「おかしい…戻らない」
と、青くなるイギリスの姿。
「あーでもお兄ちゃんて呼び始めたのが夜だからじゃね?」
と、それに答えるプロイセン。
「あ、そっか~」
と、実ににこやかに、日中はもう一日分と妹である事を堪能するイギリス。
だが…夜……
仕事から帰ったドイツが目を丸くする。
――なんだ、イギリス、まだ戻ってなかったのか…と。
え?え?ええ???なんで????
わたわたと慌てるイギリス。
頭を抱えて考え込むプロイセン。
「…あ……もしかして……」
怖い考えが脳裏を走った。
「なに?なんか理由がわかったのか?!」
と、すがりつくイギリスを、それは習慣でしっかり抱きしめて
「最後の夜…俺様が抱いちまったから…か?
兄と妹と認められなくなったとか?」
と、言うプロイセンに、青くなるイギリスと、ぷるぷると震えだすドイツ。
「兄さんっ!!あなたは…何をやってるんだあぁああーーーー!!!!!」
響き渡るドイツの怒声。
そして正座をさせてとつとつと一晩説教をする弟。
「……とりあえず、こうなったらちゃんと責任を取るようにっ!
イギリスも俺の事は今まで通り兄として頼って構わないから。
うちの馬鹿兄が本当に取り返しのつかない事をした。すまないっ!」
日付が変わるくらいにそう締めて、頭を下げるドイツにはイギリスも言えなかった。
自分の方が処女がもったいないからエッチしようと誘ったなんて言う事は……。
「あー、もちろん責任は取るぜ?
俺様は夫でヴェストはお兄ちゃんて事で、もういいよな」
と、そこはイギリスが誘ったからだとか言いださないあたりがプロイセンは潔い男だとイギリスは感心した。
「まあ…どっちにしても可愛い大事な相手には変わんねえだろ」
「うむ…まあそうだが…」
と言う兄弟どちらの言葉もどこかくすぐったくも嬉しい。
戻れなくなった…それはなかなかショックなわけだが、仕方ない…と諦めが付く程度には……
そこでボ~ンとその時鳴る柱時計。
正確な時を刻むその時計が翌日0時を告げた瞬間、ぼわん!といきなり充満する煙。
「イギリスっ!イギリス、大丈夫かっ?!!」
「お姫さん、返事してくれっ!!無事かっ?!!!」
慌ててその煙を散らそうと手をバタバタと振り回す兄弟の目の前にいたのは……
「へ?あれ?イギリス??」
「なんだ、戻ったのか?」
長かった髪は短くなり、その代わりに額にはしっかり紳士の証が戻ったイギリスの姿。
本人もきょとんとして、自分の手足を確認している。
「ああ。…なんだかわかんないけど…戻ってる……」
そう言って少し不安げに見あげる目は、確かに少女だった頃とさして変わらない。
口ほどに物を言うその目が言わんとする事を正確に読み取った兄弟は
「まあ…変わんねえけどな」
「ああ、俺が兄代わりで…」
「俺が夫だな」
「「というわけで…」」
と、両方からイギリスを助け起こして、両方からその頬に口づけて言った。
「「ずっと俺達と一緒にいよう」」
こうしてイギリスの仕事に支障がない範囲でドイツで暮らし、逆にイギリスが仕事の時には出来る限りドイツも一緒にイギリス邸で過ごす。
そんな事が当たり前になったある日、ふと思い出して不思議に思ったイギリスは妖精に聞いてみた。
「なあ、なんで男に戻るのが一日遅れたんだ?」
まあ今となってはどうでも良い事ではあるのだが、その当時はやっぱり焦ったものだ。
そんなイギリスの問いに妖精はころころと綺麗な声で笑って言ったのだった。
「だって…プロイセンとは兄弟じゃなくなっちゃったでしょ?
そうしたらもう一人のお兄ちゃんと兄弟になった日に呪いが解けた。
それだけよ?」
面白かったです!特にプーちゃんが好き勝手に言っている国達に言い返すところが…スッキリしましたし。
返信削除ただ、プーちゃんがどこから鞭を出したのかが気になりますけど…
読んで頂いてありがとうございます。
削除国設定のギルアサだと、やっぱり踊る会議でアサが色々言われているのをかばうぷーちゃんというのが半分お約束のようになりますね(^_^;)
鞭は…まあアサのステッキのようにぷーちゃんの標準装備ということでw