脅迫
『君のお友達の天使ちゃんを預かっちゃった♪』
そんなタイトルのメールがフランシスの仕事用のPCへと送られてきた。
一瞬青くなって…次に内部の誰かのいたずらかも?と思いつつ発信元を調べてみて、基地の外からのメールだとわかって、こんどこそ全身から血の気が引いた。
おそるおそるメールを開く。
『今ね、B地区のA-108地点だよ♪
外にいる…それが天使ちゃんの病気にとってどういう影響あるかはわかるよね?
今は空調の聞いた僕の車の中だけど。
どう行動するかは君の自由。
スルーしてももちろんOKだけど、そうだね…2時間くらい待って反応がなかったら車から降りて外に出てもらおうかな~』
添付された画像ファイルには車の後部座席で眠らされているらしいアーサーの写真。
ひどく顔色が悪い。
これ…どうしてお兄さんに送ってくるのかな…。
せめてギルちゃんのとこにしようよ…と、ギルベルトの仕事用のPCアドレスに転送してやる。
たぶん10分でこっちくるかな~。
そんなことを考えながら上司に早退願いを出しておく。
その後携帯にメールを転送。
お迎えはおそらく“華麗な俺様と小鳥さん号”で行く事になるだろうなと、自分の荷物だけまとめていると、後ろからヒヤリとした殺気を感じて、フランシスは飛び上がった。
「…なんで…お前いんのよ……」
今日は午後まで現地じゃなかったっけ?とおそるおそる聞くと、
「嫌な予感したから戻って来た。」
と、フランシスのPCを視線だけで壊しそうな勢いで凝視しているアントーニョ。
「…クソッ!」
と、反転しかけるアントーニョの肩をちょうど駆け込んできたギルベルトがつかんだ。
「俺様も必要だろっ!置いてくなよっ?」
息を切らしてそう言うギルベルトに、アントーニョは殺気を消して今度は泣きそうな顔になった。
「ギルちゃん…あの子に何かあったらどないしよ…」
そのまま崩れ落ちそうになるアントーニョをフランシスもギルベルトが掴んでいるのと反対側の腕を掴んで支える。
アントーニョがどれだけあの子の事を大事に守ろうとしていたかはギルベルトもフランシスも知っている。
あの子のちょっとした身の危険がアントーニョにとってどれだけひどいショックを与えるのかも…
とにかく助けなければ…と二人はお互いにアイコンタクトを送る。
こうして、
「大丈夫!まだ無事なんだし。」
と、フランシスが励ますように軽く肩をたたき、
「とりあえず…まだ相手も相手の目的もはっきりしねえし、この書き方だととりあえず出向いてほしそうだからな。出向いてみようぜ。」
ギルベルトがそう言った時、丁度ギルベルトの携帯が鳴った。
『ギル、車の準備出来たからっ!』
というフェリシアーノに
「今から行く。」
と返すと、ギルベルトは
「ホラ、行こうぜ」
と、駐車場へと二人をうながした。
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