聖夜の贈り物 10章_4

「あ、良かった。気付いたね、アントーニョ兄ちゃん」
ふと気がつくと目の前にはフェリシアーノ。

「びっくりしたよぉ。二人して上から降ってくるんだもん。ウィルがいなかったら死んじゃってたよ」
ニコニコと言うフェリシアーノの横にはウィリアム。


「まあ、チビちゃんは仕方ないとして…フェリのビスコッティが美味しかったからおまけもついでにね。」
と、ウィンク。

それだけでも十分訳がわからないのに、今度はドサドサドサ~っと何やらローブやら杖やらが降ってくる。
「回収しといたチビの装備だ。」
と言う声に振り向くと、そこには何故かルートヴィヒに並んでアイルの姿。

「またやろうぜ…って言いてえとこだが…もうお前ら島出るしかねえしな。でないとスコ兄が戻ったら殺される。」
というアイルの言葉に
「何から何まで世話になったな、礼を言う。」
と固い握手を交わすルートヴィヒ。

「いったい…どうなってるん?」
訳がわからず戸惑うアントーニョにフェリシアーノが説明する。

「あのね、一番上のスコットさんは今ここにはいないんだって。で、お友達になったウィルやアイルが助けてくれたの。島内だとウィルはどこでも飛べちゃうし、また連れ戻されちゃうから、島を出た方がいいって…。船は北の国から出してくれるらしいし、ギルもウィルが送っておいてくれるっていうから、このまま出発ってことになったんだ。いい?」

「いい?って…俺はええけど、フェリちゃんロマやじいさんにお別れ言わんでええん?」
アントーニョの言葉にフェリシアーノは少しうつむき加減に笑みを浮かべる。
「うん…たぶん反対されちゃうからね。予定より少し早い出発になっちゃったけど、行っちゃおうかなって。」
「自分は?ええん?」
続いてルートヴィヒに視線を向けると、ルートヴィヒは当然、というようにうなづいた。
「兄さんは俺に自分が選んだ道を進めと言っていたしな。俺が守るのは国と言う抽象的なものではなくてフェリシアーノただ一人だ」
「ルート…vv」

また二人の世界に突入するフェリシアーノとルートヴィヒから、アントーニョはウィリアムとアイルに視線を移した。

「自分らは大丈夫なん?」
「うん、大丈夫。全部このNOUKINの責任にするからっ♪」
「てめっ!先に茶菓子に釣られたくせに!」
と、お約束のように始まるじゃれあい。

「ま、NOUKINからかうのはこのくらいにして…」
ヒョイっとまた杖を振ってアイルを拘束すると、ウィルはにっこり笑った。
「さすがに実の弟は切れないからね、大丈夫だよっ。ご心配なく」

結局ウィルの魔法で北の国との国境まで送られる4人。
その後、迎えに来たフランシスの馬車で北の国の港へと向かったのだった。






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