遺体が発見されたのは20時40分だったから、おそらく硬直が始まる程度に時間がたってたから単純に2時間以上たってるということで20時の2時間前という感じなのだろう。
しかし始まりの17:20分というのはなんなんだろうか…。
情報が…欲しい。
「殺人事件の方の情報欲しいな…」
つぶやくコウにフロウは首をかしげる。
「教えてもらえないんです?」
「そりゃ…第三者だからな。親の事あるから疑われはしないが、立場的にはここにいる人間全員容疑者なわけだし。そんな立場の人間に捜査情報もらせないだろう。誘拐事件は当事者だから全部教えてもらえたけど誘拐事件と殺人事件の関連性を証明出来ない限り殺人の方は無理。」
「だって…両方結びついてるってコウさん言ってたじゃないですか…」
全然わからない…と思い切り顔に書いてあるフロウにコウは苦笑して、彼にしては出来うる限りの簡単な言葉で説明する。
「状況的にはそうなんだけど、証拠がない。
ようは…俺が女物のハンカチ拾って警察に届けたとするだろ?
それは俺とユートと姫しかいない場所で拾ったとして、ユートは男だから女物のハンカチなんて持たないだろうから、持ち主はまず姫しかいない。
でもそこでハンカチに姫の名前とか書いてなければ、それが絶対に姫の物であるって証拠がないからユートがそれは自分の物じゃないって言わない限り返してもらえない。そういうこと。」
コウの言葉を理解しようとフロウは真剣な顔で考え込んだ。
これでも難しかったのか…と苦笑するコウに、ようやく理解し終わったらしいフロウが顔をあげてきっぱり宣言する。
「ユートさんが自分のじゃないって言ってたって言っちゃえばいいんですよ♪
事実ならあとでユートさんに言っておけば無問題♪」
おい…コウはフロウの相変わらずな絶対者っぷりにため息をついた。
ああ、姫だったらやるよな、絶対にそう言うとコウが思っていると、それは例えの世界で終わらなかったらしい。
フロウはおもむろに内線を取って
「和田さんお願いします♪」
と、いきなり和田を呼び出した。
そして…電話口に出た和田に止める間もなく
「あのぉ…今思い出したんですけど、私アオイちゃんとさらわれる前におしゃべりしてて、アオイちゃん、あの日小澤さんの離れで人影見たって言ってたんですよ~」
と、いつものおっとりした口調で言い放った。
うっああ~~~と思うものの…もうお姫様が暴走し始めたら追いかけるしかない。
「姫、代われ」
と、電話をかわると、
「さらわれる直前…優波もアオイと色々話ししてたらしいんですけど、優波は本人が興味ない事以外思い出さない体質で…ふとした瞬間に色々思い出すんです、いつも。今のもそれで…。
申し訳ないですが、そのあたりでご相談したい事もありまして、和田さん、ご足労願えないでしょうか?
あまりおおげさにして、また優波の方に危険が及ぶと怖いので。」
と、和田を呼び出す。
ああ、バレたらすごくヤバいよな…とは思うものの、それこそバレなきゃいいわけで…。
自分だけでは決して踏み出す事のないその一歩をいつもいつも踏み出すお姫様には色々な意味で感心する。
「失礼します」
3分ほどたった頃、和田が離れを訪ねて来た。
「本当にお手数おかけして申し訳ありません」
コウは立ち上がってそれを迎え、深々とお辞儀をする。
「いえ、貴重な証言です。大変助かります」
とそれに対して和田も深々と礼を返した。
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