幸せ家族の作り方_7

『ロマ、頼むわ~!自分にしか頼めへんねんっ!!』

世界会議の前々日…元宗主国にして育ての親から電話が来た。
いわく…次回のフランスでの世界会議に出席して欲しいとのこと。

ロマーノの国イタリアは化身が南北に分かれていて、世界会議など公のモノはたいていは北の弟が出席するため、ロマーノは留守番をしている。

が、別にロマーノが出席しようがしまいがイタリアとして1人出席していれば他国としては問題ないはずだ。
なのに何故?と首をかしげるロマーノに、スペインは驚くべき事実を告げた。

『いまな、親分のかわええかわええ奥さんはお腹に赤ちゃんおんねん。
せやから心配すぎて1人残しておけへんのや。』

ええええ????
「ちょ、待てっ!どういうことだよっ?!
最近顔あわせてねえけど、いつのまに結婚なんてしてたんだよっ?!
ていうか、国に子どもなんかできねえだろっ!
おま、それ本当にお前の子どもなのかよっ?!」

もう色々突っ込みどころ満載なわけだが、電話の向こうでスペインが憮然とした口調で恐ろしいことを口にする。

『失礼な事言わんといて~。親分の子やで?
あの子最初抱いた時は確かに処女やったし、それからすぐ家に連れ帰って子ども出来るまでは家に閉じ込めておいたさかい、他の人間と会うとらんもん。』

――それって…まさか拉致監禁?犯罪じゃ……――
たら~っと額に冷たい汗が伝う。

いやそんな事するはずがないと言いたいところだが、ロマーノの知る見かけは爽やかな好青年のくせに実は独占欲と嫉妬心の塊な元宗主国の性格からしてありえない話じゃない…。

どこの誰なんだ?その可哀想なベッラは……

「……わかった。明後日は俺も行く。」

状況によっては逃がしてどこかに保護してやらなければならないかもしれない…。
そんな悲壮な覚悟でロマーノがそう言うと、

『おおきに~。助かるわ~。会議場の控え室に待たせておくさかい、一緒におってみててくれればええから。』
と、そんな子分の内心も知らず、元宗主国は上機嫌で電話を切った。



「誰か…あいつの手出しできねえ奴探さねえと……」
ガチャンと悲壮な顔で電話を切ったロマーノのつぶやきに反応したのは一緒に住んでいる弟だ。

「兄ちゃん、今の電話スペイン兄ちゃんじゃなかったの?何かあったの?」
コクンと首をかしげる弟にロマーノは

「あいつ…とうとうやっちまったかもしれねえぞ。」
と、頭を抱えて事の事情を話して聞かせた。


「うああぁああ~!それって…かなりまずいよね?」
「ああ、まずい」
双子が顔を見合わせて青くなる。

「まだ…成人済みの大人の女性で同意ならいいんだけど…」
という弟に、兄はは~っと大きく息を吐き出して肩を落とす。
「あいつがすごく執着するのって…そういうタイプじゃない気がしねえ?」
「そう…だよねぇ……」
と、兄の言葉に弟もため息。
「俺…ドイツに相談してみようか?」
と提案するも、兄は首を横に振った。
「いや、ムキムキの野郎だと即逮捕じゃね?
とりあえず本当に犯罪なのかわかってからだな。」
「うん、そうだね。明後日は幸いドイツも参加する世界会議だしね。
犯罪だって確認取ってからドイツに保護してもらおう。」
「だな。」

双子の脳内では有罪確定。
全く信用されていない元宗主国であった。



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