二国間会議
「じゃ、この件はそういうことで…」
イギリスとの二国間会議。
それほど揉める案件でもなく、スペインとイギリス双方が2枚の書類にサインをすると、それを双方1通ずつ持つ。
あの頃よりは若干感情が出てきた気はするが、相変わらず同僚程度への感情を超えないペリドット。
当時生きていた人間は当たり前だがすでに他界し、国の化身自身のプライベートの歴史など到底記録されないため、当時の事を知っているのはもうスペインとイギリスの二人きり。
しかも何故かある時ぱったりイギリスはその歴史を否定し始めたため、本当の歴史を知るのはスペインのみになってしまった。
それも、そんな事実はなかったのだ…と、当のイギリスから何度も否定され続けて、そんなはずはないと思うものの、時折あれは自分の願望が創りだした幸せすぎる夢まぼろしだったのかと、自信がなくなってくる時もあった。
だからスペインはその歴史を否定されたくないがためにいつしかそれを口にするのをやめた。
それでも…こうして二人きり、一つの部屋にいると手を伸ばしたくなる。
取り戻したくなる。
いや…実際にスペインは手を伸ばしかけた…その時…
――うあぁああ~~!!!!
いきなりペリドットの瞳が大きく見開かれ、イギリスが頭を抱えてうずくまった。
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