世界会議当日…スペインの控え室に足を運んだロマーノの心の第一声である。
ソファに座って白い華奢な手でおそらく生まれてくる赤ん坊のための何かだろう、繊細な模様のレースを編んでいる少女…そう、どう見ても“少女”だ。
サラサラの金色の髪に驚くほど長い同色のまつげ。
肌は真っ白で頬はほんのりピンク色。
全体的に色素が薄い中でまるでキャンディのように丸い澄んだグリーンの瞳が彩りを添えている。
本当に人形のように可愛らしく…はっきり言ってしまえば、スペインの好みのどまんなかを射抜いているな…といったところだ。
そんな少女は手足も華奢で乱暴に触れれば折れてしまいそうなのに、ふんわりとしたマタニティドレスにつつまれた腹部だけがかなり大きくて、もう犯罪臭がプンプンする。
「…スペイン、お前……良いから自首しろ……」
がっくり肩を落としてそう言う子分に、スペインは目を丸くする。
「ロマ、いきなりなんなん?」
「いきなりなんなんじゃねえっ!!!
未成年者拉致監禁した挙句孕ませたら十分犯罪だぞっ!コノヤロウ!!」
いいから自首してこいっ!自首しねえなら通報するしかねえぞ、と、言う子分に、今度はスペインががっくり肩を落とした。
「ロマ~…自分の中の親分てどんなんなん?
勘違いせんといてや。この子未成年ちゃうし。自分と年たいして変わらへんで?
最初は拉致監禁したのは否定せんけど、今は合意やからセーフや。」
え…?拉致監禁は否定しないの?それだとセーフじゃないよ、アウトだと思うよ?
と、後ろで弟がゴチャゴチャ言う口をガシっと手で塞ぐと、
「全部話せ。それでセーフかアウトか判断してやる」
と、ロマーノはスペインにうながした。
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