そこは花咲き匂う天の御国…ではなく、ピレネー山脈を越えた隣国のはずれだった。
ボロボロの身体を引きずってたどりついた森の木陰でスペインは信じられないモノを見た。
大きな木の根元で森の動物に守られるように眠っている白い塊。
背中には綺麗な白い羽が髪には金色に輝く輪っかが見える。
まだ見かけは少年のようなその天使は陶磁器のように真っ白で滑らかな白い肌をしていて、頬は淡い薔薇色。
頭上に浮いている天使の輪より若干落ち着いた綺麗な金糸の髪は、木漏れ日に照らされてキラキラ輝いていた。
泣きたくなるくらい美しくて慕わしい風景。
自分が戦いの中で見失いかけていた神…。
その使いがここに眠っている…。
ソッと近付いても動物は逃げるが天使は起きない。
身を縮めるように熟睡している天使の手元に落ちている星の飾りのついた小さなステッキ。
スペインの視線はそのステッキに引き寄せられた。
それはほんの出来心だった。
スペインは手を伸ばしてステッキを拾うと、一目散に逃げ出した。
血の匂い…体中が戦いで死んでいく国民の悲鳴で満たされ、痛みに意識が遠くなりかける。
それでも死ねない国と言う身体…。
死にたい…と願う事すら許されない。
神は偉大なり。
例えこの身が朽ちようと、異教の者に踏みにじられ汚れた身を敵の血で清め、真の神の教えをこの地に取り戻さねばならない。
それが自分が体現する国家と言うもののために血を流し、死んでいった多くの者への供養だと皆が言う。
ただひたすら血に染まってすでに元の色のわからないハルバードを振り回し、味方の遺体を乗り越え、敵の死体を増やしていく。
もうなんのために戦っているのかもわからない。
永遠に続く地獄の責苦のような生に、本来ならあるはずの人に似た感性はとっくに摩耗して、何度もただただ戦う機械のようになりかけた時、スペインは自分が持つ布の中では特別に上等な布に包んだ天使の杖をソッと眺めた。
それが唯一、この苦しい戦いの中で地上に自分の意識を繋ぎとめる支えだった。
人は皆神の前で平等というのに…何故自分には救いがこないのか…。
と、それまでは何度も思ったものだが、今は違う。
自分は天使のために戦うのだ。
あの日卑小な自分を恥じて声もかけられず、ただその一部をこっそり拝借してしまった神の使い…いつか自分がその身体の中から全ての異教の民を追い出し、自分の全てが神の恵みで満たされたあかつきには、謝罪と共にこの杖を返し、そして言おう。
あなたのために戦った。あなたがいたから戦えたのだと。
その日を迎えるためなら戦えた。
例え心が、身体が、何度も痛みと疲労に悲鳴をあげても戦えたのだ。
そんな国の心の高揚は国民の士気にも影響するのか、スペイン軍は破竹の勢いで勝利を重ね、ついに身体の半分を神の地として取り戻す事に成功した。
万軍の神なる主、主の栄光は天地に満つ、天のいと高きところにホザンナ
誇らしげに歌う国民達。
あと半分…あと半分取り戻せれば、堂々と天使に会える…。
スペインも国民に混じって神を讃える歌を歌いながら、その心は神ではなく、神の使いの方へと飛ばしていた。
その日は久々に知人に会う事になっていた。
昔々、自分がまだ子供でローマ帝国という大きな存在に守られていた頃、一緒に育ったフランスはイスラム勢力に攻められてその身体のほとんどを失って現在その領土復興のために戦っている自分と違って、ずいぶんと大国になったらしい。
普通の状態なら同じように育ったのにそんな風に現在の身の上が天と地ほども違ってしまった相手に会うのをみじめにも思っただろうし、ためらいもあったかもしれない。
しかし一刻も早く身体を全部取り戻したいスペインとしては味方につけておいた方がいいであろう相手に会う事になんのためらいも感じなかった。
十数年前と同様にピレネー山脈を越え、念の為、以前天使が眠っていた森を覗いてみる。
天使が眠っていた木は健在だったが天使はいない。
「神さんの威光を取り戻すために戦わせてもろうてますんで、もう少し待っとってください。杖はちゃんと返しますよって」
スペインはその木の根元にむかって膝をつき、そう祈りをささげると、知人の待つフランスの城まで急ぎ足をむけた。
「お~い、スペイン、久しぶりだな~」
豊かで平和な国土を象徴するように、幼馴染フランスは美しく成長していた。
「ほんまやなぁ…ローマのおっちゃんがいなくなって以来か?」
「かなぁ?あれからお前大変だって聞いたけど、思ったより大丈夫そうじゃん?もっとボロボロかと思ったよ。」
天使に会った頃は確かにそうだった。
戦場で血にまみれた鎧の上からボロボロのマントをはおり、その姿はともすれば亡者のようにも見えたが、あれから十数年、見違えるように勝利を重ね、身体の半分を取り戻した今では、豪奢にとはさすがに行かないが、国家としてそれなりの体裁を整えた格好くらいはできるようになっていた。
「ここ十数年くらいで身体半分くらいは取り戻せたし、なんとか…ぼちぼちやな。」
「ふ~ん、ま、立ち話もなんだし、続きは城の中でな。」
フランスは言って、お~い!と声をかける。
その声に駆け寄ってきた人影に目を向けたスペインはその場に硬直した。
なんで?
背に翼もなければ頭上に金色の光の輪もない。
しかしその金糸の髪も白い肌も薔薇色の頬も…まぎれもなく十数年前に出会った天使のもので……
「こいつ、俺の召使のイングランドな。十数年前くらいに手に入れたんだけど…」
スペインの動揺に気付かず当たり前に紹介するフランス。
しかしスペインは硬直したまま声も出ない。
「お前な、遅いんだよっ。今日客来るから待機してろって言っただろっ!」
当たり前に手に持った小さな鞭で軽くその手を打とうとフランスが手をあげた時点で、ようやくスペインは我に返った。
「自分なにしとるん!!」
おもいがけず大きな声が出た。
鞭を持つ手を掴まれて怒鳴られたフランスはもちろんの事、当のイングランドも驚きで大きな瞳をまん丸く見開いている。
「なにって……しつけ?言いつけ守らなかったら手くらい打つの普通じゃん。
お前のとこだって普通にやるだろ?」
確かに…そうなのだが……。
自分のところだったら手を軽くじゃすまない。
だけどこの子は……
「ま、いいや。ほら、イングランド、お客さんの荷物運べよ」
言葉をなくすスペインを不思議そうに見ていたフランスは、気をとりなおして隣に控えるイングランドに命じる。
「わかってる。」
ムスっと答えてスペインのカバンに伸ばす小さな手には、初めてあった頃にはなかった赤い傷跡があって、スペインは泣きそうな気分になった。
「自分で運ぶから…。自分で運ぶからそんなんせんでええよ。」
なんとか笑顔を作ってそう言うと、イングランドは零れおちそうな大きなペリドットで不思議そうにスペインを見上げた。
「でも…仕事だから。」
と、困ったように太めの眉を少し寄せるイングランドの言葉に、スペインは
「自分で運びたいねん。フランス、あかん?」
と、彼を支配しているであろう相手の許可を取る。
聞かれたフランスはやはり不思議そうな顔をしていたが、荷物の中身によっては確かに他人にいじらせたくない物もあるだろうと、
「まあスペインがそう言うなら良いけど?」
と、了承して、イングランドを下がらせた。
こうしていったん落ち着いた客間で、スペインは頭を抱えた。
見間違いじゃない。あの子はあの時見た天使だ。
羽も輪っかもないが、間違いない。
十数年間いっときも忘れることなく、何度もあの時あの場所を思い出してきたのだ。
それが何故ここでフランスに使われているのだ……
考えがそこに至った時に、ふとスペインは思いついた。
もしかして…あの時自分がステッキを盗んでしまったからなのではないだろうか?
それで羽と輪を奪われて地上に落とされたのだとしたら?
フランスがあの子を手に入れたのは十数年前といった。
丁度じぶんがステッキを盗んでしまったのもその頃だ。
もしかして自分のせいなのか……
返さなければ…と、スペインはふと荷物の入った袋に目をやった。
そこにはいつも持ち歩いているステッキも入っている。
しかし…どうやって返すのだ。
十数年前にあなたから盗んだ物ですといって?
そんな事言えるはずはない。
もし自分のせいでこんな身の上に落とされたと知ったら、彼は自分を許さないだろう。
他の誰かに憎まれても嫌われても…彼にだけは嫌われたくない。
そんなことは耐えられない。
何故盗んでしまったのだろう…と思うが、逆にそうしたからこそ彼が今ここにいると思うと、複雑な気分だ。
もしあの時にステッキを盗まなければ、彼は天に帰って二度と会えなかったのかもしれない。
そう思ったら、盗まなければ良かったとさえ思えない自分をスペインは恥じた。
そんな事を考えてモンモンとしていると、トントンとドアがノックされる。
「あいとるで~。」
と声をかけるがドアが開かない。
不思議に思ってたちあがり、自分でドアを開けると、両手で大きなトレイを持ったイングランドが立っている。
「お茶を持って行けって…フランスが。」
ガチャガチャと音を立てて歩く姿が危なっかしく、スペインは
「おおきに」
と、その手からトレイを片手で受け取った。
「じゃあ…」
ボソっと言って戻ろうとするイングランドの肩を思わずスペインがつかむと、イングランドはビクっと身を固くした。
「あ…驚かせて堪忍な。良かったら一緒に茶飲んでくれへん?一人じゃ寂しいやん」
スペインが言うと、イングランドは黙ってスペインの手を肩から外して、黙って出て行ってしまった。
「…あかんかぁ…」
大きく肩を落とすスペイン。
トレイをテーブルに置くと、手を出す気もせずにぼ~っと茶菓子をみつめた。
しばらくそうしていると、突然部屋のドアが開く。
驚いて目を向けると、そこにはティーカップ一つ持ったイングランド。
「戻ってきてくれたん?行ってもうたかと思ったわ」
とスペインが言うと、
「カップ一つしかなかったから……嫌ならいい」
と反転しかけるので、スペインは慌てて立ちあがって
「嫌やないですっ!」
と、イングランドを部屋へ招いてドアを閉めた。
こうして二人向かい合って座り、お茶を飲む。
イングランドが淹れてくれたお茶は今まで飲んだどんなお茶より美味しかった。
自分天使やないん?とか、なんでこんなところにおるん?とか聞きたい事はいくらでもあったのだが、どれも聞いたら終わる内容だったので、聞けない。
それでもこうして向かい合って座っているだけで十分楽しかった。
最初会った時は眠っていたので瞼の下に隠れていた大きな丸い目は自分よりも明るい緑色。
それを縁取る金色の長いまつげが瞬きをするたび輝いて、初めてあった時にいた森の木漏れ日を連想させる。
ああ…ほんま可愛ええなぁ…と思わず観察していると、そのペリドットがチラリチラリと皿の上の茶菓子に向けられているのに気づいて、スペインはその皿をイングランドの前に置いた。
「…お前のだぞ?」
置かれた菓子とスペインを交互に見比べて、戸惑ったように言うイングランド。
「うん。でも俺甘いの苦手やねん。せっかく出してもろたのを残すのも悪いし、良かったら食うてくれへん?」
本当は甘いモノは大好きだった。
ローマに保護されていた頃は当たり前に食べられたそれも、異教徒に身体を乗っ取られた後、それを取り返すため国土回復運動…レコンキスタに身を投じてからは、そうそう口には入らなくなっていたからなおさらだ。
でも自分が食べるよりもイングランドに食べさせたかった。
イングランドはスペインの言葉に嬉しさを押し隠すように少し頬を紅潮させて
「なら食べてやる」
と、いそいそとフォークを手に取った。
幸せそうにケーキを頬張るイングランドを見ているだけで、胸が温かいもので満たされていく。
この時スペインははっきり自覚した。
十数年前のあの日、自分は天使相手に恋に落ちたのだ。
それからスペインはフランスがいない時こっそりイングランドをお茶に呼んだ。
フランスが出かけていて一人じゃ寂しいから…と、理由をつければ、イングランドは仕事がなくて手が空いている限りはきてくれる。
時間にして30分から1時間くらいだろうか…。
ただたわいもない話をしながらお茶を飲む。
最初は不思議そうに…あるいは警戒して固くなっていたイングランドも、次第に打ち解けて、たまにフランスにすら見せない、はにかんだような笑顔を見せてくれるようになった。
それだけの事がとても幸せだった。
しかし幸せな時間というものは長く続くモノではないのが常だ。
その日もフランスが上司に呼ばれて外出していたので、スペインはイングランドを呼んでお茶を飲んでいた。
ひそやかなお茶会もこれで何回目になったのだろうか。
このまま和やかな関係を続けられれば…と思いつつ、いつものように可愛らしい様子で茶菓子を頬張るイングランドに見惚れていると、いきなりドアが開く。
そしてドアの向こうには笑顔のフランスが立っていた。
「お前なにしてんの?」
と、笑顔のまま部屋に入ってくると、イングランドを引きずり立たせるフランスに、スペインは慌てて立ちあがった。
「堪忍!フランス、俺が一人じゃ味気ないからって一緒にお茶してくれるよう頼んでん!」
と、割って入ろうとするスペインを制すると、フランスはすっと笑みを消した。
「これはうちのしつけの問題だから。口出さないでくれるかな?スペイン」
フランスとは長い付き合いだ。本気で怒っているのがスペインにはわかった。
「堪忍。でも俺のせいやねん。イングランドを怒らんといて。これからは気をつけるさかい」
「いい?スペイン。お前は幼馴染だし客だから歓迎するけど……これは“俺の”だからね?」
フランスは“俺の”を強調する。
「俺はね、自分のものにちょっかいかけられるのすごく嫌いなの。わかってるよね?」
「ああ…わかっとる。イングランドはお前のとこのモンやし、俺が悪かったわ。」
焦るスペインにフランスはニッコリ綺麗に微笑む。
「とりあえず…イングランドと話をしてくるから。」
有無を言わせずそう言って、フランスはイングランドを連れて部屋を出て行った。
パタン!と閉まるドアを呆然とみつめるスペイン。
どないしよ……
本当に考えなしだった。
最悪出て行けば良い自分と違ってイングランドはここに残るのだ。
フランスも例え今弱体化しているとは言っても他国の自分に対してはそうひどい事もできないが、イングランドは違う。
いっそ連れて逃げてしまおうか…などと言う考えが脳裏をよぎったが、今の自分とフランスの国力の差を考えれば逃げ切れるものではない。
自分はいまさらどうなっても構わないが、捕まればイングランドの方がひどい目にあわされるだろう。
スペインは今更ながら自分の無力さを呪った。
結局信仰だなんだと言っても力がなければ大事なモノ一つ守れないのだ。
フランス自らが食事を持ってきたのはそれから2時間ほどあとのことだった。
「なあ…イングランドは?」
さきほどの事に何も触れないので、機嫌を損ねる覚悟でこちらから聞いてみると、フランスはにっこり微笑んだ。
「俺の部屋にいるけど?会いたい?」
…嫌な笑みだ…と思った。
何かを企んでいる時のような…。
フランスはいつもそうだった。怒っていても笑っている。
そんなところがスペインはどうにも苦手だった…が、相手が何をたくらんでいても、そこで会わないという選択をする事はできなかった。
そうするにはスペインはイギリスに惹かれすぎていた。
スペインが黙ってうなづくと、フランスは
「いいよ。行こう」
と食事のトレイをテーブルに放置して背を向けた。
客間からフランスの私室まで、双方何も話さなかったが、スペインは嫌な汗をかいていた。
いつも…どんなつらい戦いでも自らが率先して飛び込んできたが、今初めて対峙するものから逃げ出したいと思った。
知りたい…でも見たくない…心臓が激しく脈打つ。
嫌な緊張で気が狂いそうだ。
フランスの私室の前までくると、フランスは自分の部屋であるのに
「イングランド、入るよ」
とノックをしてそう告げる。
中からは返事はなかった。
しかし気にせずフランスはドアを開けた。
入ってすぐがリビングになっていて、その奥にもう一つドアがあり、フランスはリビングを横切ると、そのドアに手をかけた。
カチャリとドアを開けると中は薄暗い。
スペインもフランスに続いて部屋に足を踏み入れた。
何か…争った跡のように物が散乱する室内…。
ベッドの横のシーツの塊にスペインが目を止めたのに気づくと、フランスはくすりと笑みをもらし、ゆっくりとそれに近づいていく。
フランスの彫刻のように綺麗な指先が、まるで果物の皮でもむくようにシーツをつまんで少しずらすと、中から浮かびあがる金色の髪。
クルクルとよく表情を変えたペリドットは光を失い虚ろで、薔薇色だった頬は青ざめて涙の跡を残している。
おそらく何も身につけていない華奢な身体はいまだシーツにくるまれたままだが、かろうじて露出している白い首筋に浮かぶ紅い華が、ここで何があったのかを連想させた。
「イングランド、スペインが話をしたいって。どうする?」
白い耳元に唇を寄せてささやくフランスの言葉に、それまで死んだように動かなかったイングランドの身体がビクっと緊張した。
ゆっくりと向けられる顔…。
焦点の合わない視線がしっかりとスペインの姿を捉えた時、イングランドが悲鳴をあげた。
「見るなぁあぁぁ~~~!!!」
スペインはたまらず部屋を走り出た。パタン!とドアを閉めて頭を抱えてその場にしゃがみこむ。
涙が止まらない。頭がガンガン痛んで吐き気がした。
なんで?なんで??
そんな言葉がクルクルと無意味に頭をかけめぐる。
「大丈夫?スペイン?」
ふと気付くと、目の前で全然心配そうでもなく、むしろ楽しげな顔をしたフランスがスペインの顔を覗き込んでいた。
「自分…なんて事するんや…」
声がうまく出ずに掠れる。
「…俺のだからね。お前には渡さない…」
にこりと…悪意に満ちた…それでもぞっとするくらい美しい微笑み。
悪魔…というのがいるならば、こういう風に笑うのだろう…とスペインは思った。
そして自分の中にもゾワっと何か黒い塊がこみ上げてくるのを感じる。
神は…偉大なり?
いや…それだけじゃあかんかった…信仰も良識も…天国への道も…何もかも捨てな手に入らんもんもある……
「渡さへん?」
涙がまだ残る顔でスペインは笑みを浮かべた。
神を信じ、神のために戦ってきた頃には決して浮かぶ事のなかった黒い熱情を秘めた笑み。
「なら奪い取ったるまでや。見とき?そのうち俺はどんな手を使っても世界の覇者になったる!そしたら真っ先に自分からあの子奪い取ったるわ!」
低い声でそう宣言をしたスペインは、そのままフランスを後にした。
絶対に…覇者になるのだ…たとえ良心を捨てても信仰を捨てても…そのために地獄に落ちても構わない。
そう決意を固めてスペインはさらに苛烈な戦いに身を投じた。
そしてそれから実に300年の時を越えて、神に救いを求め、天使に恋をした男はいつしか信仰をなくしたが、自分の中から完全に異教徒を追い出し、ついに世界の覇者となったのだった。
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