馬鹿っぷる危険!近づくべからず_2

「で?なんなのよ?喧嘩…はないよね?スペインはもうお前が何やっても可愛いもんね。」

そう、数百年間あれほど嫌っていたにも関わらず、いったんイギリスを可愛いと認識してからのスペインは尋常じゃないほどの愛情をイギリスに傾けている。

アーティー可愛え…アーティーのためなら死ねる…いや、むしろ親分の可愛え可愛えアーティーを狙っているに違いない世界中の不埒な輩を抹殺して回りたい…そんな事を真顔で言うような今日この頃。

その溺愛ぶりときたら、もう遥か昔、かわいがっていた子分南イタリアの防衛のために国庫をすっからかんにした時と比べても遥か上を行くのでは?と思うくらいにすごい。

これがあの時代だったとしたら、今頃イギリスのために世界征服くらいしかねない。

そうしたら今頃地球は全てスペインの占領下…いや、イギリスの占領下なのではないだろうか…。

世界の平和のためにも、スペインがあの時代に認識しないで良かったとフランスは心から思う。

そんなわけだから、まあ浮気はありえないし、喧嘩も…少なくともスペインがイギリスに喧嘩を売るのも買うのもありえない。

どんな不条理な事を言われても、笑顔でデレデレとその素直になれない不器用さが可愛いと言ってのけるに違いない。

だからイギリスが何故ここまで思いつめた落ち込んだ様子でいるのかがわからない。

フランスの先を促す言葉に、イギリスは真っ赤な顔であ~とかう~とか言いよどんだ後、グイっと手にしたグラスの中身を一気に飲み干した。

そしてグッと一度言葉に詰まった後に、それでも思い切ったように口を開く。

「スペインがっ…」
「うん、スペインが?」
「…するって言うから…」

え~っと…するって…恋人同士ならあの事だよね?
と、言葉にすると恥ずかしがって可哀想だと目線だけで問いかけると、目つきがいやらしいとイギリスに殴られた。

うん…不条理だ…。

それでも一応照れ隠しだったらしく、気を失うには至らず…うん…気持ちの準備が出来てない時に本気で殴られたら、壁に激突&失神のコンボだからね……何故ここまでされて話聞いてるんだろうね、お兄さん…と、フランスは遠い目をする。





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