青い大地の果てにあるもの7章_3

相互理解的和解が生む友情以上の関係?その後


こうして夕方まで休んで戻ったロヴィーノが翌日半休を取って午後にブレイン本部のドアをくぐると、何故か一斉に視線が自分に向けられている事に気づいた。

(え??俺何かやったか??)

一瞬焦るが、別にいつものように冷ややかなモノではない。
一部申し訳なさそうな、そして一部感心したような…どちらにしても好意的な感じのする視線に、ロヴィーノはますます戸惑った。

そんな中、上機嫌な祖父がちょいちょいとロヴィーノに手招きをしてくる。

「なんだよ?」
眉を潜めて歩を進めるロヴィーノの目の前に祖父がチラつかせたのは設計図だ。
そう、昨日ギルベルトに託したものである。


「ロヴィ~、お前さすが爺ちゃんの孫だよなっ。爺ちゃんもギルも移動距離の事なんてすっかり忘れてたわっ。これお前が作ったんだって?早く言えよ~」

ブレイン中に響き渡るでかい声。
いつもならまた爺バカかと冷ややかな目で見られるところだが、今日はどことなく違う。

それどころか
「本部長大雑把だから。副本部長が気付かなかったらどうしてたんですかっ」
と、声がかかった。

初めてくらい自分のやったことを受け入れるような言葉…。
泣きそうだった。
でもそれもきまずくて、

「ちょっとギルんとこ打合せに行ってくる。」

と、ロヴィーノがかろうじて泣くのを堪えて反転すると、フリーダム本部長によろしく~と声がかかったので、後ろ手に手を振った。


「まさか…こんな仕事してる上、歴代いまいちギクシャクしてるフリーダムの本部長と交流もって連絡取り合ってたりするなんて思っても見ませんでした…。」

ただの無愛想なお坊ちゃんかと思ってました…と、率直な感想を述べる部下に、ローマは

「爺の孫なんだからなっ。そんなわけないだろっ!」
と、ペチコーンと軽くデコピンをする。

「まあ…若いからなぁ。馴染むのも早いのかもしれねえが…。
そろそろ仕事の引継ぎさしてもいいかなぁ…」

ポリポリと頭をかきながら、ローマは午前中、この設計図を持って厳しい顔で訪ねてきた若きフリーダム本部長の言葉を思い出した。


「あんたロヴィーノを飼い殺しにするつもりか?」

本来仕事が出来るはずのロヴィーノが本領を発揮せず不遇な立場に置かれている責任の一端はローマにあると、ブルーアースの人間としては地位を確固たるものとして久しい大先輩であるブレイン本部長のローマに若いフリーダム本部長は面と向かって言ってきた。

「あの坊…良い目してたなぁ。さすがにあいつの孫だ…」
はるか昔、一緒にコンビを組んで仕事をしていた今は亡きフリーダムの相棒を彷彿とさせる真摯で熱いくせにそれを理性で押し殺したような目を思い出して、思わず顔に笑みが浮かぶ。

自分達はいつのまにかブレインとフリーダムとしてそれぞれ別の道を歩んでいるうちに、気づけば亡くなっていたわけだが…孫達はいづれ二人三脚で歩んでいく事ができるのだろうか…。

「ま、一度ブレインとフリーダムの交流会開いてもいいかもなぁ…」

ローマは機嫌よくそんな孫にもフリーダム本部長にも、このクソ忙しいのに少しは仕事をしろと怒られそうな事を考えながら、楽しげに笑った。



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