エピローグ
あ~、なんて自分はもったいない事をしていたんだろうか…。
イギリスは言うだけ言うと、ホッとしたようにスペインの腕の中で泣き寝入りをしてしまった。
そしてスペインは思った…
自分…ちょっとは危機感持ち?
ていうか…あのセクハラ大王にホンマなんもされてへんやろな?
心配になった。
こんな幼い頃から戦場を駆け回り今は外で畑仕事に勤しんでいるせいで、見た目はそれほどムキムキしてはいないが触ればもう筋肉でガチガチな手触りの自分にすらセクハラをしてくるのだ…あの男は…。
こんなフニフニと頼りない感じの身体の…もうそれはそれは可愛らしい…自分年齢詐称やろ?どう見ても成人なんかしてへんやんな?的なイギリスに本当に何もしていないんだろうか…。
自分だったらするっ。というか今したくてウズウズしてる。
寝てるからバレへん、バレへん、少しくらいやったらええやろ…という悪魔の囁きを一生懸命追いだそうとしているんだが……。
「あかんわ…これ早々に手を打たな…」
自分の事は棚に上げてスペインは思った。
こんなに可愛いのだ。
あの自称愛の国が何かの拍子にこの可愛らしさに気づく前に抱え込まなければ数百年前の…子どもの頃の二の舞だ。
それでなくても自分はスタートからして遅れているのだから…猛ダッシュをかけなくては…。
翌朝早く、愛の国が愛情のこもった焼き菓子を手にイギリス邸に様子見と称して訪ねてきた事で、スペインはさらにその危機感を強くした。
記憶喪失のふりなんかしている場合ではない。
当たり前にイギリスを寝室に運ぶというフランスの手を振り払って自らまだ眠っているイギリスを寝室に運び、記憶が戻った旨を告げるメモを残す。
なるべくフランスをイギリスに近づけないために自分も一緒にイギリス邸を出て、フランスも追い出した。
嫌われていない…その事実を確認できた今、自分が取る行動は一つだけだ。
「情熱の国のラテン男の本気、見せたるわ」
ニヤリと笑みを浮かべると、スペインはフランスをユーロスターに押し込んで、自分はそのままイギリス邸へと取って返した。
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