エピローグ
結局…スミスはその後自首をして、全てを自白した。
動機は痴情のもつれ。
スミスはカールに手を出したものの、別の生徒が気になりだしてカールに別れを切り出したが、別れるなら関係を学校側にばらすと脅されて殺そうと思ったらしい。
別れ話をいったん撤回して謝って、実はマイクに誘惑されたと嘘をつき、カールにマイクを挑発させて、トリックを決行したことも自供した。
「ひでえ話だな。」
「全くだよねぇ…愛を舐めてるよ、愛を」
ギルベルトの部屋に当たり前に4人集合して、二つのパピコをそれぞれ半分こして、ひそかにお疲れ様会をしながら、アントーニョがひそかにローマから聞いたスミスの自供について聞いて、ギルベルトとフランシスはご立腹だ。
「まあ…花壇に氷捨てたなんて嘘あっさり信じてくれて良かったけどな。
本人が自供しないと証拠はもうないし…。」
「まあな~。結構危ねえ橋だったよな。」
犯人が動く前提での罠だったので、かかってくれなかったら立件出来ないところだったのだが、花壇前で土を入れ替えているところ、そしてギルベルトの部屋に忍んできてからの一連をビデオで提出しているので、なんとか収まったというところだ。
まあ事実が明らかになれば多少強引な事もやるのが”裏教育委員会”なわけだが…。
「まあええやん。ギルちゃんの濡れ衣も晴れたわけやし。」
終わった事件に関しては本当にどうでもいいらしい…というか、今回の事件でアーサーとの距離が著しく縮まって機嫌の良いアントーニョがそう言うと、それまで黙ってうつむき加減でパピコをくわえていたアーサーが顔をあげた。
「でも…やっぱり俺かトーニョが事件の追い込みやった方が良くなかったか?別にギルが悪いわけじゃないのに、居にくくならないか?」
「あー、でも誰がやっても同じだろ?」
「同じやないわ。親分あんなに言わなあかんこと覚えられへんもん。」
「突っ込むところそこじゃないよねぇ」
「いや、でも俺やトーニョは親が転勤族だから結構転校繰り返すし…ずっとここにいなきゃなんないギルだとつらいだろ?」
と、一部チャチャが入って会話がカオスになりかけるが、なんとか話しを続ける。
「ん~でもまあ殺人犯と思われてるよりはやりやすいぜ?」
ケセセと特徴的な笑い声をあげるギルベルトを今度はアントーニョがじ~っと見た。
「ギルちゃん…弟探すだけやったらこの学校やなくても俺等とくればええんやない?」
「へ?」
「とーにょーー!!!!自重しろっ!!なんでお前は懲りないんだっ!!!!」
慌ててアーサーがその口を塞ぎにかかると、アントーニョは口に当てられた手のひらをぺろりと舐める。
「ひゃわわわーー!!!」
アーサーが悲鳴をあげて飛びずさった。
「な~、ギルちゃん、一緒に来ぃひん?
あーちゃん守る人間は多いほうがええけど、変な手を出されたら親分キレてまうから、ギルちゃんやったらええと思うんだけど…」
「何の話だ?」
「え?何?お兄さんだけ蚊帳の外?」
「なんでもない、なんでもない、なんでもないっ!!!」
「なんでもなくないで~」
「だ~か~ら~、何の話だって!事としだいによっては考えてやるから話してみろっ」
「お兄さんは~?!!!」
「話したら終わるんだ、もっと人生考えろ~~!!!!!」
「えっとな、ギルちゃん、学園警察にならへん?」
「こいつ、言いやがったっ!!せめてギル勧誘したいならフランいないところで話せよっ!!!」
「あ~忘れとったわぁ~」
「なに?このお兄さんの扱いっ!!」
こうして引き込まれ組が二人ほど増える事になる。
「あいつもまあ面白い奴ばかり集めてきやがるぜ」
その分対応できる仕事が増えていいけどな、と、報告を受けたローマはまた、ろくに案件も読まずに勘を頼りに依頼書をひょいっと選び出すのだった。
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