ペナルティらぶアナザーSBG_19_嵐の前_不死川視点

この1週間、すごく長かった!

先週の金曜日に宇髄に呼び出してもらった錆兎に罰ゲームとして義勇に告白させる事に成功して、あとは罰ゲームだと知って傷ついた義勇を慰めてそのまま交際に持ち込む手筈だった。

だから報告会が開かれる今日まで実弥は付き合えたら即デートに行けるようにと色々調べていた。

まず定番。
人気のテーマパーク。

弟妹もずっと行きたがっていたが家中誰も行ったことのないDランド。
自分だけ行くのは悪いなと思いつつも、先に自分が行った上で弟妹を連れて行った時に案内してやればいいかと心の中で言い訳をする。

そうしてわくわくしながら終業時刻を待ちつつリストに集中していたら、いつのまにか宇髄が消えていた。
近くの奴に聞くと、午後に半休を取って帰宅したとのことだ。

ああ、苦節19年かかった想いの成就というめでたい日だし、入念に美味いものの準備でもしてくれているのだろうと、実弥は機嫌よく仕事を続ける。

そうしてようやく18時。
終業時刻ぴったりにフロアを出られるようにと5分前には準備をし、PCを落としてカバンを抱える。

そのままエレベータまで一直線。
実弥のいる5Fまで即来るあたり、エレベータも空気を読んでいるんじゃないだろうか…と思わず鼻歌があふれ出る。

全てが上手くいかなかった19年が嘘のように全てが順調な今日。
明日か明後日はテーマパークで初デートとなるだろうから、今晩は呑みすぎないようにしないと…などと思いながら会社の正面入り口を駆け抜けて、少しでも早く着くようにとタクシーを拾った。

実弥がマンションについた時には急いできたこともあってまだ義勇は来ていない。
宇髄の話だと1時間ほどあとに錆兎と一緒に来る予定だという。

(鱗滝とォ?告白して振る予定の男と一緒に来るって、冨岡の奴まぬけだよなぁ。
つか、俺相手だとすぐ逃げんのに、告白されただけで懐くのかよォ)
と、その言葉に感じた違和感は、しかしその時は
(ま、いっかァ。そこもあとでからかってやろう)
で、流してしまった。

この時実弥は、”告白”と”振る”をセットで考えていて、”告白をしても振らない”という可能性を微塵も考えてはいなかった。
そう、振るどころかそのまま付き合っていく前提ですでに交流を深めているなどとは夢にも思っていなかったのである。
それが彼の悲劇の一番の原因だった。

料理は錆兎が持ってくるということだったが、やや腹が減っていたので宇髄にとりあえずの食べ物と飲み物を要求すると、宇髄は非常に複雑な顔をする。

それでも持ってきてはくれて、実弥はとりあえず小腹を満たしながら義勇を待った。

その時の宇髄の表情も、
(なんでそんな辛気臭え顔してやがんだァ?)
とは思いはしたものの、それも対して気にせずに流す。

のちに思い出すと、そうしてこの計画が楽しい結果にならないという予兆は色々あったのだ。
そしてそれをもう少し気に留めていたら、ショックがもう少し和らいだかもしれない。

いや、それを気にするような実弥だったなら、そもそもがこういう結果にならなかったのかもしれないが……。


しばらくして錆兎が着いたと宇髄が下まで迎えに行く。
そしてほんの少し待っていると手にいっぱいの御馳走と共に義勇を伴って錆兎が顔を見せた。

今日はなぜか終始渋い表情の宇髄とは対照的に

──久しいな、不死川っ!
と明るい笑顔の錆兎。

その横にどこか嬉しそうに寄り添う義勇に少しもやっとした気分になるが、それもあと少しの我慢。
おそらくまだ罰ゲームだと伝えていないのであろう錆兎が義勇にそれを伝えたら、最終的にああいう風に義勇の隣にいるのは自分になるのだ。

そう気持ちを切り替えて、即本題に入ろうとする実弥に錆兎は

──報告はするが、10分待て。先に料理を並べてからな?
と苦笑。

言われてみればそれもそうだ。
あまりに長い期間待ちに待った展開だけに、自分も焦りすぎだと実弥自身も思う。
本当のことを知って落ち込む義勇を慰めるのにも美味い食い物はあった方がいい。

そういうわけでせっせと飲み物の準備をする宇髄と食べ物を並べていく錆兎を実弥は大人しく待つことにした。







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