ヤンデレパニック―私のお兄ちゃん【前編】_7

お兄さん、ヤンデレに恐怖する


「フランさま♪オハヨです♪」

翌朝…学校に行こうと駅の改札をくぐった瞬間、出来れば会いたくなかった、昨日不毛な会話を続けて諦めた相手がフランを出迎えた。


結局その夜、オンラインゲームにインしたフランシスは、アリスに今使っているキャラは親しい友人の容姿を模したもので、キャラ名もそこから取った事を告げた。


「じゃあ…ギル様はこれからなんとお呼びすれば?」

と普通に聞かれて、フランシスも普通に

「あ~、友達にはフランて呼ばれてるけど、ゲーム内では普通にギルのままでいいよ~」

と答えたのだが…そこに続くアリスの言葉…


「フラン様…ですね?
大丈夫っ!アリスはちゃんとあなたを探しだして見せます♪
待ってて下さいねっ」

で、ようやく違和感を覚えた。


探し…出す…

そういえば…何故ギルという名前と容姿だけでギルベルト本人にたどり着いたんだっけ?この子。

と、そこに考えが至った時点で嫌な予感がした。


「ねえ…俺、ギルちゃんの本名とか住んでる所とか言ってないよね?」

と聞いてみると、アリスからの答え

「私ね、魔女に対抗するために魔法も勉強してるんです♪
だから使い魔を使って探しましたっ」

ゲーム慣れしているフランシスはギルベルトよりは考えが柔軟だ。
アリスの言葉を脳内で変換して答えを導き出す。

「え~っと…探偵か何か…かな?」
使い魔ですっ」

間髪入れずに訂正をされたが、否定されないところを見ると探偵を雇ったんだろう。
考えたくはないが…。

「あのねアリスちゃん、これは飽くまでゲームだからね?
俺もゲームを離れれば普通の高校生だよ?」

「ええ、わかってますっ。フラン様は普通の高校生に生まれ変わってるんですよねっ。
だから私達を引き裂いた魔王に見つかる前にちゃんと見つけ出して、アリスが魔法でお守りしますから待ってて下さい♪」

「いやいやいや、違う、そういう事じゃなくて…」

「あ、ちゃんとわかってますよぉ。
守ってもらえるとかそういう目的で会いたい訳じゃないですよねっ。
私とフラン様は前世では恋人同士だったわけですし…。
私もちゃんと愛してるからお会いしたいんです///」

……駄目だ…日本語通じない……

オタク慣れしている自らもオタク的なものが大好きなフランシスだが、これはさすがに無理だと思った。

どうしよう…どうすればいい?

軽いパニックの末、フランシスはPC上のゲームから逃走を図った。
まあ…早い話がゲームを終了して、PCの電源を落としたのだ。





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