ローズ・プリンス・オペラ・スクール第九章_3

「爺ちゃんこんな時間に何~?」

ポリポリとビスコッティを齧りながら驚くほどいつもどおりに現れたフェリシアーノにギルベルトは驚くが、ローマも別にそんな孫の様子に驚くこともなく、一同にソファに着くように言いながらも、

「お前…こんな時間にビスコッティか?」
と、あんなことのあった孫に最初にかける言葉か?とギルベルトが呆れ返るような言葉をかける。

――ま、あれも俺の孫だし大丈夫だろっ

そんなさきほどの言葉を裏打ちするように、その祖父の言葉にフェリシアーノは
「う~ん、だって出すもの出したらお腹すいちゃって。」
と、エヘヘっと笑い、ギルベルトはゴン!!と思い切りテーブルに突っ伏して頭をぶつけた。

なんなんだ、この緊張感のない祖父と孫は…。

「…フェリちゃん…本当に大丈夫か?俺様達に気を使う必要はねえよ?」
と、それでも声を掛けてみると、

「へ?何が?」
と、心底不思議そうな顔で聞き返されて、ギルベルトはどう答えていいかわからず真っ赤になって絶句する。

「あ~、うん。性格の違いやんなぁ。アーティはもうめっちゃダメやったから…」
と、そこで珍しくアントーニョが曖昧なフォローを入れると、フェリシアーノはようやく言わんとするトコロに気づいたらしい。

「あ~、あの魔物のことね。」
と、これもまたあっけらかんと言い放った。

「確かに今冷静になって考えてみると、気持ち悪いよねぇ。
でもあの時はめちゃくちゃ気持よくて、俺何度もイッちゃった。
魔物なのになんであんなテクニシャンなんだろ?」

「いやいや、もうその辺で止めてあげてっ!
ギルちゃんHP0になってるからっ。DTには刺激強すぎるからっ!」

その手の話題に免疫がなく真っ赤な顔で震えているギルベルトに、フランシスが思わずしてはいけないフォローする。

それに対してフェリシアーノが
「え~?俺だって童貞だよ~。
ていうか、あれって人間じゃないからノーカウントだよね?
あれで童貞喪失ってさすがに嫌だな~」
と、少し眉を寄せると、さすがのフランシスも反応に困って、うん、良いと思うよ、と答えて、先をうながすように理事長に視線を向けた。


そこで難しい顔で考え込んでいたローマは顔を上げ、今度はアントーニョに視線を向けた。

「なん?」
「いや…お姫さんは?」
「寝とる。」
「いや、そうじゃなくて…実際に…」
「イッたのか言う話なんやったらイッてへんよ。
かなりえげつない責め方されとったみたいやけど、この子はめっちゃ貞操観念強い子ぉやから泣きながら耐えとった。
もちろん最後までもされてへんし。」
アントーニョにしては珍しく空気を読んでそう答えると、

「あ~、その差かぁ…」
と、ローマは片手でグシャグシャと頭をかきむしった。


「どういう事?貞操観念ないととか倫理観とかそういう問題?」

それに対してフェリシアーノが少しショボンとするのには、アントーニョが

「あ~、ちゃうと思うわ。俺の言葉のせいやったら堪忍な。
別にフェリちゃんが貞操観念ないとかやなくて、アーティは単にパートナーの俺に操立てして、どんなに気持ち良おされても俺以外の相手じゃイッちゃあかんて言う気持ちが強くてイケへんかったって事や。」
とフォローを入れる。

「そっか~。ほんとにラブラブなんだねぇ。」

と、それで素直なフェリシアーノはまたニコリと笑みを浮かべるが、ローマは難しい顔のまま、

「普通ならな、いくら対でも会ってすぐ手ぇ出すなって言いてえとこなんだが、今回に関して言えばそれが原因なら正解だったってことだ。」

と意味ありげに口にしたあと、説明しろとばかりにギルベルトにアイコンタクトを送った。


それを受けてギルベルトは自分が聞いた事と先ほどの資料を淡々とまとめて説明をする。




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