仇敵レディと魔王を倒せ_3_2

女神発見


朝起きて食事を取ったら即移動。
昼食は朝のうちに作っておいて歩きながら摂る。
その代わり夕方になったら野宿の準備もあるので早めに移動を止め、トリックがテントや夕食の準備をしている間に俺様は辺りを見周り、危険がないかの確認…と称した散歩。

いつもグルリと半径200mくらいの範囲を見回って、食料になりそうなモノを見つけたら狩って、水の気配があれば水を調達して戻る。

今日もそんな感じで散策しているうち、何か小さくはねえ生き物の気配に俺様はスッと足音と気配を消して近づいた。

木の陰から覗くと、そこは森の中に沸く小さな泉。
小動物が集まっている。
まだわずかに落ちきらない日差しがキラキラと水面を反射して光っている。
そんな中にふんわりと座る白い影。
女だ……。

泉の側に桶を置いて、その中で布を洗っている。
サラサラの流れる波のような金色の髪。
かすかに聞こえる小さな歌声に合わせるように、その細い肩口に止まった小鳥がさえずっていた。
そんな背後から、テテテッと子を咥えた猫に似た小動物が駆け寄ってくる気配に、女は振り向いた。

うっあ…すっげえ可愛い。
なんつ~か…あれだ、清楚で可憐で、守ってやりたくなるタイプ。
年は…まだ10代前半だな。
とにかく可愛い。

思わず見惚れている俺様の視界の先で、透き通った大きなグリーンの目が小動物を見てまあるく見開かれ、次に少し心配そうに綺麗な眉が寄せられる。

「怪我…しちゃったのか。見せて?」
と差し出す娘の手を恐れることなく、猫もどきは子猫もどきを娘の手に渡した。

「大丈夫。すぐ治してあげるから。」
優しい声音で言うと白い指先で子猫もどきの額をなでる娘の姿に、不覚にもときめいた。

何か不思議な呪文を唱えながら、赤い血のついた子猫もどきの右前足に手をかざすと、そこから柔らかい光が出て、子猫もどきの怪我が見る見る間に治っていく。

ああ…天使…いや、女神様みてえだ。
慈愛深く清らかで愛らしい。
女っつ~のはこうあるべきだよな……。

子猫もどきは怪我が治ると嬉しそうに女神の手を舐めつつ、その柔らかそうな膝の上におさまる。
その頭を撫でる白い手の慈しみに満ちていて、眩しいくらいだ。

ああ…俺様のフロイライン……

しばらくはそうして子猫もどきを撫でていたが、やがてその手を桶に付けた布に戻し、洗い終わった布を軽くしぼって両手で掲げる。

薄く繊細なレースの……あ、あれは…っ!!!下着っ!!!!
真っ白で可憐な感じの…俺様の女神にぴったりの……

ふとそれを身に付けた彼女の姿を思い浮かべたらツ~と鼻から液体が伝い、慌てて充てた手には赤い血が……と思った瞬間、後頭部に凄まじい衝撃が走って、俺様の意識は暗い闇の中へと落ちて行った……。





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