オンラインゲーム殺人事件_Anasa_第一章_4

ネットは意外に怖いらしい (4日目)


翌日…いつものようにアントーニョがアクセスすると、街の広場でギルベルトが待ってた。
アントーニョのように一人で狩りに行かず、きちんと待っているあたりがギルベルトは真面目だ。

『今日はレベル上げ行かへんの?』
見上げて聞くアントーニョにギルベルトは案の定
『フランとアーサーを待て』
とだけ言って視線を広場の噴水の向こう、雑談をしてるらしい二人のウォリアに向けている。
アントーニョも暇だったのでなんとなく二人の会話に耳を傾けた。

男のウォリア、バットマンがほぼ一方的に話してるっぽい。

「俺さ、今レベルトップだし、ミッションもすごく進んでるんだぞっ。
でもゲームだけじゃなくて自分で言うのもなんだけどリアルも結構すごいんだぞ!、
俺、アルフレッド・F・ジョーンズって言う都立S高の2年なんだけど、背高いし、顔もまあまあだし…」

延々と続く自慢話。
聞かされてるイヴって子も大変やなぁ…と思わずアントーニョも同情する。

そしてそこでふと、そう言えばオンラインゲームは一緒にいる相手も機械ではなくて自分と同じようにキャラを操ってる人間なのだと、今更のように気付いて、気になった。

アーサーも本当にどこかに実在する高校生なのだ。
リアルだとどんな奴なんだろうか。

「なぁ、ギルちゃん…」
『…ん?』
「アーサーも高校生のはずやん?」
『だな。このイベントの参加者全員そうだって主催言ってたしな。』
「どんな感じの奴なんやろな?リアル。俺らみたいに…」
『ストップ!!黙っとけ、馬鹿!!』
アントーニョの言葉をギルベルトはいきなり怒ったような強い口調でさえぎった。

「なんやの、急にどなったりして!」
ムッとするアントーニョに、ギルベルトはため息をついてそういうんじゃないと少し落ち着いた口調で話し始めた。

『ネット上だと相手も嘘つけるからな。下手に自分の個人情報漏らすと悪用されるぞ。
絶対に下手に相手を信用すんな。
ましてや誰が聞いてるともわかんない通常会話でリアル明かすなんて史上最悪の大馬鹿野郎だぞ』

『そんな事もあるんや~。』
正直どちらかと言うとアウトドア派なアントーニョはネットで赤の他人とコミニュケーションを取ると言う事にも慣れてなく、全くその手の事に無知だった。

『ん…わかった。気をつけるわ』
『わかればよし』
と上から目線で物言うギルベルトに
『でもギルちゃんの言い方はむかつくから、明日殴りに行くなっ』
と付け足し、リアルでギルベルトは、なんでそうなるんだっ、と涙目で叫んだ。


そうこうしてるうちに残り二人がインしてくる。
そのままさあ狩りにと思いきや、アーサーは街の外へ続く門とは反対側、商店街の方へと足を向けた。

『アーサー、そっち反対。外は向こうだよ』
と一応フランシスが注意するがアーサーは足を止めず
『反対じゃない。こっちで正解。お前ら初期装備で俺についてくるつもりか、装備買え』
と言って防具屋に入っていく。

『俺ら金ないんだけど…』
『今回はしかたないから買ってやる。紙装備でうろちょろされても迷惑だからな。これからはちゃんと金策もしろよ。』
相変わらず…口調は悪いが異様に良い奴だと、3人は揃って思う。

ああ…こいつとリアルで遊んでみたいなぁ…
そしたら…礼にジュースの一本くらいおごったるのにな、リアル聞き出せへんかな。

さっきのギルベルトの注意もなんのその、アントーニョはそんな事を思いつつ、アーサーに買ってもらった装備を身につけた。




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