ローズ・プリンス・オペラ・スクール第十一章_3

「トーニョっ!お前なにすんのよっ?!!」

バン!!とドアを開けて怒鳴りこんできたフランシスが思わず
「え?ええ??ちょ、ちょっと大丈夫?!!」
と心配する程度にはアントーニョも顔色を失っていた。

「どうしたの?!坊ちゃんに何か?!」
KYと言われマイペースを地で行くアントーニョがこんなに動揺するなんてことは、最愛の対の事以外にありえない。

フランシスはアントーニョにしっかりと抱きしめられているアーサーにチラリと視線を移した。

「アーティ…目覚まさへん…。めっちゃ嫌な夢見とるらしいんやけど、覚まさへんねん」

そう言うなりポロポロ涙をこぼすアントーニョ。

「精神がどんどん弱っていってんのわかんねんけど、なんもしてやれへん。
どないしよ…心が死にたい言うてるんや…。
この子死んだら親分も死ぬわ…」

あ~…相手の精神状態とかがわかってしまうのも考えもんだね…と、フランシスは内心ため息をついた。
夢の魔力を持つフランシスにはアーサーが眠っていないということはわかる。
夢ではない…精神が本当に存在する何かとリンクしているのだ。

それが原因で壊れかけているとしたら、早くリンクを切って精神をこちらへと連れ戻さなければならないわけだが……。

「ちょっと待ってて。すぐ理事長とギルちゃん呼んでくる。
早まっちゃだめだよ?俺は夢の適応者だからね?
理事長の説明と指示があればなんとか出来ると思うから」

フランシスは念を押してギルベルトのところへと走る。
そして事情を説明すると、ギルベルトに先にアントーニョの所へ行ってくれるよう頼んで、自分はさらに理事長のローマの所へ。

そこで状況を話すとローマは顔色を変えた。
「…まじ…か…。学園内で学生でも…か…」

まるで何かを知っているような口ぶりにフランシスは眉を寄せるが、

「あ~、説明は後だ。とりあえず…ちゃっちゃとなんとかしねえとな。」
と、フランシスをうながしてアントーニョの離れへと急いだ。



Before <<<      >>> Next


0 件のコメント :

コメントを投稿