コンコンっと咳をすると喉がひどく痛む。
国情が良くないので体力が著しく落ちていて、体調を崩しやすい。
この風邪だって、国情からというより落ちた体力のせいでひいた普通の風邪だ。
脳裏に浮かぶのは幼い頃。
騙されて攻めこまれて連れて行かれたフランスで、体調をくずすと出てきた甘い蜂蜜入りのホットワイン。
あれはプライド的には地の底まで叩き落とされた気分だったが、フランスは口は悪いが結構態度は甘い男だったので、体調が悪くなるとふと懐かしくなる瞬間がある。
(ああ…あれもう一度飲みてえなぁ…)
ケホケホ咳き込みながら枕に顔を埋めると、イングランドはそんな事を思った。
(もう俺も代理戦争、フランスに同行して捕まってくれば良かったか…)
などと、元気になったら絶対に後悔にのたうち回る事をかんがえてしまうくらい、この長く続く体調不良はつらい。
(美味いものも食いてえなぁ…)
馬鹿にされるのは腹はたつが、食事は確かに美味かった。
どうせ分捕るならスペイン商船の金銀財宝よりもフランスの料理人にしてくれ…と、思う。
(あ~、もう寝ちまおう、マカロン食いてぇ~!)
イングランドはガバっと頭からブランケットをかぶって目を閉じた。
夢の中でだけでも旨いものを飲み食いできる夢が見たいなぁ…などとのんきな事を思いながら……
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