桜の怒りと梅の発案…そしてエリザの勢い。
主に女性陣に押されてもういいか、そういうことにしておくか…と、別に支障もないしとそう名乗り始めて丸一日。
「なあ、タマ」
「ん~?」
「お前さ、なんにも思うところはねえの?」
ギルベルト的には本当に支障はない。
元々パーソナルスペースは狭くはない方ではあるが、アーサーなら気にならない…というか、自分から構いたくなるくらいだ。
別ににこいち扱いくらいなら互いに気にならないのかも…と思いつつも、そこはそれ、“親友”とか“相方”とかではなくて、“恋人”となれば、実際あれこれしないでも、周りはそうは見ないだろう。
主にエリザの周りのちょっと腐った女性陣は特に……。
そうなると…だ、ギルベルト的に気になるところは、どちらが女性役かと言う事で…
まあ体格差があるし能力の質から言っても自分の方が男役なんじゃないだろうか…
ギルベルト的には当然そんな風に思うのだが、逆をと考えると少し躊躇する。
だが、アーサーの側から見ると、まさに自分の方が女役と見られる事に思うところはないのだろうか…
そう思って聞いたわけだ。
そんなギルベルトに対して、その日は極東支部の砂田も帰った事だしと自室に戻ったものの、翌朝は恋人と名乗るなら朝食の時間には起こしに来いと言いつつ相変わらず寝起きは悪く、食堂についても半分寝ぼけ眼でギルベルトに食事を口に運ばせるなどという事までさせて注目を浴びているアーサーは、ギルベルトが差し出した匙から口にいれたヨーグルトをゴックンと飲み込むと、面倒くさそうな視線をむけた。
「まったくない。
むしろうざ絡みしてくる奴も喧嘩ふっかけてくる奴もいなくなって平和だな。
さすがジャスティス最強のお館様々だ」
と、ふわぁ~とあくびをする。
なんともこだわりのない…と思って呆れつつ、またその小さな口にヨーグルトをひと匙運ぶギルベルト。
まあこの作業は自分的には楽しい。
楽しいから良いのだが……後方から感じる視線が痛い。
シャッター音も耳に痛い気がする。
アーサーは気にならないのだろうか……
そう思って視線を向けると、また後ろからパシャリっ!
その音にアーサーもチラリとそちらに視線を向けつつ、
「…まあ…殺伐とした職場で働くレディ達に娯楽まで提供できてるんだから、いいんじゃないか?
せいぜい尽くせよ?ダーリン?」
と、どうやら確信犯らしい。
笑ってまたア~ンと口を開けて次をねだった。
「なんだ、確信犯かよっ」
と、それを指摘すると、きょとんとした顔で
「…ダメかよ?
だって野郎どもがアレな時もレディ達は優しかったし?
一過性だろうが同情だろうが、優しくされた方が良いだろ?」
と言うのに、胸が詰まって泣きそうになった。
……が、それさえもフェイクだったらしい。
「ほら、お前も優しくしたくなったろ?
せいぜい尽くせ~」
と、いきなり小悪魔な表情でツンとギルベルトの鼻の頭を指先でつつくとにやりと笑った。
本当に…可愛い顔をして強かで油断がならない野良ネコのようだ。
…だが、それさえも柔らかい心を防御する頑丈な壁のように思えて、ギルベルトはいつかその防壁の内部に入ってやる…と、決意を新たにするのだった。
そんな風にアーサーの口にも放り込みながら、自身もゆっくり朝食を摂っていると、いきなり流れる館内放送。
「現在待機中のジャスティスは至急ブレイン本部まで急行してください。」
と、その放送にそれまでは半ば眠そうにただ食べ物を飲み込んでいたアーサーはパっと立ち上がった。
「タマ?飯は?」
と、相変わらず匙を持ったままきくギルベルトにアーサーはポカンと目を見開いた。
「今放送があっただろっ?!」
「…だって俺ら飯食ってるし?」
「そういう場合じゃないだろっ」
「へ?いや…他が行けばいいんじゃね?」
と言ったら唖然とされた。
そこは驚くところか?とギルベルトは思う。
ギルベルトは別に不真面目な方でもよくサボる方でもなく、むしろ積極的に任務についている方だ。
だがここ最近はよく出ているし、アーサーにいたっては極東から転属したばかりで疲れも取れていないだろう。
そう主張してみると
「イヴィルは転属したばかりだからと言って待ってはくれないだろっ!行くぞ!!」
と腕を引っ張られた。
「いやいや、イヴィルは待たねえかもだけど、順番からしたらルッツとフェリちゃんあたりが行くと思うぜ?」
と言うも、
「フェリ達が待機してたら戻れば良いだろっ!
居なかったら出ないとっ!!」
と、断固として言いきられて、ギルベルトは仕方なく引っ張って行かれた。
そしてブレイン本部…
「マジで他来てねえのかよっ」
と、パシッと片手で額を叩くギルベルトに、
「愚弟が本当に悪い。
ギル、最近ちょっと連戦すぎなんだけど、出てくんねえか?
アーサーの戦闘のデータもちょっと取りたいしな。
フェリシアーノの馬鹿はあとでどついておく」
と、苦虫をかみつぶしたような顔のロヴィーノ。
そしてその横には唯一出頭したらしく
「廊下で泣きながら逆方向に疾走するフェリちゃんとそれを追いかけるルートを見たネ。
まあ…向き不向きあるから仕方ないヨ。
今回は私も頑張るから、あまり怒らないであげてほしいヨ」
と、苦笑する梅。
「呼び出しかかっても来ないっていうのは、フェリもよほどの事があったんだろ。
それより敵の情報頼む」
と、さきほどのギルベルトをからかっているような態度から一転、気真面目な様子でそう言うアーサーに、ロヴィーノは
「いや…あいつは単に戦闘嫌いで逃げてるだけなんだ。
本当に愚弟で悪い。
一昨日極東からついたばかりでもう戦闘とかありえねえよな…。
これ終わったらしばらくはちゃんと他に回して休んでもらえるようにするから、今回は頼むな」
と、心底申し訳なさそうに眉尻をさげた。
それでも今いるのは3人きりだ。
敵は当然待ってはくれないので、ロヴィーノも恐縮しながらも説明に入る。
「敵はイヴィル一人にトカゲ型の魔導生物多数。
作戦としてはイヴィルの相手は梅、魔導生物はできるならアーサーの範囲攻撃で一掃してみてくれ。ギルはアーサーの盾な」
大事な期待の新人だ、怪我させんなよと言う言葉にはギルベルトも無言でうなづく。
しかし続く
「でもってギルはアーサーが攻撃に入るまではトカゲへの攻撃は控えろ。
どの程度の範囲を倒せるのか見たい。
で、アーサーの方が大丈夫そうなら梅のフォローはいってやってくれ」
という言葉には、ギルベルトもさすがに
「ちょ、待てよ。攻撃せずに防衛しろって?
それやるならどう考えてもルッツだろ?」
と難色を示す。
「ん~。そのルートはな…たぶん今頃フェリを捕まえようと追いかけまわしてると思う。
本当に悪い。申し訳ねえが今回は無理でもやってくれ。
あとは…まあもう一つには、アーサーの力把握できてないから不測の事態もありうるんだよ。
最悪アーサーなしでトカゲ全部と梅のフォローやる事になるから火力もいるし、お前じゃないと怖い」
「あ~…まあ…仕方ねえな、色々」
と、諦めの息を吐きだすギルベルトに、悪い…と、もう何度目になるのか頭を下げるロヴィーノ。
もうそれ以上話しても何も出てくる気がしない。
仕方なしにギルベルトはアーサーと梅を連れて第8区の駐車場に向かった。
そしてそのまま車に乗り込み、ギルベルトがハンドルを握って、現場まで誘導するナビを確認して出発する。
「…今回…フリーダムは一緒じゃないのか?」
現地へ向かう車の中で、アーサーはどこか不安げに口を開いた。
「フリーダム?必要ねえだろ?」
「うん、必要ないネ」
と当たり前に言う2人に、アーサーは唇を噛みしめて俯いた。
「他はそうかもしれないけど…俺の能力つかうなら…。
いつもは戦闘の時は結構フリーダムの犠牲だしてたし?」
「ええ??」
梅が驚きの声をあげる。
「範囲攻撃は能力発動まで時間かかるし、その間敵防いでおいてもらわないと発動中断しちゃうしな。
かといっていくら鍛えたところで、俺の近接だけで倒すのは無理だしさ」
「まあ...唯一の攻撃手段が遠距離だとそうなるな、どうしても。
フェリちゃんにしたって瞬殺できる単体の敵以外はソロで殺るのは無理だしな。
で?ぶっちゃけどのくらいの時間敵ひきつけておけばいいんだ?」
ギルベルトの言葉にアーサーは考え込む。
「ん~。10秒...くらい持たせてもらえればありがたいか…
無理なら多少こっちに向かうリスクもあるけど5秒。
それがぎりぎりだと思う」
「10秒か...まあ...最高20秒までならなんとかするから、確実にしとめろ」
ギルベルトの言葉にアーサーは驚いたように顔をあげた。
「20秒ってすごいなっ!」
「俺は本来防御手段を持たない攻撃特化だからそのくらいが限界だが、ルッツなら1分くらいは持たせるぞ、たぶん」
「ふ~ん...さすが本部は人材豊富だな。
つか、攻撃特化型でそれだけ持つって普通にすごいな」
「おう、だから心配すんな。
タマは敵を倒す事だけに集中してくれればいい」
ギルベルトがそう言うと、後ろで少しだけ安堵したようなため息が聞こえた。
「...そろそろだな。この辺で車降りるぞ」
ギルベルトが車を止めてドアを開ける。
「タマ...感知できるか?」
全員出ると、ギルベルトはアーサーに聞いた。
基本的には遠距離型の人間が一番感知能力に優れている。
アーサーがいない時は敵の位置を測るのはフェリシアーノの仕事だった。
「ん...直立歩行型なんだな、トカゲ。
500mくらい先から20mくらいの範囲に10~20匹。大きさはたぶん1.5mくらい?
そのさらに5mくらい先に人影、これがイヴィル」
「んで...タマの力の効果範囲は?」
「ん~~~10mってとこか?」
「んじゃ、ここからまっすぐ510mにつっこむ。
その地点を中心に範囲頼む。
梅はトカゲの感知範囲外から迂回してイヴィルに向かえ」
「了解っ」
ギルベルトの言葉に敬礼する梅。
それに対し、アーサーは眉をひそめて言う。
「あの..な、いまさら言いにくいんだけど...俺の攻撃って敵味方関係なくくらうぞ?
まともに食らったらポチもやばいと思うんだけど。
...発動地点もう少しずらそう」
「ああ、まあそのあたりはなんとかするから気にするな。
お前は確実にしとめるために攻撃にだけ集中しろ」
「いや、まぢやばいって。
極東のフリーダムが毎回結構死んでるのって敵にってのもあるけど、俺の範囲くらうの前提で足止めしてたからって言うのもあるんだぞ?」
「大丈夫だし、時間ねえから行くぞ」
「いや、ちょっと待った!」
踏み込みかけるギルベルトの腕をアーサーがつかむ。
「悪い...ちと1分でいい。心の準備させてくれ」
アーサーが言うのに、ギルベルトは小さく息を吐いた。
「...準備できたら言え」
ギルベルトが言うと、アーサーはその腕を放して右手を胸にあてて目をつぶる。
「おっけー、大丈夫」
しばらくしてアーサーはそう言って
「モディフィケーション...」
とペンダントに手を当てて唱えた。
それを合図にギルベルトも梅も能力を発動させる。
「んじゃ、行くぞ」
ギルベルトがタッっと駆け出しながら剣に手をかざし
「Rote Federn!」
と唱えると、何本もの剣がグルリとギルベルトの周りを取り囲んだ。
そのまま一気に跳躍してアーサーの位置から丁度510mの位置に着地する。
その瞬間、突如現れた敵にトカゲが殺到した。
四方から向けられる攻撃をギルベルトはできるだけ避け、避け切れない分は周りを取り囲んだ剣に吸収させる。
吸収した分、1本、2本と周りを取り囲む剣が減っていくが、ギルベルトは時間を数えつつその場にとどまってアーサーの攻撃を待った。
ギルベルトが駆け出した瞬間、アーサーは左手に持ったロッドを前方に向け、スッと右手をその上にかざした。
「万物を氷つかせる冷気よ、今刃となって我が敵を滅せよ!フリーズ!」
アーサーの声に応じて杖の先から白い冷気が渦となって前方に走る。
途中の大気をも凍りつかせて白い風は一直線にギルベルトのいる地点に走ると、その場でパァ~ッと円状に広がり、まるでドミノ倒しのようにトカゲは中心に近い位置から円の端に向かって順番にピキピキっと固まった後、ガラガラっと崩れ落ちた。
アーサーはその様子を息をのんで見守る。
白い冷気の霧が晴れると、そこには粉々になった氷がキラキラ光っていた。
しばらくその場に立ち止まったままアーサーはその中に目をこらす。
「さっすがアーサー、すごいネ!」
アーサーがその場で硬直していると、梅がアーサーの目の前にストンとジャンプしてきた。
「この前のミミズもアーサーいたら一瞬だったのにネ」
と、心底感心したようにその場でピョンピョンとびながらはしゃぐ梅。
「こんなにすごい攻撃、私初めてみたヨ!」
そんな無邪気な様子の梅にアーサーは苦い笑いを浮かべる。
「まあ...俺の力は犠牲つきだから」
「ああ、さっきのフリーダムの話?でももうその心配もないし♪」
梅がそう言った瞬間、二人の前にキキ~っと車が止まった。
「さ~帰ろうぜっ!」
と、中からギルベルトが声をかけると、
「は~い♪」
と、梅がドアを開けて乗り込む。
「あ...え~っと...」
アーサーはその場で頭に左手をやった。
「どうした?タマ」
その場に立ち竦むアーサーをギルベルトはいぶかしげな目で見る。
「いや...お前何してたんだ?」
アーサーの言葉にギルベルトはきょとんと首をかしげた。
「別にサボってたわけじゃねえぞ?」
「いや...そうじゃなくて...今までどこにいたんだよ?」
「あ?」
ギルベルトは眉をひそめ、ああ、と合点がいったように口を開いた。
「タマの攻撃が来るの確認して、そのまま上飛んだ勢いで梅のフォローに入って、イヴィル倒してすぐ車取りに行った」
「そう...だったのか」
「いいから早く乗れよ。疲れただろ?」
ぼ~っとするアーサーをギルベルトがうながすと、
「ああ。悪い」
とアーサーも車に乗り込んだ。
「でもさ、アーサーの攻撃まじすごかったネ♪
フェリちゃんもギルも火力全然敵わないヨっ。
あんなにたくさんの敵がホント一瞬だヨ?」
梅は帰りの車の中でもまだ興奮している。
「ああ、確かに...正直びびったな。ちまちま剣振ってるのが馬鹿馬鹿しくなるぜ。
さすが俺様のタマっ」
梅の言葉にギルベルトも笑いながら頷いた。
「俺は...ポチの方がびびったけどな...」
二人の言葉にまだ半分ぼ~っとしながらアーサーがつぶやく。
「正直...俺の力は発動が遅いし避けられたら終わるからな…
攻撃当たるまでに敵を一定範囲にひきつけておいてもらわんと駄目なんだけど、それやると大抵の奴は巻き込まれて死ぬし?
一人であれだけの時間ひきつけておいて、攻撃当たるぎりぎりで攻撃のほぼ中心地点から脱出なんて芸当できる奴いると思わなかった」
「そんなの当たり前だヨ♪ギルだしネ」
アーサーの言葉に梅が軽い調子で言った。
「だからロヴィーノさんもギル入れたんだし。
ルートならひきつける事は余裕だけど、跳躍力ないから脱出できずに死ぬネ」
梅はそう言ってニシシっと笑う。
「...他は?」
「ん~~~、たぶん脱出できる跳躍力あるのは私とエリザさんとギルなんだけど、私だとひきつけてる間に間違いなく死ぬし、エリザさんはあの大剣だからネ。
さすがにアレ持ってギル並みの跳躍は無理ネ。
フェリちゃんは両方だめだネ。
唯一火力、移動力、防御力が揃ってるから、何か不確定要素ある時はギル入れたがるんだヨ、ロヴィーノさん」
「まあ...火力だけならフェリちゃんの方があるし、防御力ならルッツにはるかに負けるけどな」
梅の言葉にギルベルトは言うが、梅はそれを否定した。
「そうかなぁ?
フェリちゃんの弓も一撃は確かに大きいかもしれないけど攻撃スピードが遅いし、ルートは打たれ強いけど避けないから、総合被ダメージ、総合与ダメージだとわかんない気がするヨ?
まあ...アーサーにははるかに負けるけどネ♪」
「確かに...あれにはどうやっても勝てねえな」
「いや、単純に瞬間火力だけじゃ力の優劣ははかれないだろ。
2人以上と戦った事はないけど、あのレベルの力は俺単体だと2発限界だから、雑魚やってイヴィル一人やったらあとはフォロー入らないと終わる。
もちろん...最初にイヴィルやってる間に雑魚ひきつけておく囮が必須だし」
「ま、その辺は本部はジャスティスもそれなりにいるしネ♪」
梅がそうしめくくったところで車はブルースター本部についた。
今回は3人でフリーダムに帰還報告を終えた後、ブレイン本部に向かう。
受付でギルベルトが報告書を受け取ると、参加ジャスティス名、敵の数、種類、殲滅手段等、必要事項を記入して、それを手にロヴィーノの元へ向かった。
「おかえり、3人とも。今回は本当に悪かったな。無事で何よりだ」
ロヴィーノは相変わらず申し訳なさそうにギルベルトから報告書を受け取って言う。
そして報告書に目を通し、
「ま、大方は報告書でわかったが...ちょっと話も聞きたいからかけてもらえるか?
梅は下がって良い。お疲れさん」
と、ギルベルトとアーサーに席を勧めた。
そして報告書に視線を落とす。
「さて、この火力は素晴らしいな。
20体あまりを全部一掃できるなんて本当にすごいな」
梅が下がるとロヴィーノはまずアーサーの能力を賞賛した。
そしてその後少し間をあけて、チラっと二人を見比べる。
「しかし...限定条件がなかなか厳しいよな。
攻撃発動まで要する時間が約10秒。効果範囲10m。
さらに範囲内のもの全部に攻撃が及ぶってことは...敵の分散範囲が10m以上の時は10mの範囲に敵をひきつけて、10秒以上の時間持たせて、さらに敵に気づかれないように攻撃が及ぶぎりぎりに効果範囲外に脱出できる囮が必要になるって事になる。
これは...ギル必須なのか…。他の奴じゃ死ぬよな...やっぱり...」
「...そういう事になるな」
ロヴィーノの言葉にアーサーがうなづいた。
「ってことは...まあ当初の予定通り、アーサーが出勤の時は必ずギルつけて、あと必要に応じて足すって感じか…。
ま、その方が良いんだろ?
エリザいわく、恋人同士らしいし?」
クスリとようやくそれまでの申し訳なさいっぱいの表情から、からかうような口調になるロヴィーノにギルベルトは内心頭を抱える。
ああ…別に良いんだが…良いんだが遊ばれている感がなきにしもあらず。
それでも…隣でホッとした様子のアーサーを見れば、この位置を他に譲る気は到底しなくて、
「おう。もうラブラブだからなっ。
もう野暮なちょっかいかけずに俺達は2人きりで放っておいてくれってエリザに伝えておいてくれ」
と、やけくそのように言うにとどめた。
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