鬼が島に向かう前にまずは情報収集とイギリスの服を買いに街へ向かう事にした二人。
日本提供のキュッキュッとなる子ども用の靴でとてとてと歩く小さなイギリスはとても可愛いが、やはり小さいだけあってお互いに歩調を合わせるのが大変だ。
それでも小さな手をぎゅっと握って歩くのはなんだか楽しい。
ただ、イギリスが本当にこのくらいの時分にこうして手をつないで歩けていたら…と思うと少し残念な気持ちだ。
今こうして歩いていても自分はすでに大人で…どうせなら近い目線で一緒に歩きたかった。
まあ近い年の場合はどこまでこの子を守ってやれたかわからないので、これはこれでいいと言えばいいのだが…。
(それに…なんだかイギリスとの子連れてるみたいやん?)
現実ではありえないわけだが、最初の二人がよほど怖かったのか、本当に信頼しきったようすでスペインに手を預けているイギリスを見ると、なんだか父親になったような、そんな気がしないでもない。
「大丈夫か?足速うないか?疲れへんか?」
スペインがそうイギリスを見下ろして言うと、照れたように薔薇色の頬をさらに赤く染めてふるふると首を横に振る様も可愛い。
うちの子こんなに可愛いんやで~!…と、自慢して歩きたいくらいだ。
そんな事を考えながら城下町にたどりつくと、街の人々は口々に
「王様こんにちはっ。えらい可愛らしい子ぉですなぁ」
と、声をかけてくるので、スペインは笑顔で、そうやろっと応える。
「今日はどんな御用で?」
「ああ、街の長老のとこに話聞きに来てん。なんや鬼が来たって話やったから」
「あ~…桃太郎(勇者)がおらんと思うたら、王様自ら鬼退治ですか~」
「そやで~」
「ほなら、急がな」
と、スペインは町人とそんなやりとりを交わしつつ、街の中心部へと急いだ。
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