ペナルティらぶVer.SBG_13_不死川実弥の焦燥

想定外のことに実弥の頭は真っ白になった。

なに?なに?なんなんだ??
鱗滝に告白~?!!!
と、パニックになって、しかし嬉しそうな義勇とため息交じりの宇髄を見て、それが事実だとわかった。

そうか…鱗滝は気のいいやつだし、自分ともども宇髄を通して何度か一緒に飯を食っていて義勇にとっては数少ない顔見知りと言えるから、頼みやすかったのだろう。

罰ゲームにかこつけて告白してもらう作戦は失敗か。
少し落ち着いてきてそう思った瞬間、実弥は回りくどいことをしないでちゃんと告白しろ、という宇髄の言葉を思い出す。

確かに義勇は少しずれたところがあるから、間接的であればあるほど義勇に関しての目的を達成するのは難しい。
仕方ない。普通に告白するか。

いつもならまた次の手をと思うところなのだが、実弥は今回のことですっかりすぐに義勇と付き合う気になってしまっている。
なのでそう思ったのだが、その前にとりあえずは今回の諸々を終了させなければならない。

そこで実弥は錆兎に向き合って頭を下げる。

──鱗滝~、今回は俺と冨岡の問題に巻き込んで悪かったァ。
──いや、俺は謝られることはない。お前と義勇の問題じゃないだろう?

へ?と実弥は目を丸くした。
事情を聴いていないのか?

──いや…俺が言い出した罰ゲームだったんだけど、聞いてねえ?
──ああ、それは聞いている。誰かに告白してOKをもらって来いというやつだろう?
──そそ。だから、わざわざ罰ゲームに突き合わせて悪かったなと…。

一応今回の罰ゲームに関してはこれ以上引きずってもおかしな方向に行きかねないだろうし、これで終わりにしようと思って部外者なのに巻き込んだ錆兎には謝罪をしたのだが、錆兎は笑顔でとんでもない発言をする。

「いや、別に謝られるようなことじゃないな。
むしろきっかけをくれてありがとうと言いたいくらいだ」
「へ?」
「ずっと義勇と一緒に居たいと思っていたんだ。
でも義勇は人見知りのようだし、宇髄にもあまり距離を詰めてくれるなって止められていてな。
ストレスを与えたら可哀そうだと自重していたんだが、義勇の方から来てくれたなら断る理由はないだろう?」

言葉の意味が頭の中に入ってこない。
だが無理やり頭にねじ込んで考えてみる。

つまり…錆兎はずっと義勇が好きで、そこに義勇が告白をしに行ったから、それを本気で受けたということ…か?

「いや、あれはゲームだからな?」

やっと出た、その告白自体を偽だとしようとする実弥に、錆兎は笑顔で言った。

「俺なら誠実に応対してくれると思って相手を吟味した結果、きてくれたらしい。
だから背中を押したのは罰ゲームだったとしても、俺もきちんと誠実に受けたつもりだ。
で、義勇もそれで納得して、俺たちは付き合うことにしたんだ」


「ちょ、ちょっと待てぇっ!!
あれは罰ゲームで冗談みてえなもんだっ!
本気で付き合えとかいうものじゃねえっ!!」

ありえない展開に実弥が焦って言うと、錆兎は笑顔。

「罰ゲームの条件は『誰かに告白してOKをもらってくること』で、その条件はきちんとクリアしているはずだし、その後、本当に付き合うなということではないから、問題はないだろう?」
「問題あるだろうよっ!!
鱗滝、てめえすげえモテんのに、そんなバカみてえなモンで付き合うとか、いいのかよっ!!」

否定してほしい。
それならやめると言ってほしい。

なのに錆兎は全く気にする様子もなく、それどころか
「きっかけより結果だと思うぞ?
棚から落ちてきたぼた餅はありがたくいただく主義だ」
などとふざけたことを言う。

そしてそれに呼応するように、義勇が
──お互いの目の色の石の入ったお揃いの指輪も買ってもらったんだっ!
と、どやあっとした顔で指輪をした右手をかざして見せる。

そこには確かに錆兎の瞳と同じ藤色の小さな石が埋め込まれた金の指輪が光っていて、義勇は、ほら錆兎もっ!と嬉しそうに錆兎の右手を取って自分の瞳の色と同じ青い石の入った指輪を見せた。

「宇髄にも言ったが…さすがに俺も不死川に対する意趣返しに付き合うためだけに純金の指輪は買わんから。
…買って銀くらいか」
と、はしゃぐ義勇の隣で錆兎が苦笑交じりにそう言った。







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