ペナルティらぶアナザーSBG_3_罰ゲーム_錆兎視点

なんとなく…なんとなく違和感はあった。

宇髄は人付き合いは良いやつなので、普通なら錆兎が気にするまでもなく、実弥を呼ぶなら義勇も呼んだだろう。

呑めないとしたって錆兎を呼ぶ時点で旨い食べ物を提供する気は満々なのだ。
下戸だなんて呼ばない理由にはならない。

そんな状況的なものとともに、宇髄の様子もいつもと違う何かを感じる。
もっとも非常に人間の感情の機微を気にする錆兎でも、ずいぶんと長い時を一緒に切磋琢磨しながら過ごしてきた宇髄相手でなければ気づかない程度のそれではあるが…。

実弥の方はもっとわかりやすい。
明らかに落ち着きがない。
いつもより…と言うほど彼の事は知らないが、何か隠し事があるだとか、企んでいるものがあるだとか、そういう人間にありがちな落ち着きのなさだと思う。


そこで呑みに入ってしばらくして始まるカードゲーム。
一番負けた人間は罰ゲームをと実弥が言い出した。
それで、ああもしかしてこれか…と錆兎は思った。

たぶん…負ける相手として自分は選ばれたのだろう。
宇髄にさせたいことがあるならそれを言えるほどには宇髄と実弥の関係は深い。

何か自分にさせたいんだな…と察した時点で漏れるため息。
それに宇髄がびくっと一瞬身を固くした。

錆兎が気づいていることは宇髄も気づいている。
旨い酒とつまみで少し上昇した気分が一気に下がった。

錆兎の機嫌が下降したのに気づいた宇髄は迷う様子を見せるが、上機嫌の実弥は全く気づかない。

さて…どうするか…と一瞬悩んだ。
しかしどうせ自分が負けるまでは延々と繰り返されるのであろうこのくだらない茶番に長く付き合うのも面倒だ。

もちろんここで有無を言わさず帰るという選択肢もあるにはあるが、そうすると何を企まれていたのかが後々気になる。

それをあとできいてみたところで、バラす気があるくらいなら宇髄もこんな手は取らないだろう。

そこで錆兎は
──宇髄の優先順位はよくわかった。さあ、始めようか。
とにこりと宇髄に笑みを向け、配られたカードを手に取った。

もちろん、敢えて負けてやるためである。

どんな無茶ぶりをされるのか、それを速やかに知るためだけに…。

条件によってはそこまできっちりと切り捨てるほどではないのだろうが、事前に事情も話さずにこういう形で動かそうと思われたのだとすれば、これまでのような全面的な信頼を向ける相手として付き合うことはできないだろう。

小学3年生の時、中学受験のための塾で知り合ってから17年。
本当に生まれてすぐくらいから家族ぐるみで付き合いのある杏寿郎を除けば一番くらいに付き合いのある奴だったんだけどな…と、苦い気持ちで思う。

宇髄は錆兎が笑顔でも状況によっては関係を断つつもりである程度には怒っていることには気づいているようだ。

青ざめている。

それでもそれを止めないくらいには、何かこの茶番に理由があるのだろう。
錆兎はそこまでして宇髄を動かしているものに好奇心もあって、素知らぬふりをし続けた。







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