ローズ・プリンス・オペラ・スクール第四章_1

対のお仕事


アントーニョとアルフレッドが体育館で模擬戦闘を行った時に呼んでこられた理事長は、ニヤニヤと面白そうにその経過と結果を聞き、最終的に集まった野次馬達に解散を命じると、アーサーの側に歩み寄った。

そして、
「トーニョお前、もうちっと…せめて俺が到着するくらいまでは沈めずに遊んでやれば良かったのに。」

と、教師にあるまじき発言をしたあと、

「とりあえず昨日は対面式の後に倒れちまってまだなんにも対の説明してねえからよ、お姫さんをちっと借りてくぞ?」
すぐ返すから俺の事は殴んなよ?と、アントーニョに声をかけつつ、アーサーの頭を大きな手でポンポンと叩く。

なんだかまるっきり子ども扱いだ。
まあ理事長からすると皆本当に子どもなのだろうが…。


「アーティにおかしな事言わんといてな、おっちゃん。」

と、それに応じるアントーニョも、普段アーサーからするとあれだけ大人に見えるのに理事長といると子どもっぽさが見え隠れするような気がした。

「がははっ。言われて困るような事はしねえこった。
ま、今回は本当に対がどういうもんかとか、“特別”な生活とかの説明だけだからよ、安心しろ。」

ローマはそう言うとアーサーをうながして理事長室へと足を向けた。


その道々はまるで近所の父兄か何かのような雰囲気で、悪友3人の幼稚舎からの話だとか、孫である双子の話だとか、もう一人の対のアルフレッドが進級式前に高等部へ忍び込んだ話だとか、そんな当たり障りのない話をテロテロと話す。

そうこうしているうちにたどり着いた重厚な扉の前。
一般生徒だとおそらく一生入ることのない理事長室を前に、さすがにアーサーもゴクリとつばを飲み込むと、

「ま、そう固くなるな。友達のジイちゃんの部屋なだけだ。」
と、ローマは笑ってまたアーサーの頭を撫でた。



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