ペナルティらぶアナザーSBG_8_凍り付く心_宇髄視点

義勇と一緒に飯を食うなり呑むなりの席を設けろ…というのがこれまでよくある依頼だったのだが、今回は違った。

今、電話で実弥が依頼してきたのは、誰か第三者を呼んで、ゲームをけしかけて、義勇に告白させろというものである。

不死川の妹の一人が読んでいた少女漫画に、主人公に対して素直になれずに避けられていた粗暴な男がそれを慰めたことで主人公の心をゲット!
そこから始まる恋愛…みたいな話があったらしい。

そんなのはフィクションの世界でしかありえないと言って聞く実弥でもなく、断固としてそれを実践するので協力しろとのことだ。

これまで数々の問題を起こしてきた実弥をそれでも宇髄が見捨てなかったのは、彼が宇髄の周りには数少ない正直者だったからだ。

不器用で馬鹿だが裏表のない信用のおける人物…

それが寄ってくる人間は多いのに敢えて己の身の内に入れるのは極々少数な宇髄が実弥と密な付き合いを続けてきた唯一の理由である。

なのにそれが自身の欲のためだけに同じく身内の義勇を騙して傷つけようという提案をしてきた時点で、宇髄の中で何かが壊れてしまった。

だいたい義勇を傷つけるというだけではない。
そんなことを依頼した相手と宇髄の関係にだって影響しかねないとは思わないのだろうか…。

しかも宇髄が渋る様子を見せても計画を中止するでもなく自分で探すという時点で、宇髄にはかかわらないという選択肢はなくなる。

おかしな相手に依頼されると、今度は義勇の方のフォローも大変だ。
それくらいなら自分が義勇を傷つけないであろう相手に依頼した方がいい。

知ってしまったうえで義勇を傷つければ、自分も何も落ち度がない友人を裏切り傷つける共犯者になってしまうのだから…。

ということで、もうそんなことを依頼できる相手は一人しか思いつかない。
なにしろ信頼していた友人の一人は加害者になり、一人は被害者になるのだ。
3人しかいない以上、最後の一人を頼るしかない。

あいつなら絶対に冨岡を傷つけずになんとかするんだろうなぁ…と思いつつも、そんなバカげたことに巻き込んだ時点で、宇髄自身の人間性を疑われることはうけあいだ。

最後の一人は本当に同じ地域の小学生という偶然その場に居合わせた幼馴染とは違って、目標をもって身を置いた場所で出会って一緒に居るようになった親友なので、嫌われるのは辛い。

それでも非常に傷つきやすい性格をした義勇に対する諸々を変な輩に依頼されて、トラウマどころか下手すると鬱になるか人間不信になるか…最悪命に係わるようなことになったらと思うと、無視もできない。

とりあえず…何回かゲームをやって、何回か皆罰ゲームをすることになったうえで、たまたま最後の一人である親友錆兎が負けた回に実弥が出した罰ゲームが義勇に告白すると言う事で、錆兎が悪ノリしすぎだと言いつつも、義勇を傷つけないようにそれを上手にこなしてくれる…と、そんな風になってくれれば一番いいのだが…。

そんな風に心の中で祈りながらも、翌日に実弥と錆兎を家に呼んだ。
表向きは良い酒が入ったから。
しかし実際はこのとんでもなく迷惑な計画を決行するために……







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