魔王を倒すぞ、もう普憫なんて言わせない!_プロイセン回想

今プロイセンは非常にピンチだ。
その原因は腕の中。

借りたスペインのマントで華奢な身体を覆ってはいるが、その下は破かれたドレス。
チラリズム…という言葉が空しく脳内を駆け巡る。
ああ、確かに素っ裸より中途半端に服がある方がやらしいよな…と、なるべく考えないように何度も他の事を考えても結局思考がそこに戻る。

相手は若返っても確かに男のはずのイギリスなのに、スペインのマントの合間からチラリと見えた破けた胸元とそこからさらに覗いていたスリップの白さが目に焼き付いて離れない。

お前は童貞か?それとも男に興奮する同性愛者か?と言うなかれ。
15世紀の頃の姿をしたイギリスは可愛い。
今でも十分華奢で童顔ではあるのだが、この可愛さは異常だと思う。
本当にまだ男になりきっていない…子どもから青年になる途中の危うい美しさ。
そんななりで、女装までしているのだ。

さらに言うなら…本人は周りを騙すためなのだろうか。
ことさら愛らしさ、はかなさ、か弱さを前面に押し出していて、けしからんことこの上ない。
これで惑わされない男は居ない…と、プロイセンは全世界に向けて断言できる。
そう、プロイセンが惑わされても仕方のない事なのだ。



ことのおこりは宿屋でのこと。
プロイセン的にはただただ疲れているイギリスの疲れを少しでも癒してやりたい、それだけで始めたマッサージ。
いまにして思えばそれが悪かったらしい。

翌朝、チェックアウトをするために降りて行くとニヤニヤと向けられる意味ありげな視線。
愛らしい少女の格好をしたイギリスに男達の欲に満ちた視線が向けられる事はこれまでだってしばしばあったので、この街は治安が悪い事もあるし、それがややぶしつけなレベルで向けられているな…としか思っていなかった自分が甘かったのだと、プロイセンは後に猛省する事になる。

が、その時は前日のあれが男達の欲望に満ちた妄想をかなり加速させていたのだとは思ってもみなかった。

プロイセンがその事について知ったのは宿屋のカウンターでチェックアウト中。
いきなり宿屋の主人に言われたのだ。

――ゆうべはお楽しみでしたね………と

脱力した。
本気で脱力した。
それでだったのか…と思って周りを見れば、それを受けてニヤニヤする男達。

「貧乳だから恥ずかしいとか、可愛いねぇ」
「宣言通り優しくしてやったのかよ?」
「あーそうじゃねえ?お姫さん、気持ちよさげな声あげてたし?」
「だな。俺はアレで抜かせてもらったぜ」
などなど、もう顔から火が出そうな野次が飛ぶ。

イギリスを一緒に来させずに隣の部屋で待たせておいて良かったと心底思った。
おそらく羞恥で泣くんじゃないか?
自分でさえ恥ずかしさでのたうちまわりそうだ。

…と、そんな程度に受け取ったのも甘かったと今にして思えば思う。

会計を済ませて急いでイギリスを待たせていた部屋に戻ったら、イギリスがいなかった。
倒れている椅子や大切にしていたヌイグルミが床に転がっているのを見れば、それが自主的にではないことは容易に想像がつく。

拉致?と考えた時に、さきほどのカウンターの親父や周りの男達の言葉を思い出して青くなった。
金目的ならなんとしてでも作って払うが、昨日のやりとりを誤解して刺激をされての乱暴目的だったとしたら…?

全身からさ~っと血の気が引く。
動揺のあまり実はお姫さんは男…という事も脳裏から吹っ飛んで、男達に覆いかぶさられて泣きながら抵抗するアリスの姿がクルクル回った。

助けなければっ!と混乱した頭で思い、かろうじて荷物をカウンターに預けるだけは預けて、プロイセンは街に飛び出した。
そして道行く人にドレスの少女を連れた男を見なかったかを聞いて回る。
もちろん、その時にはコインをちらつかせながらだ。

そうして手がかりを繋ぎ合せて向かった街はずれ。
プロイセンは信じられないものを目にした。

乱暴されたのか破かれたドレスの前を合わせるように自分で自分を抱きしめて震えるアリス。
その前に男がいるのは想定の範囲内。
だが…問題はその男だ。

スペイン王国……
まさか…まさかっ?!!

確かに敵対する者には苛烈な態度は取るし、異教徒に対してなら容赦ない。
新大陸ではえげつないレベルでの弾圧も繰り返した男ではあるが、基本的には熱心なカトリック教国だけあって、女性を誘拐して不埒な事をするような男ではないはずだ。

だが…拉致された上に服を破かれ震えているアリスが怯えた視線を送る先にいる戦斧を背負った屈強の戦士…という状況を考えれば、疑いの余地がないように思える…というか………

――俺様のお姫さんを泣かせてる時点で万死に値するっ!!

そう思った瞬間にプロイセンは行動に出ていた。
一息に詰める間合い。
その間合いに入るまでは可能な限り気配を消して…しかし入ればもう隠す必要はない。
一気に怒りと殺気を撒き散らして相手を威嚇する。

「…てっ…めえ……アリスに何しやがったぁーー!!!!」


スペインは大型の武器を得意とするだけに本来は懐に入られれば弱いはずだが、そこは伊達に元武闘派覇権国家はやっていない。
急所の眉間を狙ったプロイセンの剣を斧の柄で受け止めた。
ありえない反射神経だ。

しかし即反撃するほどの余裕はないので、その間にプロイセンはイギリスを背にするように立ち位置を変え、再度スペインに向き合った。

スペインの側はと言うと、その一瞬に体勢を立て直して戦斧ごと腕を振り回すので、いったん離れてヒットアンドアウェイを繰り返す。

プロイセンとて決して腕力も筋力もないわけではないが、スペインのそれはウェイトの差を差し引いても人外と言って良いレベルの怪力だ。
正面からの力勝負に持ち込まれたらさすがに分が悪い。

その代わりに急所はぎりぎりでかわすモノのスピードと攻撃の精度という面では落ちるため、とにかくトリッキーに仕掛けて隙を誘う。

そうして武器を交わす事数撃……見えたっ!!!
本当に剣技に長けた者でないと気づく事もできないほどのわずかな隙。
プロイセンがそこに撃ちこもうとした瞬間である。

「違うからっ!俺達は暴漢に襲われてたお姫様を助けただけっ!!
お姫様を襲ってた暴漢は逃げちゃったのっ!!」

「…へ…?」

焦ったフランスの声。
間一髪で急所を突き刺そうとした剣を止めて、プロイセンはそれでも騎士としては万が一にも守るべき相手に害を与えられるような事があってはならないので、盾でイギリスを庇いながら事情を確認するためチラリとそちらに視線を向ければ、イギリスは縋るようにプロイセンのマントの端を掴みながらも、それが事実であると言う風にコクコクと頷いた。

まじかぁ~…
はぁ~っとそこでプロイセンはようやく緊張を解いて息を吐き出した。

「なんだ…そっか…。
悪かった、助かったわ…」
と言いつつ力が抜けてその場にしゃがみこむ。

怒りと使命感で戦いを挑んだものの、やはりスペインとガチでやりあうのはキツイ。
あそこでさらにフランスも参戦されてアリスを背に庇って勝てるかというと、きわどいところだ。
しかしきつかったのはプロイセンだけではなかったらしい。
スペインもホッとしたように
「ほんま…ギルちゃんの剣撃きっついわぁ~」
と言いつつ、同じくしゃがみこむ。

互いにホッとしたところで、それまで自分だけ距離を取って安全圏に待機していたフランスが駆け寄ってくる。
それを指摘したら今度はスペインの矛先がフランスに向かいそうだな…と思うレベルで……

こうして悪友トリオ集合だ。

和解したところでのスペインの第一声。
――親分、さすがにこんなお姫さんに乱暴するなんて事せえへんで

まあ…これには本当に悪い事をしたと思ったので、
「…悪かった。宿で会計して待たせてた隣の部屋戻ったら拉致られてたから…」
と事情を話して謝罪をする。

それと同時に、考えてみれば15世紀の今のイギリスくらいの外見年齢の頃と言えばスペインと婚姻を結んでいた時代なので、そのスペインがイギリスと気づいていないらしい事にもホッとする。

イギリスとは腐れ縁でずっと一緒のフランスでさえ
「あー、この街は治安悪いからね。一瞬でもこんなお姫様から目ぇ放したらダメよ?
危ないよ?」
と、どうやらアリスがイギリスと気づいていない模様。

紳士の証の眉毛マジすげえな。
あれがないと誰もイギリスと認識しないのか…と、プロイセンは妙なところに感心した。



こうしてそちらの方面では一安心をしたところで、次なる問題が持ち上がった。
いわく…
「ちょうどね、ギルちゃんも探して3人で魔王倒しに行こうかって話してたのよ、一緒に行くでしょ?」
というフランスのお誘いである。

これは…悩む。
普通なら即のるところだが、この当時のイギリスと親しい2人と一緒にいるのはバレる危険があるのではないだろうか……
かといってここで断るのもまた、何か怪しまれる気がする。

そんな風にプロイセンが考え込んでいると、さらにスペインが
「…なん?あのお姫さん、なにか訳ありなん?」
と、痛いところを突いてきた。
これは…早急に…しかし正しい答えを出さなければ…。
結局プロイセンは、「ちょっと待ってくれ」と2人に断って、イギリスに相談しに行く事にした。


こうして少し離れたところで青くなっているイギリスの元へ。
そこでイギリスの様子を見て後悔する。

「…ごめん。ごめんな?
怖い思いさせたよな?」
と、まず謝罪。

悪友達と話している暇があったらまずイギリスの状態を気遣うべきだった。
騎士失格だ…と、心底後悔して、震える細い肩にソッと手を置く。

そして念のため確認。
「本当にスペインやフランスに酷い事されたわけじゃねえよな?」

そう、まずそこだ。
拉致した暴漢がすでに逃げたと言う事に関してはイギリスも頷いたが、だからと言ってそれがすなわちスペイン達が絶対的に危害を加えてこなかった証明にはならない。

何もなければこんな怯えた目をしないだろう…そこに気付かなかった自分をプロイセンは猛省する。
本当に今日は猛省することだらけだ。

幸いにしてイギリスはプロイセンの問いに対しても小さく首を横に振ったので、とりあえずはホッとする。
ではなぜ?…と思って顔を覗き込むと、吸い込まれそうに大きな丸い瞳が不安げに揺れた。

「スペインや髭…俺に気づいてたりしないか?」
との言葉に、ああ、そっちか…と、プロイセンは苦笑する。

「ああ、そっちは大丈夫みてえだぜ?
驚いた事にぜんっぜん気づいていやがらねえ。
やっぱあれだな、眉毛のせいだな。
あとは…もしかしたら2人は容姿が変えられるとか知らねえのかも。
俺らは自分達で質問したから、若返りならOKとか教えてもらえたけどな、ローマのジジイ、そこまで親切じゃなさそうじゃね?」
と、さきほどの悪友2人との会話を披露してみせると、イギリスは心底ホッとしたように息を吐き出した。

「バレたら半永久的にからかわれる黒歴史になるからな…」
と言われれば、プロイセンもチクチクと良心が痛む。
なにしろ提案者は自分だ。
なのにリスクをイギリスに負わせているのだから……

「そこは…俺様の責任だからな。
俺様が言いだしっぺだし、万が一バレたら俺様の趣味と利害の一致で仕方なくって言ってくれてかまわねえし、それでもあいつらを始めとして誰かがからかってくるようなら、俺様が絶対に守るから。全力で守らせてもらうから、安心してくれ」

そう言えばイギリスが目を丸くして、それからホッと笑う。
あ…可愛い…と、また最近よくイギリスを見てて感じる事をプロイセンは思った。

「そう言えばお前…直前の会議でも髭の事たしなめてくれたもんな」
とふにゃっと微笑みかけられれば、何故か胸が温かくなる。

「おう。本当は俺様隠居した身だからな、あまり口出ししてもなんだろうと思ってたんだけど、毎回あまりに酷くて改善される様子もなかったからな。
でももっと早く介入すべきだったよな、ごめんな?」
と眉尻を下げて言えば、大きな目からまたぽろりと涙が零れ落ちた。

「ごめん。ほんっとに悪かったから泣かないでくれ。
これからはヴェストに言って俺様もなるべく会議に出られるようにして、フォローいれっから」
と抱き締めれば、おずおずとイギリスの手が腰に回る。

「…次の会議の前に…今回の魔王退治…だけどな?」
と、プロイセンの胸の中でもごもごとそう言うイギリスの言葉で、プロイセンはここに来た理由を思い出した。

「そそ、それなんだけどよ」
「…?」
「フランスとスペインが魔王のとこまで一緒に行かねえかって言ってんだけど……」
と口した瞬間に、またイギリスが青くなった。
しかしそんな表情とは裏腹に、口では
「そうか。そうだな…。断ったら変に勘ぐられて面倒だし、相手が今疑っていないなら側にいた方が騙しやすいよな…」
と言う。

その様子にプロイセンは即断した。
「断ろうぜ」
「え?」
「ずっと一緒にいるの辛えじゃん。
あいつらには俺様がうまく言っておくから…」
と、いったん抱きしめていたイギリスの身体を離すが、イギリスはやはり青い顔のままだが気丈に言い張った。
「ダメだ、プロイセン。
俺達次第で世界が終わるかもしれない時に、んな甘えた事言ってられねえだろ」

人一倍傷つけられて人一倍痛みを知っている。
その上でそんな風にまだ痛みを後回しにして地球を回そうとする姿勢は、本当に会議の時の姿勢と一緒でプロイセンは泣きたくなった。

「うん。そうだよな。悪い。
俺様がぜってえ守るからな?
あいつらにだって手出しはさせねえ」
そんなイギリスに逃げようなんて姿勢は見せられない。

バレたらイギリスが傷ついて痛い思いをさせられるなら、自分が全身全霊を持ってガードしてばらさないようにするだけだ。
プロイセンはそう決意して、とりあえず策を巡らせる。
いきなり賊に攫われた深窓の令嬢…その設定を使えば、自分以外には怯えるからという事で極力近づかないように言っても不自然ではないだろう。
あとは…万が一疑われた時の場合のために、もう1つ保険を打っておくか……




悪友2人の方に戻ったプロイセンはアリスが怯えるのであまり近づかないで欲しい旨と共に、さらにもう一つ付け加える。

――もしかしたら彼女を拉致した奴が物理、もしくは策略しかけてアリスを奪還に来る可能性もある。

そう、フランスもスペインも今の段階ではアリスがイギリスどころか本当は男だと言う事にさえ気づいていないようだが、このまま近づかせないようにして実際に見たり触れたりという方向性からバレなかったとしても、万が一、勘や観察眼の鋭い人間が指摘して来ないとも限らない。
その対策として、アリスに対して何か言ってくる奴は怪しい奴で信用しないという認識を悪友達に植え付ける事は大切だ。

そうやって色々説明しておいて、一応それでも一緒に行くかの判断は悪友2人にゆだねてみたが、2人とも当然のように条件を了承しても一緒に行くと言って来る。




そうして同行する事になった帰り道……

(…なあ、プロイセン……)
(…ん?)
(…やっぱり…ばれてないか?)
(…いや…そんなはずはねえんだけど……)

道々悪友達…特にスペインの視線が痛い。
イギリスの勘違いとも思えない。
プロイセンもなんだか視線を感じる気がしていた。

「…あの……」
と、少し離れたところを歩く悪友達を振り返ってプロイセンが口を開くと、それに被せるようにスペインが言った。

「お姫ちゃん…すぐそこ服屋やさかい、親分服買うたるわ。
その格好あんまりやし、その格好で歩いとると、またおかしな奴呼んで危ないわ」

(…あー、それか…)
とイギリスは納得した。

なるほどスペインはああ見えて親分を自称するくらいなので、身内の中でも特に弱者には優しい男である。
同行する…そう決めた時点で彼にとってアリスはもっとも弱くて気を使ってやらねばならない身内になったのだろう。

そんなイギリスの考えを裏付けるように、
「ダンケ。そうだな。気付かなかった。
じゃあ俺様買うわ。
俺様の連れだし」
と、プロイセンがイギリスを引き寄せるようにその肩を抱くと、スペインは
「もうこれからは“俺らの”連れやろ?
ええやん、親分かてお近づきの印に服の一枚くらい。
それともギルちゃん、親分が買うたらなんか都合悪い事でもあるん?」
と言う。

言葉は冗談めかしているものの、その声には少し剣呑としたものが見え隠れして、イギリスは少し焦った。
何故スペインがそんなに自分の服を買う事にこだわるのかがわからない。

…何か…あるのか?
と、プロイセンに目で問えば、プロイセンの側も何を考えているのか
(…俺様が買うから。気にすんな。スルーしとけ)
と、強固な様子。

イギリス1人意味がわからない。
そう、当事者の2人以外の最後の1人、フランスはなんだかわかっているような様子で苦笑した。

「あー…もう、2人ともお姫様が困ってるよ?
ギルちゃん、今回はトーニョに譲ってやってよ。
あのね、俺らもね、ほら、お姫様は今回も外の人間で嫌な思いしたわけじゃない?
だから、ギルちゃん以外の人間も嫌な奴ばかりじゃないのよ?って知って欲しいのもあるのよ。
危ない人間は少数なんだけど、その少数のためにちゃんと気をつけないとダメだけどね。
味方の人間は大丈夫。危害加えないし守ってあげるからねってわかって欲しいの」

柔らかくそう言われれば、プロイセンも否とは言えなかったらしい。
「わ~った。今回はスペインに任せる」
と、言ってガシガシと頭をかいた。

(…大丈夫…なのか?)
と、身バレについて問えば
(身バレって言う意味ならな…)
と、返ってきて、イギリスはますます脳内にハテナマークを浮かべる事になる。
それに気付いたのだろう。
プロイセンは少し厳しくしていた表情を柔らかくして
(…悪い。俺様のメンタルの問題だから、気にしねえでくれ)
と、ここ最近よくやるように、剣タコの出来た少し固い大きな手でゆっくりとイギリスの頭を撫でた。


結局それから服屋に入ってスペインが選んで買った、やはり清楚な感じの真っ白なドレスを身につける。
くるり…と回るとふわり…と広がるスカートの裾。

「可愛いけど戦闘とかになると汚れそうだよね」
と苦笑するフランス。

まあそうだ…とイギリスも思ったがそれに対して
「はっ?お前なに言ってんだ?」
「はあ?フランやっぱ脳みそ腐っとるんちゃう?」
と、ユニゾンで返ってくる返答。

「お姫さんが服汚すような位置で戦うわけないやん?」
「お姫さんが白い服着てたって、汚れないように完璧に守って戦うに決まってんだろ?」

と、まあ同じような内容の答えが悪友達から返ってきて、フランスはやや引きつった笑みをはりつけながらも、
「はいはい。そうだね」
と、投げやりに同意した。

これが悪友とまゆげの旅の始まりとなった。





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