と、謁見の間に駆け込んできたのは見覚えのある銀髪紅眼の青年だ。
こちらも昔懐かしい十字を編み込んだ服の上に鎖帷子をつけている。
「ギルちゃん、騒々しいで?なんやの?」
と、膝に小さなイギリスを乗せたままスペインが声をかけると、ギルベルトことプロイセンは
「お前なっ、ペドってる場合じゃねえぞ!
鬼が島から来た鬼が村で暴れて村人の宝やなんやらを奪って帰って行ったんだけど、退治しようにも桃太郎(勇者)が失踪中だっ!」
と、告げて、誰がペドやっ!と、スペインが投げた杖を、あぶねえっ!と避ける。
スペインはそこで、ベルギーと日本が黙って自分に視線を送っているのは、見て見ぬふりをした。
そして咳払い一つ。
「あ~、菊ちゃん、これが例の事件なんやな?」
しかめつらしく真面目な表情を作って言うと、チラリとイギリスの様子を伺う。
うん…ペドなんて言葉は子どもは知らへんやろし大丈夫やな…と、引いた様子のないイギリスにホッとしつつも今度は菊に視線を向けると、菊はにこりとうなづいた。
「頑張って下さいね…色々とあるでしょうが…」
と、投げかけられる微妙にして不吉な肯定の言葉に嫌な予感を覚えながらも、ここは一発二人きりで鬼を見事に退治して良いところをみせなければと、スペインは
「おう、まかせたって!」
と力こぶを作って見せた。
第4章 <<< >>> Next
0 件のコメント :
コメントを投稿