ギルベルトの目覚め?(14日目)
昨日はひどい目にあった…と、ギルベルトは自室でため息をついた。
シャツをめくり上げると腹にくっきりと青あざ。
相変わらず良いパンチをしている。
自分が庇護する対象と定めた人間に危害を加えようとする相手を排除しようとする時のアントーニョの強さは半端ない。
そう言えば昔、自分達がまだ中学生になりたてだった頃、アントーニョがそれはそれは可愛がっていた隣に住む年下の幼馴染が帰宅途中に誘拐されかけたのだが、同じく帰宅途中に偶然それをみかけたアントーニョがキレて大人二人のしてしまった事があった…。
あの時自分が止めなければ、誘拐犯達はどうなっていたか本当にわからなかったな…と、ギルベルトは遠い目をする。
結論…アントーニョのお気に入りには極力近寄るべからず。
そうは思うのだが、今回ばかりは、そう簡単にはいかなさそうだ。
昨夜、キレているっぽぃアントーニョに呼び出されて思い切り嫌な予感がしつつもアントーニョの家に行った。
妹のベルに家の中にいれてもらい、そのままアントーニョの部屋へ行ってドアを開けた瞬間、いきなり繰りだされたパンチを避けきれず、多少勢いはころせたものの、きっちり腹にくらう。
避けて勢いを殺してこの青あざだ。
まともに食らっていたらと思うと本当に恐ろしい。
ていうか…あれ絶対に殴り殺すつもりでパンチ繰り出してたよな…と、またギルベルトは遠くを見た。
結局ギルベルトが4番目の殺人事件の犠牲者にならずに済んだのは、アントーニョの後方にいたアーサーが止めてくれたからだ。
うん…確かにアントーニョが執着するよな。
と、言うのがアーサーに対するギルベルトの第一印象だった。
なにせ童顔だ。
アントーニョは女以上に子供が好きだ。
まず目が大きい。
まばたきをしたらバサバサ音がするんじゃないかと思うくらい長くてクルンとカーブしたまつげに縁取られた少し吊り目がちの大きな丸い目なのは、アントーニョが溺愛する隣の年下の幼馴染、ロヴィーノと同じで、しかも最近ではすっきりしてきてしまったロヴィーノと違って、まだ頬が若干ふっくらと柔らかそうな分、よけいに幼く見える。
眉毛が不似合いに太いのも、整えてない分あどけなさを醸し出していて、なんというか…うん、アントーニョの好みにどんぴしゃだよな、と、ギルベルトは納得した。
さらにどうやら世間知らずっぽく、人見知りで不器用な感じで、なんとなく庇護欲をそそる。
頭をわしゃわしゃっとなでてやりたくなる感じだ。
…無意識にそれをしかけて、アントーニョに腕を折られかけたのだが…と、またギルベルトの視線が遠くなる。
まあなんというか…自分は絶対に異性愛者だと思う。
思うのだが…今度はアントーニョのいない所で話がしたい、頭を撫でまわしたいと思うのは何故だろうか…。
男でも美しいモノは美しいし、お兄さん全然おっけぃだよ、というフランシスや、ちっこい子かわええわぁ、楽園やんなぁ…というアントーニョの気持ちがわかる気がする…いや、気がしちゃいけない、でも悔しいけど気がしちゃう…みたいな?
ああ、でもとりあえず何かあったら最優先で守ってやろうと思うのは、仕方ない。
髭やトマトよりは数段守ってやる価値はあるはずだ。
そんな事を考えてたらメール。
エドガーからだ。
ギルベルトはメールを開いてみる。
『やあ、ギルベルト。
今まで色々聞かせてくれてありがとう。
おかげでようやく犯人が割れたよ。
んで、すぐ糾弾したいところなんだけど、
実はそうと知らずに犯人と行動を共に
してる人がいるんだ。
追いつめられた犯人がその人物に危害加えない
とも限らないから、とりあえず先にその人物に....
事情を話して距離を取る様に忠告して、距離を
取ったのを確認したあと、主催にとりあえず
連絡をいれると共に、みんながいるところで
僕の推理を披露しようと思う。
まあ楽しみにしていてくれ。
それでは夜にまた。
エドガー@芳賀耕助』
マジか…とギルベルトは目を見開く。
今自分達以外で複数で行動しているのはアゾットとイヴ。
どっちだ?
まあどちらにしても今晩全てがわかるのだろう。
ギルベルトは仲間3人にそのメールを転送して、スカイプ会議を提案した。
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