ペナルティらぶVer.SBG_:22_武家屋敷かお白洲か

──魔王の城っつ~より、奉行所のお白洲 みてえだな…

たどり着いたのはお屋敷街の中でもひときわ大きい日本家屋だ。

ぐるっと囲む塀からさっするに敷地も広そうだが、何より門がまるで時代劇に出てきそうな重厚さで、それを見上げつつ思わずつぶやく実弥に、

──それ、本人に言ってやれ。大うけすんぞ。
と宇髄が噴き出す。

本人に?魔王に?俺に殺されろと?と睨みつけると、宇髄はんなこたぁねえよと肩をすくめた。

いわく…──あいつは自分の事ならたいていは笑って流すから──とのこと。
まあ言われてみればそんな雰囲気の男ではあった気はした。

ともあれ、宇髄がそれは近代的なブザーを押すと、インターホンから
──入れ
と声がして、ぎぎ~とわずかばかりの音と共に門が開いた。

うわ~うわ~と、自動で開き、二人が入ると自動で閉まる門に驚く実弥に宇随は爆笑。


金持ちすげえなっ!とそこは素直に感心する実弥に、宇髄はにやにやと──今は俺ん家の門だってオートだぞ。今度来いよ──と言う。

そうして中に入るとこれまた立派な日本庭園で、砂利を敷いた上に並ぶ飛び石を慣れた様子で進む宇髄の跡についていくと、まるで高級旅館のようなご立派な家屋にたどり着く。

そしてその前には和服姿の若旦那…と言った風情の錆兎。
もうそこまでが現実味がなさ過ぎて…しかし、似合いすぎて唖然とした。

──よく来たな、二人とも。まあ、上がれ。
と、錆兎は二人を中に促し、実弥たちが入ると引き戸を閉める。

そうして入った玄関もすごく広くて立派で、本当にここは旅館じゃないのか?と、思わずしげしげとあたりを見回してしまう実弥に、宇髄がやっぱりおかしそうに笑っている。

──も、もしかして使用人とかいたりすんのかァ?
と思わず尋ねると、当たり前に

──ああ、掃除と庭の手入れは手が回らないから人を雇っているが、通いだから夜はいない。
と返ってきて、自分で聞いておきながら驚いた。

そこでトドメは
──で?どうする?洋間か和室かどちらがいい?
と言う義勇も初日に聞かれた質問で、あまりに当たり前に聞かれるが意味が全くわからず、ぎぎ~っとぎこちなく首を宇随の方へと向けると、宇髄もまた当たり前に
──あ~、やっぱり和室だろっ。
と答える。

だが宇髄は実弥が会話に全くついて来られずにいることを察知してまた笑った。

そして、
──ここん家は広えし居間が和洋あるんだけどな、どっちがいい?って聞かれてんだよ。
と、それでも意味を説明してくれる。

──マジかよ…
呆れかえる実弥に

「マジだ。ここん家は恐れ多くも嵯峨源氏の流れを組む平安時代から続く元お貴族様の剣術家だぜ?
爺さんは居合の達人で、剣術指南家として有名なお人で、海外で引っ張りだこだ」
などと驚くべき…だがなんとなく納得してしまうようなことも付け加えた。

「あ~…すごいのは爺さんまでな。
俺は本家でもないから少し武道をかじったくらいで、完全一般人だ」

前を歩く錆兎は宇随の言葉をそう否定するが、ダウト!と叫びたい。
ナイフを持った3人の男に囲まれても余裕で対処できるやつは一般人じゃねえ!!と叫びたい。
…が、怖くて叫べないでいる実弥の横で、宇髄が容赦なく叫んだ。

──ダウトっ!!剣道の全国大会の覇者は一般人じゃねえよっ。
──…習い事の一つの結果にすぎん。
──んなこと言って、本気でそれだけに打ち込んできたやつらに土下座しろっ

宇髄は笑っているが、実弥は笑えない。

そうだよな…
こいつ確か在学中に司法試験受かった上に3年で大学卒業して1年現場に入って正式な弁護士資格まで持ってんのに、武道までそれって、やっぱ魔王かよっ。
人間だとしても少なくとも一般人ではねえよ。

なんだか自分の色々が終わった気分になってきて、実弥ははあぁあぁぁ~と大きくため息をついた。






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