「いきなり飛び出していくから心配したんだぞ、コノヤロー！」
と部屋に入るなりそういうロマーノ。
確かにあれから何度も電話もメールも入っている。
「あ～、堪忍な～。親分ちょお取り込み中やってん。
ああ、そうだ。ロマには報告しとくわ。
親分な、もうなりふり構うのやめたわ。イギリスの傷心に付け込む事も辞さへん。
たとえ始まりがクソ髭の身代わりでも構へんわ。
悲しいことがあった倍、楽しい事与えたって、絶対に最後には親分がこの子幸せにしたるねん。」
それはロマーノだけでなく世界が知る楽天的なラテン国家のスペインの顔で…
「そっか。頑張れよ」
と、ロマーノは心底ホッとした。
「で？その決意表明に俺を呼んだのか？」
普通ならその程度で早朝から呼びつけられれば怒るところだが、今回は仕方ないと思う。
…というか、それで長年の思いが叶ってくれるならまあいいかと思う……が、現実はそんなロマーノの予想をはるかに上回っていた。
「あ～それもあるねんけどな。」
キラキラとした爽やかな笑顔で…なのにどこか怖いスペインに、ロマーノは思わず身構える。
「かわええイギリスの健気な気持ちを踏みにじったフランスの事は、親分ただでは許したる気はないねん。
ちょっとこれから潰しに行ったろ思うんやけど…ベッドで寝とるイギリスが目覚ます前に戻ってこれへんかったら、あの子不安になるやろ？
せやから大急ぎで行って戻ってくるつもりやけど、もしそれまでに戻ってこれへんかったら、すぐ戻ってくるから待っといてって伝えて欲しいねん。
メモとかやとあの子また悪い方向に考えて泣いてまうから。
親分の大事なロマをわざわざメッセンジャーに残しとったら、他意ないこと伝わるやろ？」
「…………。」
もう突っ込みどころがいっぱいすぎて何から口にしていいのかわからない。
「…ベッドに寝てるって？」
とりあえず最初から口にしてみると、スペインは良い笑顔で
「泣いとるイギリス可愛すぎて親分、我慢できひんかってん。」
おい…手、はええよっ！
そんな強引な態度に出るくせに、なんで今までヘタレてたんだっ！！！
急展開すぎてめまいがする。
というか…同意…なのか？
もしかして俺、目が覚めたイギリス様に、元親が申し訳ありませんでしたと土下座するとこから始めんのか？？
そこですでにクラリと目眩を覚えている間に、スペインは
「じゃ、そういうことで頼むな～♪」
と、にこやかに出て行った。
うあ…やべっ！俺フランスの野郎が振ったとかじゃねえってこと説明してねえじゃんっ！！
ロマーノはそこで慌てるが、すでにスペインは出て行ってしまったあとだし、イギリスの事があると思えばそれを追うわけにも行かない。
しかたねえ…と、ロマーノはプロイセンに電話をかけて、集合場所をスペインの部屋へと変更した。
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