アントーニョの愛情というのを身体で散々示されたアーサーが意識を飛ばしている間にホットチョコレートを入れてきたアントーニョは、ベッドの中でグッタリとしているアーサーを起こしてマグカップを渡す。
――する側の方が絶対に疲れると思うんだが、何故こいつはこんなに元気なんだ……
アーサーはスッキリしてご機嫌な様子のアントーニョを見上げてそう思う。
じ~っと見上げているとアントーニョはその視線に気付いて
「なん?まだ足りひん?もう1回しよか?」
と、恐ろしい事を口にしたので、アーサーはブンブンと首を横に振ってマグカップを受け取った。
そして迂闊な事を言ったら更に思い知らされそうなので、アーサーはそれに対して恐る恐る口を開く。
「ギルが……」
散々酷使したため掠れた声で言うアーサーにアントーニョは少し不機嫌に眉を潜めた。
「ギルちゃんが何かしたん?」
「…浮気……」
喉が痛くて単語になってしまったが、アントーニョにはそれで十分なようだった。
「ちょお、親分ギルちゃんに電話かけるわ。
ロヴィに手出しとってそんなんホンマやったら半殺しやっ!」
アントーニョは殺気立った目で携帯を握りしめ、ボタンを押す。
ミシっと音をたてる携帯が壊れるすんでで、どうやら電話はつながったようだ。
「ギルちゃん…自分何してくれとるん?」
そういう声はさきほどまでアーサーに向けていたドロドロに甘い声とちょうど真逆の、背筋が寒くなるような恐ろしい声だった。
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