、ギルベルトと二人の方がより効率的な計画を立てられそうだ。

こうして4人はアントーニョとフランのキャラ作成組と、アーサーとギルベルトの仕様確認組に分かれた。

秀才ではあるが、変なところがお人よしで抜けている…それはアーサーとギルベルトの共通点でもあった。

この時秀才二人組はあとの二人にキャラ作成を任せた事の恐ろしさに気付いていなかった。


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