ペナルティらぶVer.SBG_15_ピンチはチャンス

そうしてキラキラとネオンが点滅する繁華街を突っ切るようにイライラしながら駅に向かおうとした実弥だが、こんな不機嫌全開で帰宅して弟妹に心配をかけたくない。

もとい、早ければ今日にも義勇と付き合えると思って上機嫌で家を出たのもあって、いきなり横から他の奴にかっさわれたなんて間抜けな報告をするのは避けたい。

なので、実弥は家族に対する言い訳を考えようと、ちょうど目についたファストフードに入って頭を冷やすことにした。

本当にこんなことになるとは思ってもみなかった。
今日中に付き合えるかどうかは、単純に今日義勇に会えるかどうかの問題で、今日に会う機会がなければ明日、明日になければ明後日…最低でも今週中には絶対に付き合えると思っていた。

だから弟妹にもそう言ったし、特にすぐ下の弟の玄弥は年子なのもあって義勇の事も知っていたから、付き合うことになると言うと喜んでくれていた。

実弥はコーヒーを買って、一人なので座席を避けてカウンターに座り、ため息をつく。

こうして落ち着いたところで、そういえばSNSでも今週中に幼馴染と付き合うことになるとつぶやいていたことを思い出した。
弟妹と違ってこちらは消してしまえばとりあえずなかったことにできるかと、実弥は急いでスマホを取り出す。

幸いにして繋がっている知り合いは宇髄とあと数名くらいしかいなくて、しかも宇髄以外はそれほど仲が良いというわけでもなく、普段から反応なんかしないやつらなので、まあ問題ないと言えば問題ない。

そう思ってアプリを開くと、案の定、ツイートには誰も反応していなくてホッとした。

そこでサクッと昨晩意気揚々と書き込んだツイートを消して、これでこっちはOKと閉じようとしたのだが、実弥はそこでメッセージが送られて来ていることに気付いて手を止める。


開いてみると知らないアカウント。

何かの勧誘かと思いつつも念のためと確認してみると、そこには
『恋人のこととかぺらぺらと話すとか馬鹿だろっ。
てめえのせいでボコられる相手可哀そうになっ』
と言う言葉。

これはっ!!

差出人が誰だかはわからない。
というか、普段から態度が粗暴だわ口が悪いわで、身に覚えのある相手が多すぎる。

一瞬、やばいっ!と青ざめたが、次の瞬間ハッとした。

正直、周りの人間の評価であるとか、収入であるとか、学歴、年収、全てにおいて、おそらく同期の中でもトップクラスなのであろう錆兎に勝てているものはない気がするが、唯一、なまじ素行がよろしくなかったせいでよく絡まれたためについてしまった腕力においてだけは、勝てる気がする。

というか、もう自分の一番のウリはそこなんじゃないだろうかと思う。

そう考えるとこれはチャンスだ。

誰かは知らないが、このメッセの言葉が本気なら、おそらく義勇に危害を加えるぞということなんだろう。
そうしてそいつが義勇に危害を加えようとしたところで自分が間に入って助けたら、義勇に惚れ直してもらえるんじゃないだろうか。

そうとすればこんなところでうだうだしている場合じゃない。

実弥は買ったコーヒーを放置で立ち上がると店を出て、今来た道を舞い戻る。

その道々、宇髄に
──今どこだァ?
とLINEを送ると、即
──まだ店だけど?戻ってくんのか?
と返ってきたので
──いや。まだ解散してねえのかと思っただけだァ
と返す。

そしてくだんのアプリのメッセに
──面白ぇ!出来るもんならやってみろやぁ!!
と言う返事と共に、店の場所を送っておいた。

相手だって店の中でことを起こせば警察沙汰な上に大勢に止めに入られるだろうから、やるなら店を出てからだろう。
ということで、実弥は店の外で待ち伏せることにした。







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