え??
驚くフランシスと怒るアントーニョ。
フランシスが止めるまもなくドアを直接蹴破ろうとしたアントーニョの足はドアの向こうに吸い込まれる。
そして更に止めるまもなくドアをくぐり抜けたアントーニョは、何故かドアの向こうから部屋に入ってきて目を丸くした。
「自分…フランのドッペルゲンガーかなんかか?あいつもうすぐ死ぬんか~」
「いやいやいやいや、違うからっ!お前なんでそうなんの?!」
「せやかて親分今ドアくぐったんやで?で、ドアの向こうにちゃんと顔にカビはやした男が…」
と、もう一度ドアをくぐってドアから出てくるアントーニョ。
「ほら、おるやん」
と、当たり前に言う。
「ちょっと待ってっ!お前たぶんループさせられてる。
そのドアくぐったら多分部屋の中にもどっちゃうんだよ。
第一お兄さんの美しい顔にはカビなんて生えてませんっ!
これはおしゃれ髭なのっ!!」
…とフランシスは言ったが、そう言った瞬間、アントーニョの顔が険しくなり、
「アーティが怯えとるっ!!!」
と叫ぶとまたドアの向こうに消えてドアの中から出てくる。
クルクルクルクルと何度もそれを繰り返してようやく体感的にフランシスの言葉を理解したらしい、アントーニョは、
「…っざけんなやあぁあああ!!!!」
と、そこで何を感じ取ったのか急に怒り出し、特大になった炎のハルバードを部屋中で振り回した。
――ひぃぃぃ~~!!!!
頭を抱えてうずくまるフランシス。
燃え上がる部屋。
しかし不幸中の幸い。
そのおかげでドア側以外の壁にはおかしな魔法がかかっておらず普通に焼け落ちて、脱出できる事がわかった。
焼け落ちた壁を蹴破って外に出ると、一路対の更衣室を目指すアントーニョとそれを追うフランシス。
色々焼け焦げて煙が立ち上る中方向を見失いかけるも、その周りをギルベルトが最近飼っていた黒鷲が飛び回って、案内するように一方向に向かって飛んでいく。
「あっちみたいやなっ!」
と、それを追うアントーニョとフランシス。
こうして舞台を駆け上り階段を駆け下りた二人の前に見えてきたのは、魔物の触手に捉えられたアントーニョの大事な大事な対の坊ちゃんのあられもない姿。
普段大雑把なくせにこんな時だけは実に器用に対の周りだけを綺麗に避けて触手を焼き払い、対を取り戻したアントーニョに先に行くように言われて、フランシスは1人、どうやら触手が伸びてきている元…本体がいるらしい方向へと向かった。
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