ペナルティらぶアナザーSBG_4_発端_実弥視点

きっかけは妹が読んでいた少女漫画だった。

主人公が憧れていたイケメンに手酷い態度をとられて心底傷ついた時、それまでは粗暴で嫌な奴と嫌っていた相手が思いがけず優しく接してきて慰めてくれて、そこから彼が実は不器用で素直になれないだけで実は良いやつとわかって二人は付き合い始めて色々な出来事も起こって最終的にハピエン…みたいなありふれたものだった。

──こういうの…結構流行ってんのかァ?
とコミックを手に取ると、

──返してっ!!
と、持ち主の貞子が実弥の手からそれをひったくる。

その様子を見ていたもう一人の妹の寿美は
「なあに?兄ちゃん好きな子でも居るの?
でもこれは飽くまで漫画の中だからだよ?
フィクションよ、フィクション!
外道はどこまで行っても落ち込んでいるときに会っても外道だからっ」
とカラカラ笑って、

──俊様は外道じゃないっ!!
と、貞子にぶたれている。

そんな年子の妹達のやりとりを聞いているようで聞いていない実弥。

──喧嘩してんじゃねえぞォ!そんな暇あったら母ちゃん手伝えっ。
と言いつつ、居間へ直行。

取り込まれたままの洗濯物を畳みつつ考える。

──そうだよなぁ…落ち込んでる時に思いがけない奴に優しくされたら…

弟のシャツ、靴下…と右から年上順に畳んだ物を並べながら考え込んでいたら、
──ああっ!!兄ちゃん!あたしのは自分でやるから触らないでって言ったでしょうっ!
──やめてよっ!!妹の下着握って楽しいっ?この変態っ!!!
と、台所に向かいかけていた妹二人に後頭部をどつかれた。

いててっと殴られた後頭部を押さえながらも、実弥が考えるのはさきほどの漫画と現実の想い人の事…。

もし…もしもだ、義勇が落ち込んでいる時に慰めればワンチャン好きになってもらえたりするんじゃないだろうか…?

そう思って考えてみるも、そもそもが非常に大人しすぎて影が薄い義勇は良くも悪くも他人にちょっかいだされたりすることがない。
義勇を落ち込ませたり泣かせたりするのなんて自分くらいだ。

ダメだ…無理だったァ…と頭を抱えたが、ふと思い出す。
あの漫画だとそもそもがいつも主人公にちょっかいかけていたのはぶっきらぼうな男子で、主人公を落ち込ませた皆の憧れのなんちゃら先輩は友人との勝負に負けた罰ゲームで主人公に告白したんじゃなかったか?

じゃあ、自分もそうすればいいのでは?
と、そこまで思いついたところで、人選について考えてみる。

まあ…実弥自身は会社でそこまでの人脈はない!
情けない話だがそこは断言できる。

だが、実弥にはコミュ力Maxの友人、宇髄がいる。
宇髄なら人気者のイケメンの一人や二人調達できるんじゃないだろうか…。

…おしっ!それだァっ!!宇髄に電話だっ!!

──おっしゃあっ!!
と気合満々、洗濯物を畳む作業を放置で叫ぶと、実弥は電話をかけに自室へと移動した。

…ちょうど畳みかけていた玄弥のパンツを持って……

──姉ちゃん…兄ちゃんのあれ、やばくね?
──うん…玄弥にいの下着なら握りしめて持って行っても良いってわけじゃないよね…

と、一人で洗濯物を前に百面相していた兄を心配して遠目で見守っていた妹達がなにかやばいものを見る目で見ているのにも気づかずに……








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