青い大地の果てにあるもの7章_4

天使組


「ゴメン。ほんっとにゴメンネ」

あの本部急襲の日から毎日、フェリシアーノがいまだ病室のアーサーの所を訪ねてくる。

いつもニコニコとしていた顔に申し訳なさを貼り付けて、泣きそうな顔で謝ってくるその様子に、もう何度も気にするなと言ったのだが、本人の気がすまないらしい。

まあ自分のありえないミスで同僚を死なせかけたのだから、逆の立場だったらアーサーも気にするのだろうが……。

しかしアーサーとていつまでもフェリシアーノに構っている余裕はないのだ。
アーサーはアーサーで、あの一件で桜を怒らせている。
そして…今一世一代のピンチなのだ。

戦勝祝いを開こうなどと、この非常時にふざけた事を言い出したローマブレイン本部長の意向が何故か通って開かれる事になった戦勝祝いパーティー。


「その場でこれを着てくれれば、許して差し上げます」
と、桜に差し出された服は…真っ白…なのは良いとしても、フリルにレースヒラヒラの、どこの少女漫画だと言いたくなるようなチュニックで…男はおそらく全員タキシード着用している中に一人それをというのは、とんだ羞恥プレイである。

まあ確かに着たくないような格好でなければ贖罪にはならないのかもしれないが、桜はここまで意地悪だったか?と、泣きたくなるアーサー。

こんな格好…むしろこいつの方がよほど似合うんじゃないか?…と、目の前のフェリシアーノに視線を向けて、ハッと思いついた。

「今回の事って…お前にも責任の一端があるよなっ?!」
それまでの投げやりな対応から一転、急にそう身を乗り出してくるアーサーに、フェリシアーノは一瞬ビクっとして、

「う、…うん。だから謝ってるんだけど……?」
と恐る恐る答える。

よしっ!これだっ!!!
アーサーは心のなかでガッツポーズをしつつ、桜が置いていった服をフェリシアーノに押し付けた。

「今度の戦勝祝のパーティな、お前もこれ着ろっ!」

そうだ、自分が着ないという選択は与えられないだろうが、一人で着ろとは言われてない。
まだ一人じゃなくてフェリシアーノも一緒ならマシなのではないだろうかっ。

「これ…着るだけでいいの?」
きょとんと服を受け取るフェリシアーノ。
こんな少女のような服を着る事になにも抵抗はないらしい。

それどころか、可愛いね~♪ルートどう言うかなぁ♪などと嬉しそうに自分にあててみている。
拍子抜けだ。

まあ抵抗ないならないでいいか…あとで桜にもう一枚用意してくれるように頼もう…。

アーサーはその様子を見て心秘かにそう決めた。



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