珍しくしょんぼりうなだれるアントーニョに、
「おまっ!!そいうの口にだすなっ!!」
と真っ赤になって慌てるアーサー。
うん…もういいよ。
お兄さんわかってるからさ。
いまさら恥ずかしがらなくても、お前ら十分馬鹿っぷるだし…。
何で無理をさせたかは容易に想像がついてしまい、フランシスが付いてきた事を真剣に後悔していると、部屋のドアが小さくノックされた。
力なく立ち上がりかけるアントーニョを制して、フランシスが
「いいよ、お兄さんが出る」
と、ドアに向かって戸を開ける。
「…!」
ドアの向こうに立っている人物を見てフランシスは硬直した。
「何…でしょう?」
なるべく冷静にとは思うものの、表情は硬く声が震えている時点でうまくいっているとは言えない。
どうやらロヴィーノを嫌っているらしい水野を今気がたっているであろうアントーニョに引きあわせたらまずいかもしれない。
ギルベルトの言葉ではないが、下手をすれば殺人事件の加害者の友人になりかねない。
「あの…俺、アーサー君に話が…」
おどおどと言う水野の言葉にフランシスはさらに動揺する。
「無理…だと思う。俺じゃダメです?」
と、ヘラリと笑みを浮かべて言うと、水野は小さく首を横に振った。
「俺を救えるのはたぶんアーサー君だけだと…」
「は?」
戸惑いつつもそのまま奥に通さず戸口で水野と応対しているフランシスに、部屋の奥から
「通してええで~」
と、アントーニョの声がする。
「ええ??」
わけがわからずオロオロするフランシス。
「その人たぶんもう誰にも敵意とかもっとらんわ。
さっき嫌いですか?聞かれた時に、びっくりしたんと怖かったんとで消えてもうたんやない?違います?」
と奥からかけられる声に水野はコクコクうなづいた。
「なんやあの場ですごい殺気放っとった奴おったんやけど、親分、水野さんに注意向けとったから、その人やないことは確かやわ」
アントーニョの言葉に、フランシスは身体を少しずらして、水野を部屋に招き入れた。
「俺に…話ですか?」
アントーニョに助けられて半身を起こしたアーサーに、水野は
「あ、あのっ、少し話をしたくてっ」
と、身を乗り出した。
そこで水野はちらりと他に目をやる。
「二人きりの方がいいです?」
「あ、はい、できればっ」
「それはあかん」
アーサーと水野のやりとりにそこはアントーニョも断固として宣言した。
「えっと…でも…」
「絶対にあかん。あーちゃんの言う事は何でも聞いたりたいけど…寝室に他の男と2人きりなんて絶対にあかんわっ!」
ポコポコと怒るアントーニョ。
理由はそれかぃとフランシスが苦笑して、
「あ~、こいつそういう奴なんです。めちゃくちゃ独占欲強い。
もうアーサーの部屋の付属品だと思って気にしないでもらうって事じゃダメです?
くちは挟まないって約束で」
と、言うと、水野も
「ホント仲いいんだね」
と苦笑してうなづいた。
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