人魚島殺人事件 後編_8

迷探偵と相棒の華麗な事件簿


「協力してくれよ?相棒」

一応その後アーサーから連絡をもらったギルベルトが松坂の自白に従って松坂の部屋のクローゼットの中を調べると、斉藤の絞殺死体が発見された。


そこでまたふと感じる違和感…。
しかしはそれが何かどうしてもわからない。
そうこうしているうちに警察がやってきた。


「トーリスです。今回はよろしくお願い致しますっ!」
責任者らしき人物にいきなり頭を下げられて戸惑うギルベルト。

「いや…こちらこそ…。というか…何故俺に?」
「サディク警視から今回の事件現場には警察も手をやいた昨年夏の高校生連続殺人事件を始めとして5件もの事件を全て短時間で解決してみせた天才高校生がいるから勉強させて貰って来いと言われてまして…」

あの人はぁ…と、ギルベルトは内心頭を抱えた。

「え~と、もう思い切り尾ひれつきまくってるんで。その件は忘れて下さい」

ギルベルトはきっぱり言うと
「現在の状況は…」
と、話を先に進めた。


「被疑者は確保してます。自供と、その裏もある程度取れてます。
これがとりあえず報告書です。
調べてこちらに上げて頂きたい事もここに明記してありますので」

警察を待っている間にノートPCで作成した報告書をだすと、トーリスはそれを見て感嘆の声をあげる。

「さすがですねっ!もう解決されてましたか。
毒や指紋についてはもちろん通常調べる物ですから、結果が分かり次第報告させて頂きます」
トーリスはそう言うと、部下にテキパキと指示をする。



「あの…申し訳ありません、今宜しいでしょうか?ギルベルトさん…」

やがて結果が出たのだろう。
ギルベルトに警察の責任者のトーリスが声をかけてくる。

「あ、はい。何かわかりましたか?」

「はい。淡路さんはおっしゃった通り死因は溺死。斉藤さんは絞殺。
渡して頂いた髪の毛も確かに斉藤さんの物でした。
で、水野さんの死亡原因となった毒はりんごジュースの瓶の中から発見されました。
他のオレンジジュースや炭酸飲料からは薬物の類いは検出されていません。
他に何かお聞きになりたい事があれば誰でも捕まえておっしゃって下さい」

トーリスはギルベルトに調べる様依頼されていた事を報告する。

「ありがとうございます」
ギルベルトが礼を言うと、トーリスが下がって行く。

「ロヴィが飲める物には…毒が入ってなかったんだな。
ロヴィが飲めないたった一本しかないりんごジュースにだけ毒って、やっぱり神様が友達殺させない様にってはかってくれたのかもな」

横で一緒に報告を聞いていたアントーニョに抱え込まれた状態のアーサーがつぶやいた。

「神様やなくて、毒いれたのは松坂やけどな」
アントーニョは苦笑する。

まあ…毒物入りの飲み物を他と間違わないように一本だけ種類を変えて、水野の側にさりげなく置いたのだろう。

え?しかし…ギルベルトはふと思いついて硬直した。

一つの考えが頭をよぎる。

「トーリスさん!」
ギルベルトはトーリスに一つの事件の情報提供を依頼した。

そして…しばらくして情報がもたらされると、ギルベルトは確信して、トーリスに松坂を含めた今回の参加者の学生全員を集めてくれるよう頼んだ。





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