プロローグ
「ア~ンしっ♪これ美味いで~。」
フランスの次の世界会議はイタリアだった。
そして会議1日目。
会議室に一歩足を踏み入れた国々は、そこでありえないモノを目にすることになった。
まだ開始時刻にはだいぶ間があるのに遅刻の常習犯であるスペインがいる…。
それだけならまだ、彼の可愛がっている子分、南イタリアが弟の北イタリアと共に議長国として参加しているので、そのせいと言えなくはない…。
が…問題はそこではなくて……
「じ、自分で食べられるからっ」
スペインが楽しそうにチュロスを差し出している先は、可愛い可愛い子分ではない。
羞恥で真っ赤を通り越して半分涙目になりながら、そう訴えている相手はなんとイギリスだ。
その光景を目撃した国の脳裏にまず真っ先に浮かぶのは、これは羞恥プレイというやつか?
何かスペインがイギリスの弱みを握って、嫌がらせをしているのか?
という考えだが、それを否定するのはスペインの無駄に甘い笑顔と砂糖を吐きそうな甘い声音で紡がれる言葉。
「ええやん。親分食べさせてやりたいんやもん。
あーちゃんはいつもみたいに仕事しててええで。」
いつもみたいに?いつもみたいにって言いましたか?と、きらり~ん☆と目を輝かせる国約2名。
そしてそれがスペインの一方的な妄想ではないことは、それに対するイギリスの
「二人ん時は良いけど…他がいる場所でそれは恥ずかしいだろ。」
と、言う言葉が証明していたりする。
なに?二人の時は良いけど?二人の時は日常的にそういう事してるってこと?
ってか、そんなに二人きりの時っていうのがあるわけ?いつの間にそんなけしからん事に?!
と、不穏な空気を発する国が約2名。
その他の国はもうこれは夢だ幻だ…と思うことにして、各自席についている。
「こんなの…絶対にありえないんだぞ!」
眉を吊り上げて果敢に特攻したのは不穏な空気を発しているうちの一人、世界の超大国、アメリカ合衆国だ。
しかし、ありえない…誰よりもそう思っているのは実は、当のイギリスに他ならなかった。
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